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黄昏世界の絶対逃走/本岡冬成

迷親って言葉はないんですか?


小さい頃、私は頻繁に迷子になる子供だった。
不注意かつ方向音痴だったのだ。
だけど、小さい頃の私には迷子という概念がしっかりと定着しておらず、自分が迷子になっているという自覚がなかった。
だから、デパートなどで迷子になった時も、「お父さんとお母さんが迷子になりました」と店員に律儀に報告していたことは今でもよく覚えている。

いろいろと捻くれていたんだなー。


黄昏世界の絶対逃走 (ガガガ文庫)黄昏世界の絶対逃走 (ガガガ文庫)
本岡 冬成

小学館 2010-05-18
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 破滅の黄昏が存在しない青空。
 この空の下では誰も黄昏に殺されたりしないのだ。
 でも――。
 黄昏の空の下だって、人はしぶとく生きているのだ。
 青空の下でだって、人は惨めに死んだりするのだ。



――あらすじ――
『―黄昏予報の時間です。本日午後の黄昏濃度は約80パーセント、非常に濃くなる見通しです。発作的な自殺には注意しましょう』全天を覆う茜色の空。“黄昏”はヒトの弱い心に入り込み、支配し、死に至らしめる病の元凶。世界は生きる気力を失った人々で溢れていた。その“黄昏”を浄化し、青い空を生み出す少女“黄昏の君”。フリーエージェントのカラスは、その奪取を請け負い、二人で短い旅を続けることになる。“黄昏”に冒された人々との出会いと別れを繰り返しながら…。第4回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。


――感想――
黄昏が満ちようと、絶望に蝕まれようと。
僕たちはこの世界で生きていく。

第4回小学館ライトノベル大賞『優秀賞』受賞作。
新人とは思えない文章力に、圧倒的な包容力を持つ世界観。
なかなか読み応えのある一冊だった。

こういったジャンルは初めてで、終始新鮮さを味わい続けた。
ありふれているようで、どこか特異性を感じさせる。
あっと驚くようなどんでん返しがある訳でも、ニヤニヤするラブコメディがある訳でもなく、ひたすら二人の男女の逃走劇を描いたロードムービー的な作品。
何かの映画作品に影響を受けているような印象を受ける。
独特の世界観から紡ぎ出される雰囲気を味わうべき作品なんだと思う。

あと、イラストの美麗さにもぜひ注目して欲しい。
物語の雰囲気とのマッチ具合は素晴らしい。

『なんでも屋』を生業とする主人公のカラスは、かつて『黄昏の君』だったメアリという少女を国から奪取することを依頼される。
見事メアリを奪取することに成功したのち、カラスとメアリは生きる気力を失った黄昏世界で逃走劇を繰り広げることに。
その過程で、黄昏世界に生きる様々な人々と出会い、様々な経験をしていく。

とにかく登場人物同士の会話が捻くれている、と言えば聞こえが悪いかもしれないけど、相手の心理の裏側を突くような台詞を押収し合う。
この作品の登場人物はどいつもこいつも超クール。

人物の心理描写が繊細かつ緻密なので、絶望が包む黄昏世界の中でも僅かな希望にしがみつく人々の、弱々しくも確かな意思を感じ取ることが出来た。その筆力には憧憬の念すら抱いてしまう。
いろいろと考えさせられる作品だった。

一つ残念なのは、メアリとカラスの幼馴染の関連性が曖昧なまま終わってしまったこと。
ただ、敢えてはっきりと描写しないことで、より一層物語の奥深さを引き出しているのであろうことは、一応理解してはいるのだけど。

おそらく一巻完結で、続刊は出ないだろう。
才能ある作者さんなので、次回作に期待したい。


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Comments

テスト週間です。お久しぶりですaskです。
いやぁ、読んでいただけましたか。プッシュした甲斐ありですな。
個人的に当たりでした。やはりガガガを筆頭とする新人賞の勢いは止められないのか!!
久しぶりにノスタルジックな物語でした。前回は……みーくん??www
新鮮さがありました。次回作大いに期待したいです。
Posted at 2010.06.06 (12:14) by ask (URL) | [編集]
Re: タイトルなし
askさん、コメントありがとうございます。

テスト週間なのですか!
大変だと思いますが、頑張ってください!

いやーaskさんのプッシュ通りなかなか味のある作品でした。
新人賞らしい作品でしたね。
残念ながらこの勢いは止められませんよ! エンジン全開、ギアMAXです!
次回作には大いに期待です。
Posted at 2010.06.07 (01:09) by つかボン (URL) | [編集]
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Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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