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魔法少女を忘れない/しなな泰之

みんな、宇宙ショーへ行こうよ!


『宇宙ショーへようこそ』見てー。てか絶対見に行く。
見に行く人いる?


魔法少女を忘れない (集英社スーパーダッシュ文庫)魔法少女を忘れない (集英社スーパーダッシュ文庫)
しなな 泰之 越島 はぐ

集英社 2009-06-25
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 大切な思い出を、置き去りにして。
 かけがえのない存在に、別れを告げて。
 それでも前に進む。そのための、道を選ぶ。
 道標はたったひとつ、いまの僕にはわかる、唯一のこと。

 僕には、妹がいるから。



――あらすじ――
ある日突然やってきた妹、みらいと共に過ごすようになって半年。高校生・北岡悠也は、まだ彼女との距離感を掴めずにいる。わからないことだらけの妹について、知っているのはたったひとつ―みらいが昔、“魔法少女”であったこと。自分の知らない世界を生きてきた少女に、兄として向き合う奇妙な日常。幼なじみの千花や親友の直樹、その助けを借りながら、季節は移ろい巡ってゆく。忘れ得ない大切な日々を分け合う、四人の少年少女の物語。悠也は魔法少女を忘れない。


――感想――
儚く、そして残酷。
だけど、力強く、そして優しく背中を押してくれる忘れないための物語。

はぁー。
なんて素敵なお話なんだろう。
泡沫のように淡く透き通った余韻が後を引く読後感に、情感のこもった溜息が漏れる。
「元」魔法少女のみらいと、義兄の悠也が刻んでいく青春の一ページに胸が張り裂けそうになった。

春の桜のように彩りに満ちていて、夏の海のように紺碧の深みを持ち、秋の落ち葉のように愁いを帯びて、そして冬の雪のように透明な物語。
人はここまで純粋になれる。この世界は綺麗事ばかりではないけど、せめて本の中だけでも綺麗に生きたい。そう思わせる一冊だった。

ある日突然、北岡家に養子にやってきた少女。
彼女、みらいは、実はその昔魔法少女だった。
突然現れた妹の存在に戸惑う悠也。みらいとの距離感が掴めずあくせくするも、幼馴染の千花やクラスメイトの直樹たちの協力を得て、みんなで買い物に行ったり、海に行ったり、勉強会をしたりして、徐々に仲を深めていく。
しかし、みらいは魔法少女の特質という残酷な運命を背負っていた。

魔法少女は恋ができない。

そのことを知った悠也は、みらいに恋をさせてあげようと動き出す。

みらいの役柄が『魔法少女』である必要性はない。
だけど、現実の世界に『魔法少女』という非現実の存在を組み合わせることで、決して人の日常には噛み合うことのない切なさを強調している。

ストーリーやキャラはよくあるテンプレではあるけど、どこか“文学少女”を思わせる作風が、幻想的な雰囲気を漂わせている。
特に幼馴染の千花が良かった。
友達にだって、いや友達だからこそ毅然と立ち向かって、時には辛辣な言葉を吐く。
自分の想いを押し殺して、幼馴染のために頼れる存在であり続けようと胸を張り続ける。
“文学少女”の琴吹さんと重なって少し心が痛んだ。でも、それが彼女の魅力なのだ。

季節が移ろうように、変化し続ける人と日常。
だけど、大切なものは喪っても忘れない。ただ、それだけの物語。

忘れないための、かけがえのない物語。


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Comments

透明感があるというと褒め言葉になってないかもしれませんが、そんな印象を受けましたね。
うまく言えませんが二つの補色が重なり合って透明感ある別の色になってる感じです。
なんて意味のわからない、説明でしょうかw
感覚的な説明は難しいです……

本当に綺麗な物語でしたね。
ずいぶん余韻に浸った気がします。

文学少女ですか。確かにそんな気もしますね。
他の作品と比べるところはさすがです。

タイトルから当初は、リリカルをイメージしてましたw
Posted at 2010.06.22 (06:54) by 夕凪 (URL) | [編集]
コメントありがとうございました。
 おお。
 この作者さん、仙台のアニメイトで大絶賛されてましたよ。
 仙台出身ということで。

 家にありますが、まだ読んでいない作品です。

 宇宙ショーへようこそ
 見ますよ。かみちゅ!も見ましたから、絶対の期待を持てます。
Posted at 2010.06.22 (22:28) by サイと (URL) | [編集]
Re: タイトルなし
夕凪さん、コメントありがとうございます。

印象としてですが言いたいことは何となく伝わってきましたよ。
感覚的な説明は確かに難しいですよね。
私の感想も正直的を得ているか自信ないですし。

文学少女に例えたのは、完全に私の自己解釈ではありますが、似通った部分はあるのではないかと思います。
それだけ美しい物語でした。

リリカルは名前しか知らないのですが、タイトルだけなら分からないでもないですw

サイとさん、コメントありがとうございます。

そうだったのですか。
やっぱり地元出身の作家さんだったりすると、注目したりするんですね。

ラストのオチで賛否が分かれるかもしれませんが、個人的にはオススメしたい作品です。
ぜひ読んでみてください。

おぉ!
サイとさんも宇宙ショー見に行きますか!
では一緒に行きましょう! なんてw
本当に期待大ですよ。今から胸が高鳴っています。
Posted at 2010.06.22 (23:46) by つかボン (URL) | [編集]
相変わらずつかボンさんの感想には興味が引かれる
自分はこういう切ない系の物語好きなんですよね
そして涙腺弱いので読んだ後、涙浮かべながら
ボーっとしてます(妹に気持ち悪いといわれた)

恋ができないとは違い、恋をしてはいけないですが
こういうタイプのラノベが好きなのなら
MF文庫のみにくいあひるの恋もオススメです
Posted at 2010.06.22 (23:50) by シャモ (URL) | [編集]
Re: タイトルなし
シャモさん、コメントありがとうございます。

興味が引かれるだなんて、非常に嬉しい言葉ありがとうございます。
切ない系がお好きならぜひという作品ですよ。
読んでいる途中、胸が締め付けられるような感覚を覚えます。
私も涙腺弱いのですぐに泣いちゃいますね。この作品でも泣きました。
ボーっとする気持ち分かります。余韻に浸ってしまうんですよね。

みにくいあひるの恋は日日日さんの作品でもあるので、一応所持はしてます。
近いうちに読んで、また切なさの余韻に浸ろうかと思います。
Posted at 2010.06.24 (01:12) by つかボン (URL) | [編集]
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つかボン

Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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