Colorful Concrete
おもしろき ことなき世を おもしろく 高杉晋作
生きてるだけで、愛。/本谷有希子
- Posted at 2010.06.22
- l一般書籍
ただ、なーんとなく。
ただ、なーんとなく。
今日は地元の方言を使って感想を書こうかなーって思う。
本当に何となくだけど。
でも、うちの方言ってあんまり色が強くないけん、分からんかも。
どこの方言か分かる人いるんかな。
――あらすじ――
あたしってなんでこんな生きてるだけで疲れるのかなあ。25歳の寧子は、津奈木と同棲して三年になる。鬱から来る過眠症で引きこもり気味の生活に割り込んできたのは、津奈木の元恋人。その女は寧子を追い出すため、執拗に自立を迫るが…。誰かに分かってほしい、そんな願いが届きにくい時代の、新しい“愛”の姿。芥川賞候補の表題作の他、その前日譚である短編「あの明け方の」を収録。
――感想――
初めてこのブログで紹介する一般書籍はこれ。『生きてるだけで、愛。』。
ラノベ以外の感想記事って需要あんのかなー。不安になってきた。
久しぶりにラノベ以外の本を読んだ気がするんやけど、まぁ、原点回帰ということで。
読んだ理由は、『660²』にて入間先生が章題をパロッたと思われるけん、興味が湧いたんよ。
やけどやっぱり、ラノベ以外の本もいいなー。
この勢いにかまけて一般書籍をたくさん読んでったら怒られるんやろうか?
いや、ラノベももちろん面白いよ。これからもちゃんと読んでいくんで、見捨てないでー。
作家さんの名前は知ってたんやけど、本谷さんの作品を読むのは初めて。
率直に読んだ感想を言わせてもらうと、メチャクチャ好みの作風やった。一目惚れならぬ、一読惚れ。
そういえば今度、行きつけの書店で本谷さんのサイン会があるらしいんやけど、ちょっと本気で行きたくなってきた。
この作品、とにかくタイトルの語感いいよなー。
入間先生の『生きてるだけで、恋。』の時点から好きだったんやけど、何度も口ずさんでしまう。
ジャンル的には恋愛小説に分類されるんやろうけど、一風変わってるといえば、変わってる。
やけど、どんな恋愛小説よりも現実を見通した恋物語やと思う。
甘くも切なくもないけど、確かな愛を根幹に添えた恋愛小説。
全てのことが嫌になって、バイトを辞めて、『過眠症』と称して惰眠を貪る毎日をおくる寧子。
そのことに関して全く触れようとしない同居人で彼氏の津奈木。
寧子は小さなことですぐに怒って、その怒りを津奈木にぶつける。
やけど、津奈木は寧子に一切関心を持ってくれない。そのことが、寧子は我慢できない。
自分が激情しても、同じぐらいの激情を返してくれない。
自分がいろいろ思考を巡らして発言しても、同じだけ考えて発言してくれない。
寧子はそのことが、どうしようもなく腹が立つ。
たまに暴走を起こして奇行に走ってしまう自分が、人とは違う生き物じゃないのかと寧子は考えてしまう。
やけん、分かってほしいのに、求めあいたいのに、『味の濃い』自分は決して交わることができない。
それでも相手に理解を求める。
一生分かってくれなくてもいいから、葛飾北斎の『富岳三十六景』を生んだ奇跡のように、五千分の一秒の繋がりを求めるんよ。
寧子が見せた本気の姿に鳥肌が立った。
津奈木の最後の一言には涙がこぼれ落ちた。
感動系の話じゃないんやけど、私の琴線に触れるものがあった。
前日談の『あの明け方の』も素晴らしい。
一冊百ページ程度で読みやすいけん、暇がある方はぜひ読んでみてください。
関連商品
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫)
江利子と絶対〈本谷有希子文学大全集〉 (講談社文庫)
幸せ最高ありがとうマジで!
遭難、
ぜつぼう
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ただ、なーんとなく。
今日は地元の方言を使って感想を書こうかなーって思う。
本当に何となくだけど。
でも、うちの方言ってあんまり色が強くないけん、分からんかも。
どこの方言か分かる人いるんかな。
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「あたしはもう一生、誰に分かられなくたっていいから、あんたにこの光景の五千分の一秒を覚えてもらいたい」
――あらすじ――
あたしってなんでこんな生きてるだけで疲れるのかなあ。25歳の寧子は、津奈木と同棲して三年になる。鬱から来る過眠症で引きこもり気味の生活に割り込んできたのは、津奈木の元恋人。その女は寧子を追い出すため、執拗に自立を迫るが…。誰かに分かってほしい、そんな願いが届きにくい時代の、新しい“愛”の姿。芥川賞候補の表題作の他、その前日譚である短編「あの明け方の」を収録。
――感想――
初めてこのブログで紹介する一般書籍はこれ。『生きてるだけで、愛。』。
ラノベ以外の感想記事って需要あんのかなー。不安になってきた。
久しぶりにラノベ以外の本を読んだ気がするんやけど、まぁ、原点回帰ということで。
読んだ理由は、『660²』にて入間先生が章題をパロッたと思われるけん、興味が湧いたんよ。
やけどやっぱり、ラノベ以外の本もいいなー。
この勢いにかまけて一般書籍をたくさん読んでったら怒られるんやろうか?
いや、ラノベももちろん面白いよ。これからもちゃんと読んでいくんで、見捨てないでー。
作家さんの名前は知ってたんやけど、本谷さんの作品を読むのは初めて。
率直に読んだ感想を言わせてもらうと、メチャクチャ好みの作風やった。一目惚れならぬ、一読惚れ。
そういえば今度、行きつけの書店で本谷さんのサイン会があるらしいんやけど、ちょっと本気で行きたくなってきた。
この作品、とにかくタイトルの語感いいよなー。
入間先生の『生きてるだけで、恋。』の時点から好きだったんやけど、何度も口ずさんでしまう。
ジャンル的には恋愛小説に分類されるんやろうけど、一風変わってるといえば、変わってる。
やけど、どんな恋愛小説よりも現実を見通した恋物語やと思う。
甘くも切なくもないけど、確かな愛を根幹に添えた恋愛小説。
全てのことが嫌になって、バイトを辞めて、『過眠症』と称して惰眠を貪る毎日をおくる寧子。
そのことに関して全く触れようとしない同居人で彼氏の津奈木。
寧子は小さなことですぐに怒って、その怒りを津奈木にぶつける。
やけど、津奈木は寧子に一切関心を持ってくれない。そのことが、寧子は我慢できない。
自分が激情しても、同じぐらいの激情を返してくれない。
自分がいろいろ思考を巡らして発言しても、同じだけ考えて発言してくれない。
寧子はそのことが、どうしようもなく腹が立つ。
たまに暴走を起こして奇行に走ってしまう自分が、人とは違う生き物じゃないのかと寧子は考えてしまう。
やけん、分かってほしいのに、求めあいたいのに、『味の濃い』自分は決して交わることができない。
それでも相手に理解を求める。
一生分かってくれなくてもいいから、葛飾北斎の『富岳三十六景』を生んだ奇跡のように、五千分の一秒の繋がりを求めるんよ。
寧子が見せた本気の姿に鳥肌が立った。
津奈木の最後の一言には涙がこぼれ落ちた。
感動系の話じゃないんやけど、私の琴線に触れるものがあった。
前日談の『あの明け方の』も素晴らしい。
一冊百ページ程度で読みやすいけん、暇がある方はぜひ読んでみてください。
関連商品
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫)
江利子と絶対〈本谷有希子文学大全集〉 (講談社文庫)
幸せ最高ありがとうマジで!
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生きてるだけで、愛 本谷有希子
あんたと別れてもいいけど、あたしはさ、あたしと別れられないんだよね、一生。母譲りの躁鬱をもてあます寧子と寡黙な津奈木。ほとばしる言葉で描かれた恋愛小説の新しいカタチ。 ねえ、あたしってなんでこ... - Posted at 2010.12.03 (15:11) by 粋な提案
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Comments
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やはりどこかラノベとは雰囲気がちがうので
文章の参考にさせてもらっています
入間先生の作品に出てきた元ネタですか
それだけでも心惹かれます
どこの方言かはわかりませんが九州らへんですか?
長崎出身の自分が「やけん」とかよく使うので - Posted at 2010.06.23 (00:03) by シャモ (URL) | [編集]
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方言はいいですね。心が洗われます。特に西側の方言は大好きです。 - Posted at 2010.06.23 (00:45) by 朝日悠 (URL) | [編集]
-
愛するだけで、生。
おお、読まれましたか!いいですよねこの作品。自分も大好きです。
一般書籍の需要ありまくりですよ、ぜひぜひ。
方言いいですね、自分もやってみようかな、と思ったり。
>そういえば今度、行きつけの書店で本谷さんのサイン会があるらしいんやけど、ちょっと本気で行きたくなってきた。ちょ、マジか、行くしかなくね?行くしかないんじゃないでしょうか。それは行くべきですよ。羨まCです。
抜群のリズムですよねー、音にしたときのテンポって大切だと思います。
『、』の使いどころが巧いですよね、この溜めから繰り出される『愛』の一言。もう、最高です。
もう読んだのが大分前なので、記憶もおぼろげなんですけど、寧子が全裸で津奈木に語りかけるシーンが印象的でした。
あと、ウォシュレットさえも鬱の原因になるとは……と思った記憶があります。
本谷さんの作品はストーリーがどうこうではなくて、雰囲気を楽しむものだと思ってます。
正と負、どちらの意味でもパワフルで勢いのある文体が魅力的な作家さんだな、と。
あ、それと今更になりますけど、『WRITINGDAYs!』設立おめでとうございます。こういうのはそっちにコメントした方がいいのかもですが、あえてこちらで。
作家を目指すことを決意なされたということで、頑張ってください。微力ながら応援しております故。
もし良ければ、森博嗣さんの『小説家という職業』という新書を読んでみてください。
結構グサグサくることが書いてあるのでかなりズタボロになると思いますけど、絶対得るものは大きいです。
もし、書店で見かけたら、立ち読みでまえがきとあとがきの数ページを読むだけでも全然意識が違ってくると思いますよ。
と、おせっかいはこれくらいにして。
長文、失礼いたしました。 - Posted at 2010.06.23 (01:54) by 天野寂 (URL) | [編集]
-
私には、どこの方便か分からないですね。
私の住んでいるところではないということだけは確かですが…
私のとこでは、「じゃん」とか「だら」とか使われています。
文章にすると結構生意気な感じになるので、使えなさそうです…
この作品が入間先生の作品の元ネタですか~かなり興味ありますね。
1冊100ページ程度なら積本にも影響ないし、読んでみたいですね。
- Posted at 2010.06.23 (02:00) by じたま (URL) | [編集]
-
地元ですからね。
でもここではあえて言わないでおきます。
マイナーな方言なんで、地元民以外気づく人いないんじゃないかなぁ。
うちの方言って色んな所の方言が入り混じってるって聞いた事あるんですけど、どうなんですかね?
このタイトルは「660」で入間さんがパロったって事で知ってたんですが、作家さん自体は知らなかったです。
百ページくらいですぐ読めそうなので、そのうち読もうかなって思います。 - Posted at 2010.06.23 (19:09) by 半熟タマゴ (URL) | [編集]
-
Re: タイトルなし
シャモさん、コメントありがとうございます。
一般書籍たくさん読んでもいいですかね?
賛同者が多いようでしたら、少しずつ紹介していこうかと思います。
作風が入間先生と似ている、というか入間先生が参考にしたんだと思ういますが、入間先生好きな人なら読んで損ずることはないと思います。
なのでぜひ読んでみてください。
九州ですかー。惜しいです!
もう少し東ですね。
やっぱり分かりにくいですよね。
朝日さん、コメントありがとうございます。
一般書籍のウケが結構いいようなので安心です。
私もラノベにハマる前は、結構一般書籍読んでたので、紹介したい本がたくさんあってウズウズしてるんです。
実際西側に住んでるんでよくわかりませんが、西側の方言っていいんですかね?
東側も割と好きですよ。
天野寂さん、コメントありがとうございます。
実は天野寂さんの記事で紹介されていたのを読んで興味を持ったんです。
こんな素晴らしい本と出会うきっかけをくれた天野寂さんには本当に感謝しています。
思いのほか一般書籍のニーズがあるようなのでよかったです。
これからもちょくちょく紹介していきますね。
ぜひ天野寂さんもやりましょう! 意外と楽しいですよ。
愛知県の方言聞きたいです。
サイン会めっちゃ行きたいんですけど、日程が微妙なんですよね(汗)
行きたいよー。こんなチャンスもう二度とあるか分かりませんし。
ただの一言で、ここまで人の感性に刺激を与えるタイトルってのもすごいですよね。
『、』の区切り方も最高ですが、『。』で締めくくるのもまた。
言葉で表せない情趣が見え隠れしてます。
愛するだけで、生。
生きてるだけで、愛し、愛してるだけで、生きる。
これぞ究極の恋愛の形ですよね。
ウォシュレットは非常に印象に残っています。
寧子の『味の濃さ』が顕著に表れた部分ですよね。
確かに本谷さんの作品が放つ雰囲気は素晴らしいです。
一発でファンになっちゃいました。
本谷さん自身の存在をぶつけられているような感覚を覚えます。
>あ、それと今更になりますけど、『WRITINGDAYs!』設立おめでとうございます。
ありがとうございまーす!
コメントはどちらにしてくれても構いませんよ。ちゃんとどちらかの私が応対しますのでw
微力でも充分です。積み重なれば元気玉にだってなれますから。
天野寂さんのツイッターで森博嗣さんの『小説家という職業』について紹介してましたね。
天野寂さんのツイッターはちょくちょく拝見してますので、そういった情報は全て筒抜けですよ。ふふふ。
ツイッターで紹介されてたことだけでも結構へこみました。グサグサっと心に刺さりましたよ。だからこそ非常に興味が湧きましたので、ぜひ読ませてもらいます。何かを得られることを期待して。
おせっかいでも、優しいおせっかい、そして何よりも励みになるおせっかいです。すごく力になります。
みなさんの応援を糧に夢に邁進していきます。
じたまさん、コメントありがとうございます。
私の地元の方言はあまり特色が無いので分かりにくいと思います。
じたまさんは愛知出身の方ですか? 私の愛知出身の友達が「だら」とかよく言っているので。
えー、それでも私はいろいろな地方を方言聞いてみたいです。
なので、ぜひじたまさんも方言で記事書きましょう! なんて誘ってみたりw
おそらく入間先生が『660²』で参考にしたであろう作品ですから、一読の価値はありますよ。
機会があればぜひ読んでみてください。
半熟タマゴさん、コメントありがとうございます。
半熟タマゴさんはもちろん分かりますよね。
半熟タマゴさんが分からなかったら、私の今までの人生を一度見直さなければならないところです。
マイナーかつ特徴が無いですからね、分かる人は少ないでしょう。
聞いたことはないですが、混ざってるのかもしれませんね。
似たような方言を使う県も周囲にごろごろありますし。
本当にすぐ読めてしまうのでオススメですよ。
その割に中身が濃くて、印象深い作品です。本当に読んで損はしないと思いますのでぜひ。 - Posted at 2010.06.24 (10:23) by つかボン (URL) | [編集]
-
コメントありがとうございました。
ラノベ以上に一般書籍のほうが利用人数は多いこともあります。
もちろん、作品によりますが。
ところで、メディアワークス文庫も一般書籍と言う扱いのハズです。
ライトノベルではないようですので(どう見てもラノベですけどね!)
一般書籍でもラノベと変りない作品が多くなってきましたからね。新井素子さんの作品は特にラノベっぽい一般書籍ですよ。
100ページの本ってのもずいぶん薄いものですな。
短編集という感じなら読みたいと思います。
方言といえば、とうほぐだべー。
ええ、私が東北人です。牛タンと伊達政宗と魚臭いアニメイトの仙台弁系方言使いです。
どうでもいい方言話。
琉球語は「あ」「い」「う」だけしか母音がないそうです。
どんな風に発音するかまでは分からないのですけどね。 - Posted at 2010.06.24 (23:46) by サイと (URL) | [編集]
-
Re: コメントありがとうございました。
サイとさん、コメントありがとうございます。
予想以上に一般書籍が好評だったので、一安心しております。
確かに作品にもよりますが、誰かの人生に潤いを与えるような一冊を、これからも紹介していけたらなと思います。
そういえば、MW文庫も一般書籍ですね。
普通の一般書籍よりはラノベ寄りで読みやすいですが。
新井素子さんですか。そんな方がおられるとは。今度書店で見かけたときは立ち読みしてみたいと思います。
とても薄くて私も最初は驚きました。
短編集ではないのですが、100ページ程度ならその一冊が短編みたいなものなので、ぜひ読んでみてはいかがでしょう。
サイとさんはやはり宮城の方でしたか。
よくブログ内で宮城について触れてますよね。
東北の方言はわたしにとってまだ未知なので、どんなものなのか気になります。
魚臭いアニメイトw ちょっと吹き出してしまいましたw
ほー。そうなのですか。それは知りませんでした。
本当にどんな発音をするのでしょう。不可思議です。 - Posted at 2010.06.25 (22:23) by つかボン (URL) | [編集]
-
トラックバックさせていただきました。
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お気軽にどうぞ。 - Posted at 2010.12.03 (16:05) by 藍色 (URL) | [編集]