Colorful Concrete
おもしろき ことなき世を おもしろく 高杉晋作
空の彼方2/菱田愛日
- Posted at 2010.06.24
- lメディアワークス文庫
素顔公開
嘘だけど。
鏡の前で五秒で自画像を描いてみた。
どことなく特徴掴めてるかも。

我ながら暇だなー。
何やってんだろ、おれ。
――あらすじ――
旅人たちの帰りを待つ、防具屋「シャイニーテラス」の女主人ソラ。自由を求め、身分を捨てた元貴族の傭兵アル。二人の距離が近づきつつある冬の日、アルのもとに“元貴族”という立場を利用しなければならない任務が舞い込む。迷うアルの背中を押したソラだったが、彼が任務先で危機に陥ったことを知る。ソラは店を訪れる人々と協力し、アルを救おうとするが―!?不思議な防具屋を舞台にした、心洗われるファンタジー。第16回電撃小説大賞“選考委員奨励賞”受賞作第2弾。
――感想――
「いってきます」も「おかえりなさい」も、一人暮らしだと虚しいだけだよな。
第16回電撃小説大賞『選考委員奨励賞』受賞作第2弾。
続刊は出るかどうか怪しいところでしたが、出ましたね。
そして面白い! あとがきで作者も言っていたけど、続刊を出して正解だったと思う。
相変わらず文章が丁寧で綺麗。さっぱりしていて、非常に読みやすいのが嬉しい。
簡素なのに、過不足なく展開を伝えられるその技術は勉強になる。
前巻に引き続き、多くの人々の視点を盛り込んだ群像劇を描いている。
前巻で起きた事件を経て、お互いの距離がすこし縮まったアルとソラ。
そんなアルにある日、元貴族のアルだからこそ可能な任務が言い渡される。
任務の内容は、レジスタントが潜む村で暮らす貴族の娘を、婚約者のふりをして王都に連れ帰ってもらいたいというものだった。
貴族の過去は捨て去った。だけど、確かに自分の中には貴族の血が流れている。貴族であった過去は消し去れない。
そんな想いに苦悩するアルの背中を、ソラが一人の友人として押してあげる場面はとても印象的だった。
ソラから励みをもらったアルは、必ず帰ってくることをソラに誓って空の彼方に旅立つ。
しかしその後に、アルとソラを思いも寄らない事態が待ち受けていたのだ。
根本的な物語の形式は一巻と変わっておらず、一巻と比較してみると確かに目新しさはないけど、その中でも貴族としての過去に立ち向かうアル、待つだけの運命を変えようとするソラ、二人がそれぞれの決意を秘めて今まで繋ぎとめてきた鎖を断ち切ろうと動き出す心情の変化がみられた。
変わり始めたのはアルとソラだけではない。
ディランやラヴィアン。そして、今巻で初登場した傭兵のリックなど、誰もが自らの運命を自らの力で変えていく。
待っているだけでは何も変わらない。
ソラの想いを中心に、みんなが旅立つ者に手を差し伸べる。
シャイニーテラスにて、みんなの気持ちが一つになっていく様子には涙がこぼれた。
大切な人が見つかると、人は弱くなる。失う怖さを知ってしまう。だけど、その怖さを知ってるからこそ人は強くなれる。
「……待っていてくれて、ありがとうございます」
「僕の帰る場所で居てくれて、本当にありがとうございます」
この二文が、今回の物語の全てを表している。
素晴らしいお話でした。
次巻にも期待です。
関連商品
空の彼方 (メディアワークス文庫)
六百六十円の事情 (メディアワークス文庫)
初恋彗星 (メディアワークス文庫)
セイジャの式日 (メディアワークス文庫)
電波女と青春男〈5〉 (電撃文庫)
by G-Tools
嘘だけど。
鏡の前で五秒で自画像を描いてみた。
どことなく特徴掴めてるかも。

我ながら暇だなー。
何やってんだろ、おれ。
![]() | 空の彼方〈2〉 (メディアワークス文庫) 菱田 愛日 アスキーメディアワークス 2010-05-25 売り上げランキング : 4356 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「私は、今までずっと……待つことしかしてこなかった。それしか、出来ないと思ってた。でも、今回は救えるかもしれない。私は、待つだけじゃなくて。こんな離れた場所から、彼に手を差し伸べられるかもしれない。気休めかもしれない。思い上がりかもしれない。でも……救えるかもしれない」
――あらすじ――
旅人たちの帰りを待つ、防具屋「シャイニーテラス」の女主人ソラ。自由を求め、身分を捨てた元貴族の傭兵アル。二人の距離が近づきつつある冬の日、アルのもとに“元貴族”という立場を利用しなければならない任務が舞い込む。迷うアルの背中を押したソラだったが、彼が任務先で危機に陥ったことを知る。ソラは店を訪れる人々と協力し、アルを救おうとするが―!?不思議な防具屋を舞台にした、心洗われるファンタジー。第16回電撃小説大賞“選考委員奨励賞”受賞作第2弾。
――感想――
「いってきます」も「おかえりなさい」も、一人暮らしだと虚しいだけだよな。
第16回電撃小説大賞『選考委員奨励賞』受賞作第2弾。
続刊は出るかどうか怪しいところでしたが、出ましたね。
そして面白い! あとがきで作者も言っていたけど、続刊を出して正解だったと思う。
相変わらず文章が丁寧で綺麗。さっぱりしていて、非常に読みやすいのが嬉しい。
簡素なのに、過不足なく展開を伝えられるその技術は勉強になる。
前巻に引き続き、多くの人々の視点を盛り込んだ群像劇を描いている。
前巻で起きた事件を経て、お互いの距離がすこし縮まったアルとソラ。
そんなアルにある日、元貴族のアルだからこそ可能な任務が言い渡される。
任務の内容は、レジスタントが潜む村で暮らす貴族の娘を、婚約者のふりをして王都に連れ帰ってもらいたいというものだった。
貴族の過去は捨て去った。だけど、確かに自分の中には貴族の血が流れている。貴族であった過去は消し去れない。
そんな想いに苦悩するアルの背中を、ソラが一人の友人として押してあげる場面はとても印象的だった。
ソラから励みをもらったアルは、必ず帰ってくることをソラに誓って空の彼方に旅立つ。
しかしその後に、アルとソラを思いも寄らない事態が待ち受けていたのだ。
根本的な物語の形式は一巻と変わっておらず、一巻と比較してみると確かに目新しさはないけど、その中でも貴族としての過去に立ち向かうアル、待つだけの運命を変えようとするソラ、二人がそれぞれの決意を秘めて今まで繋ぎとめてきた鎖を断ち切ろうと動き出す心情の変化がみられた。
変わり始めたのはアルとソラだけではない。
ディランやラヴィアン。そして、今巻で初登場した傭兵のリックなど、誰もが自らの運命を自らの力で変えていく。
待っているだけでは何も変わらない。
ソラの想いを中心に、みんなが旅立つ者に手を差し伸べる。
シャイニーテラスにて、みんなの気持ちが一つになっていく様子には涙がこぼれた。
大切な人が見つかると、人は弱くなる。失う怖さを知ってしまう。だけど、その怖さを知ってるからこそ人は強くなれる。
「……待っていてくれて、ありがとうございます」
「僕の帰る場所で居てくれて、本当にありがとうございます」
この二文が、今回の物語の全てを表している。
素晴らしいお話でした。
次巻にも期待です。
関連商品
空の彼方 (メディアワークス文庫)
六百六十円の事情 (メディアワークス文庫)
初恋彗星 (メディアワークス文庫)
セイジャの式日 (メディアワークス文庫)
電波女と青春男〈5〉 (電撃文庫)
by G-Tools
スポンサーサイト