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テルミー きみがやろうとしていること事は/滝川廉治

夏と合戦と家族の絆


今日の金曜ロードショーは『サマーウォーズ』だよ!
まだ見てない人はぜひ見よう今すぐ見よう!

といっても、この記事を更新したときにはもうすでに始まってるのだけど。


テルミー きみがやろうとしている事は (集英社スーパーダッシュ文庫)テルミー きみがやろうとしている事は (集英社スーパーダッシュ文庫)
滝川 廉治 七草

集英社 2010-07-23
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「きみは、きみの力を正しく使う事で、残された人達の壊れてしまった希望を新たに作り直す事ができる。その人が最期に何を想いながら息を引き取ったのか、何をすればその人にとって一番の追善になるのか――本来なら永遠に解らなくなってしまう事を、きみのおかげで知る事ができる。
 きみは傷ついたみんなに、もう一度生きる力を与える事ができるんだ」



――あらすじ――
修学旅行での事故で失われたひとつのクラス。当日欠席したことで事故をまぬがれた少年・清隆は、ただひとりだけ生き残った少女・輝美が、亡くした恋人の遺品を持ち出したことに困惑する。問いかける清隆に輝美は、自分の中に亡くなったクライメイトたちの最期の願いが残されていることを伝える。少女はその想いをかなえようとしていたのだ。清隆は自分にも手伝わせてほしいと申し出るが…。悲劇から始まるやさしさの物語、読んでください。


――感想――
バッドエンドから始まる、やさしさの物語。

お財布の中身の関係上一度は購入を見送った作品だったけど、えらく評価が高かったので思い直して購入。
いきなり結末と呼べる悲惨な状況から物語が始まることも印象的だが、あらかじめハッピーエンドを迎えると断言されているのも非常に印象深い。
生と死を題材に扱った作品は数多くあるけど、ラノベでは珍しいかも。異色とも言える作品である。

しかしどうだろうか。
確かに面白いし涙腺を刺激される部分もあるのだけど、言うほど面白い作品でもないように思う。

そう感じる最たる原因は、登場人物に感情移入ができないことにあると思う。
地の文を見る限り文章力はあるのだが、何というか文章が冷たいのだ。物語の雰囲気上敢えてなのかもしれないが、もう少し温もりみたいなのがほしかった。
特に清隆は難しい。決して淡白な性格ではないのだが、心情表現がまずいのか、どうしても冷めているように見えてしまう。
あと、天才という言葉はそう易々と使わない方がいいのではないだろうか。天才の定義なんて曖昧なんだし、余程の人物像が描けなければ読者には伝わりにくいと思う。

とは言え、私が言っているのはあくまで周囲の評価ほどではないと言うだけであって、それは程度の問題である。面白いか面白くないかと問われれば、もちろん面白い。
読む人によって捉え方は違うだろうし、傑作だと思う人には傑作で、凡作だと思う人には凡作なのだろう。そういう意味では、傑作と凡作の線引きなんて存在しないのかもしれない。この本を読むと、そういうことも考えさせられる。

生と死に対してとりわけ哲学的になっているわけではないが、重くなりすぎず良い塩梅を保っていることには好感が持てる。
そして「どうして?」を「どうする」に変える。この発想の転換は素晴らしい。
人間は前向きに考えるより、後ろ向きに考える方が得意な生き物だ。「どうして?」じゃなく「どうする」。簡単なようで非常に難しい。
しかしそう考えることができたら、きっと輝美たちのようにバッドエンドもハッピーエンドに塗り替えることができるのだろう。

興味深い作品だった。次巻が出ればぜひ買いたい。


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Comments

作品への感受は人それぞれ、と改めて痛感しました。人に作品を薦めるのは難しいです。それでも続けていきますが。
私は中途の展開よりも、まず語りかける冒頭にやられてしまいました。奇をてらったわけではないのに、しんみりと心に残る筆致が胸に染み渡りました。ラストも然りです。
1つ、私が言いたいのは、「天才」という言葉を使うのがマズいのではなく、この筆者の地力の問題では、と思います。どうも作品全体の展開に波があるように感じました。
個人的プッシュは変わらないので、次巻は絶対買います。清隆についてもこれで終わらせてほしくないし、ですね。
Posted at 2010.08.07 (15:59) by ask (URL) | [編集]
Re: タイトルなし
askさん、コメントありがとうございます。

人の心は多種多様ですから、やはり人によって受け取り方は異なってきますよね。ですが、私もaskさんもこういうブログをやっている以上、薦めることはやめられないでしょう。言わば、私たちは記事を読んでくれる人たちが素敵な一冊に出会うための手助けをしているようなものですから。

確かに冒頭は印象的で、私の頭にも深く刻み込まれています。読者を物語に引き込むに充分なインパクトがあったと思います。
いえ、「天才」という言葉を使うことに関しては、私もとやかく言うつもりはないのです。てか、私がとやかく言ったところでですしねw
ただ「天才」という言葉はその特異性から、制御するのが非常に難しいと思うのです。「天才」の意味を説明しろと言われても、はっきり言って私はすぐには説明できません。そりゃ辞書で引けば何かしらの説明は出てくるでしょう。ですが、例えば「物語」と辞書で引いて出てきた説明を見て、それが「物語」の全てだと納得する人はいないでしょう。つまり読む人によって「物語」の受け取り方が千差万別に変化するように、「天才」も人によって受け取り方が変わると思うのです。「天才」というのはそれほど曖昧なものだと思います。だから、それこそaskさんの言うとおり、地力のない筆者は中途半端に「天才」という言葉を使うべきではないと思うのです。
定義の曖昧な「天才」という言葉は使うことが非常に難しい。だけどどうしても使いたい。
そう思う小説家もこの世には少なからずいるでしょう。ではどうすればいいのか。
私の個人の意見としては、定義が曖昧なら自ら定義を決めればいいのではないかと思います。これはちょっと言い方がまずいような気がするのですが、例えば西尾維新の『クビキリサイクル』に登場する天才は、みんな一様に人類を超越した才能を持っていました。これは最も簡単な「天才」の定義付けだと思います。程度甚だしい荒唐無稽な才能を持っていれば、誰だってその人のことを「天才」だと思うでしょう。そういう意味で、西尾維新は単純かつ明快に「天才」を表現することに成功したと言えます。
まぁ、つまり何が言いたいのかというと、「天才」の定義付けができないのであれば、軽々しく使わない方がいいのではないかということです。

……とまぁコメ返で長々と語ってしまいましたが、ここまで書いておきながら何だか恥ずかしくなってきましたw 「天才」の定義とか、この作品で語るようなことじゃないですよね。別に「天才」をテーマにしているわけじゃないのですから。
すいません、忘れてください。といっても文字として残ってしまいますがw

何だかんで私もこの作品には期待しています。
次巻を待ち望む気持ちは、askさんと同じです。と、無理矢理感が否めない締めでコメ返を終わらせますw
Posted at 2010.08.07 (23:13) by つかボン (URL) | [編集]
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つかボン

Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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