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とある飛空士への恋歌3/犬村小六

何事にも全力で余力は残しておくべき


友達から聞いたちょっと面白い話。
睡眠時間が短い人は、脳や筋肉の機能が六割程度しか働かないらしい。

ということは、基本的に睡眠時間の短い私は、普段から「私はまだ六割の力しか出しておらんぞ!」とか言えちゃうわけだ。
けど十割出そうと思ったら寝なきゃいけないから、手間暇がかかって結局言い訳で終わってしまうという件。


とある飛空士への恋歌3 (ガガガ文庫)とある飛空士への恋歌3 (ガガガ文庫)
犬村 小六 森沢 晴行

小学館 2009-12-18
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「きみと一緒に眠るの、大好きだった」
 銀狐の首尾線、エル・アルコンに合わさった。カルエルはそれを見向きもしない。
「朝起きたら、きみに蹴られたりしたけど」
 銀狐の牙が、後方から襲いかかる。徹甲弾の閃きが中空を裂く。
「殴られるのわかっててもさ」
 カルエルは左フットバーを蹴った。
「きみのそばだと安心できたんだ」



――あらすじ――
8月の強烈な日射しのもと、過酷な陸戦訓練を続けるカルエルたち。戦闘への不安と焦燥が募る中、それは若き飛空士たちの間に恋愛をも育んでゆく。そして、イスラはついに噴き上がる海「聖泉」へ到達する。これより先は「空の一族」が支配するといわれる未知の空域。カルエルたちは、イスラ後方への索敵飛行を余儀なくされるが―。「いつまでもみんなと一緒に空を飛びたい」ただそれだけを願った少年少女たちが飛ぶ空は、美しいだけでなく残酷で…。王道スカイ・オペラ「飛空士」シリーズ、驚愕と慟哭の最新刊。


――感想――
涙なくしては読めない、空前絶後の最高の一冊。
ただ大切なものを守るために空に命を賭ける飛空士たちの物語第3弾!

「なんだこれは……」
読了後、本作を目の前に掲げて私はついそう呟いてしまった。何かこう、高次元の領域に触れてしまったような感覚が体中を駆け巡ったのだ。
しばらく茫然自失としてしまい、気づいたときにはPCの前でこの記事を書いていた。
決してアリーメンに選ばれ妖精が見えたわけじゃないけど、揺らめく意識の中で見えたのは果てしない空と一機の飛空機だった。

なんて大袈裟に表現してしまったけど、これはマジで面白い!!
感想は書きたいけど、この感動は言葉なんかでは伝えられない。たぶん、読んで得られる感動の半分も伝えきれないと思う。
それでも、一言一言を噛みしめ、よく咀嚼しながら今この記事を書いています。
出来るだけ純粋に、出来るだけ素直に、どう感じてどう心が動いたかを伝えていきたいと思う。

前巻とは打って変わって、今巻では物語が激化の一途をたどっている。
日常パートから空戦パートへ局面は移行し、描かれるのは戦争の悲惨さ。
序盤こそ平和な風景が描かれているが、そこからの急転具合には目を見張るものがあった。

ようやくイスラは「聖泉」へ辿り着き、飛空科の生徒たちは楽しい日常に別れを告げなけらばならなくなる。各々が先に待つ「空族」との戦いへ想いを馳せ始め、そして誰もが思い思いに覚悟を決めていくのだ。
戦力不足から飛空科の生徒も任務に加わることになる。
大好きなイスラを守るため。美しい理由を胸に空へ飛び立つ飛空科の生徒たち。
しかし、そんな美意識を嘲笑うかのように、待っていたのは残酷な運命だった。

およそ二分の一の容量で怒涛のごとく描かれる空族との戦い。臨場感に富んだ空戦模様に思わず息を呑んでしまう。
自らの命も顧みない好戦的なドクトリンと、圧倒的な戦力に徐々に追い詰められるイスラ。
そんな中でも、大切なものを守るために最後まで自分の出来ることを貫き通そうとするチハルとミツオの姿が、本当に眩しく映った。

けど戦争にお約束の展開なんて通用しない。
第二波、第三波と押し寄せる敵勢。終わることのない絶望的な緊迫感に何度も胃が縮みあがった。
ただ空を飛びたいだけなのに。そんな想いを軽々しく引き裂いていく。それが戦争なのだ。

初めての実戦でカルエルが目の当たりにした命の散華。
あまりにも呆気なく訪れた死に、カルエルは目の前の現実に混乱する。死はこんなにも軽いものではないはずだと。
しかし嬉しかったのは、マザコンでヘタレでナルシストでどうしようものなかったカルエルが、残酷な現実を叩きつけられてもへこたれなかったこと。
大切なもののために、カルエルは生きることを諦めなかった。
そしてカルエルの成長とともに開花する飛空士としての才能。
この辺りで感動と興奮が最高潮に達して、まったく歯止めが効かなかった。

そして最後の「海猫」。
これはもう……言葉が出ません!

さらにさらに『追憶』ファン必見の展開も待っていたりと、この一冊だけでどれだけ感動させられたことか。
冗談抜きで、一文たりとも見逃せない。これでまだクライマックスではないんだから驚き過ぎる。

最後のアリエルの台詞の破壊力は反則すぎるけど、カルエルとアリエルの絆も一層深まり、また、今回ほとんど活躍しなかったクレアや謎多きイグナシオなど、まだまだ見どころはたくさん。
とにかく早く四巻を読みたい。



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つかボン

Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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