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死なない生徒殺人事件~識別組子とさまよえる不死~/野崎まど

大学生のSAGA


最近食生活に貧乏根性が根付いてしまいました。大学生だから仕方がないと言えば仕方がないんですが、果たして削減するべきは食費なのかと、日々悩んでいます。

この前も、友達と「はな○うどん」に出かけたとき、「温玉ぶっかけうどん」の写真を見ながら「うまそー」とぼやいていると、隣にいた友達が「あんなの、かけうどんにサイドメニューの半熟卵乗せたら同じじゃん」なんて言ったわけです。私はその発言に対して、たしかにな、と躊躇なく納得してしまったわけですが、値段を比べてみても100円ぐらい「かけうどん+半熟卵」のほうが安いのがまた私の貧乏根性に拍車をかけるというか。

その後も、「『ごまねぎうどん』もかけうどんにサイドメニューの追加ねぎと、無料サービスのごまをトッピングしたら作れるな」みたいな話で盛り上がったりしたわけですが、実際にそのメニュー単品で頼まなくても格安で作れちゃうんですよね。
あれはなんなんでしょう。あれでしょうか、店員の技術料的なものがかかっているのでしょうか。
まぁ事実は、「かけうどん」の異常な安さに起因しているんですが。

でもそんなことを考え、かつ実行に移す生物なんて私のような大学生だけなんだろうなぁと思うと、色んな者や物に対して泣けてくるわけです。
まぁ大学生なんて、思いつく限り節約するのが仕事というか義務みたいなものですから、お金さえ無事ならいいじゃないと高らかに宣言できちゃうんですが、逆に言うとお金さえ無事ならなんでもしちゃいます。というのはさすがに言いすぎでも、多少の恥や外聞ならだれでも棄てちゃいます。汚い話ですが、なにをするにしてもお金あっての大学生活ですから。でないと楽しめない。

これから大学生になる人。特に一人暮らしを始める人は、その部分を理解しておくと、大学生活が少しは楽になるかもしれません。保証はしません。


死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死 (メディアワークス文庫)死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死 (メディアワークス文庫)
野崎 まど

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「でもそうだねぇ。今の世の中、なにが起きるか判らないからね。下手をしたらまた殺されてしまうかもしれないな。そうだね……もしそうなったら」

「また生き返るよ」



――あらすじ――
「永遠の命を持った生徒がいるらしいんですよ」生物教師・伊藤が着任した女子校「私立藤凰学院」にはそんな噂があった。話半分に聞いていた伊藤だったが、後日学校にて、ある女生徒から声をかけられる。自分がその「死なない生徒」だと言ってはばからない彼女だったが、程なく彼女は何者かの手によって殺害されてしまう―。果たして「不死」の意味とは?そして犯人の目的は!?第16回電撃小説大賞“メディアワークス文庫賞”受賞者・野崎まどが放つ、独創的ミステリ。


――感想――
待ってましたの野崎先生の新作!

不敵。不敵すぎる。
毎回その突発的で斬新な内容に驚かされる野崎作品だけど、今回はなんというか意地が悪い。読者を焦らしているというかいたぶっているというか。言うなればドS小説。
まさか小説に苛められる日が来るとは予想だにしなかったよ。

悪い意味ではなく良い意味で受け取ってほしいのだが、読んでいると精神に悪い。紙面上の活字が孕む影響力が凄まじい。
そういった点はアムリタに通ずるものがあるけど、あちらはその影響力が『恐怖』から来るものだと判明しているのに対して、こちらは正真正銘正体不明。
考えれば考えるほど泥沼にはまっていくというか、むしろ考えることが意味を成さないような。答えのないクイズを出題されてる感覚。タイトルからして意味不明だもんなー。
例えば、四角形と五角形の間の図形だとか、あらすじで触れられてる永遠の命の定義だとか。
そんなまるで現実感のない事柄がつらつらと並べられて、手の届かないところが痒くなるような気持ち悪さがまとわりつく。

しかしこの作者の凄いところは、それらの荒唐無稽な話を読者に納得させる表現力だと思う。それが当然、とまではいかなくとも、おかしくはないと頷かせてしまう強引なまでの説得力が、野崎先生の文章にはある。
どうしてこんな解釈ができるんだろうと、常々疑問なんだよなぁ。これは視点の問題なんだろうか。しかも野崎先生の場合、視点を180度変えるなんてレベルの類ではないように思う。結局それって平面世界の捉え方にすぎないわけだから。
野崎先生の場合は立体で捉えてるような気がする。横、あるいは斜め、あるいは奥に視点の角度を変えるみたいな。
まぁ、これはあくまで私個人の解釈で、本人はここまで過大評価されるのは嫌がるのかもしれないけど。

個人的にはアムリタと同じぐらい好きだった。てか、物語の雰囲気というか、ぶっ飛び具合がアムリタを彷彿とさせる。ぶっ飛んだ後の収束感とかもね。仮面の女は若干収束し切れてなかった感もあるし。
アムリタ、仮面の女に続き、キャラどおしのセンスある掛け合いも健在で存分に笑わせてもらった。
そういえばアムリタのころはどこか西尾維新を思わせる掛け合いだったけど、今となってはもう別物だよね。これも経験の賜物か。

興味深かったのは、物語上で語られる『不死』の真実について。思わず「おー」の感嘆の声を漏らしそうになった。
少し無理があるようにも思えたけど、この作品の雰囲気なら、もっと言うなら野崎先生の書く作品ならこれぐらいの机上の空論がベスト。しっくり来る。野崎作品の読者はこういうのを求めてるからね、と読者代表で代弁してみたり(調子に乗ってすいません)。
そして、まさにその机上で踊るちょっとずれた女の子たちがそれはそれは魅力的で。さすがにアムリタに比べるとキャラの弱さは否めないけど、その中でもおゆきさんは別格。ちょーお気に入り。

もうお馴染みとなったラストのどんでん返しも絶好調。
お馴染みとなってしまったらもはやどんでん返しじゃない上に、今回はオチが読めてしまったけど、野崎作品の読みどころはどんでんが返された後なんだと、私なんかは思う。
つまりなにが言いたいのかというと、どんでんが返されてしまったら、今まで読んできた物語に対する解釈をすべて書き変えないといけなくなるということだ。
それほどまでに野崎作品のどんでん返しは強烈。きつい言い方をすれば読者を突き放してるとも言える。今回は特にそれが顕著だったかなと思う。だって、ラストの幕引きからしたら、識別の立場はどうなっちゃうの? って心配になっちゃうじゃん。
でも決してそれが悪いというわけではなくて、それを面白いと感じてるからこそ、こうして今もお金を払って読んでいる。野崎先生の書く物語に、それだけの価値があるから。

そんなわけで、ストーリー、キャラ、会話、オチ、あらゆる点で楽しむことができました。
これで次回に期待するなというほうが無理な相談で、無理なら仕方がないので次回作にハチャメチャ期待してます。


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Comments

うどんに卵乗せただけで百円高くなるって、何か理不尽な気がします。
私は現物を見てないので何とも言えませんが、もし全く変わらないのであれば、「温玉ぶっかけうどん」を買っているヤツらは騙されてるんですよ!
店が陰謀を駆使して、百円掠め取ってるんですね。

それにしても、私も春から自分で稼いでいかなきゃなんないんですね~。
まあ、私の場合は大学行かず、一年間色々と独学するわけですから、親の厄介になるのかもしれませんが。
一刻も早く作家として自立できるよう、春までにその基礎を作っておきたいものです。
Posted at 2010.11.16 (17:09) by サクラ (URL) | [編集]
つかボンさん、こんばんは。
今は、自宅なんで食費とかは気にしたことないですね~
やはり一人暮らしだとそういうのも気になるんですかね。
私は、あと数か月で一人暮らしとなりますが、食事に関しては自炊する気0ですねwできないことはしない!!

野崎先生の作品はまだ「アムリタ」しか読んでないんですが、あの衝撃は忘れられないです。
レビューを見る限りこの作品も半端なさそうですね。
あの衝撃をまた味わうために、読んでみたいと思います。
Posted at 2010.11.17 (00:35) by じたま (URL) | [編集]
心の底から騙されたと感じる小説を書ける方は
本当にすごいと思います
自分はどちらかというと伏線張るのが苦手なので
野崎さんはとても参考になります

今でこそ自炊というか暇なときに料理をしますが
大学生になったらどうなるんだろう?
まあ、まだ1年とちょっとあるので
当番で腕を磨いときます
Posted at 2010.11.17 (22:51) by シャモ (URL) | [編集]
Re: タイトルなし
サクラさん、コメントありがとうございます。

あれには私も陰謀めいたものを感じます。温玉と半熟卵がどう違うのかは判然としませんが、違いがあったとしても気にするほどの差があるとは思えませんし。
まぁ、そんな貧乏的な考えは学生ならではなんでしょうが。

大学への進学もひとつの社会勉強だとは思いますが、サクラさんのように進むべき道がすでに見定まっている人は、そのためには多少の親への迷惑も仕方がないかと。親もサクラさんの将来に賛成してくれているなら、望むところでしょうし。
でも、サクラさんにとっても親にとっても、できるだけ早く作家として自立できることが一番でしょうから、高校を卒業してしばらくは辛い時間が続くかもしれませんが、それも社会勉強と思って頑張ってください。応援しています。

じたまさん、コメントありがとうございます。

食費はすごく気になりますよー。食費が1ヶ月の生活費を左右すると言っても過言ではないですから。いや、本当に。
なので最低限の自炊はできたほうがいいかもしれません。毎日外食や弁当だと結構厳しいと思います。でも、社会人だとやはり余裕はあるのかもしれませんね。

アムリタほどの衝撃ではないとはいえ、今回もビリビリ来ますよーw あぁ、野崎ワールドだなぁ、ってしみじみと実感できる内容になっています。
ぜひ一読してみてください。

シャモさん、コメントありがとうございます。

ですよね。
ミステリーは自分がトリックを理解してしまっている分、この表現で本当に騙されてくれるだろうかと不安になります。
自分がトリックを考える側でありながら読者の立場に立てる作家さんはすごいです。そういう意味で、野崎先生は大変参考になる作家のひとりですよね。

自炊は思いっきり訓練する必要はないと思います。料理が好きな人はいいと思いますが、大学生になれば、食費を低く抑えるために知識を生かして創作料理に励んだりするようになると思いますので、本格的な技術や知識はあまり必要にはなりません。今のシャモさんのように暇なときにしてるぐらいでも十分にひとり暮らしで通用すると思いますよ。私もそうでしたから。
Posted at 2010.11.18 (01:12) by つかボン (URL) | [編集]
えーっと、twitterでお世話になっている者ですです。
うどんは「べっ、、別に卵なんてなくてもいいしー、お金がない訳じゃないのですよ。ええ」って言いながら、値段みて、悩んでる人です(考える人より考えている自負があります!!)

死なない生徒読もうと思ってたのにー
先とられちゃったぜー
(キモチワルイさわやか笑顔で)負けたぜ―
って感じです。

そんなワタクシがコメントしたのはアレです。
訪問販売しに来たのですよ。
[くくるくる]っていう作品がヤバかったのですよ。
ってことで(立ち読みでもいいので)読んでください!!URL貼っておきました。
(長文失礼しました)
Posted at 2010.11.20 (10:43) by 変態 (URL) | [編集]
Re: タイトルなし
変態さん、コメントありがとうございます。

誰だか気づかなくてコメ返遅れちゃいました。
いえいえ、こちらこそお世話になっていますます。

分かりますよ。「べ、別にタンパク質が足りてないわけじゃないんだからね!」とか言いながら値段表の前で悩んじゃいますよねーw え、それは違う?

がははー。
先に読んじゃったぜー。
面白かったぜー。
ぜひ読んでみてくれぜー。
って感じ……あれ、最後のほうおかしい?

なんと、コメントの実態が訪問販売だったとはw しかもご丁寧にリンクまで。用意周到ですねw
この作品気になってはいたんですよ。でも最近積み本が増える一方なんでできるだけ新作は控えようかなと思っていたんですが、ヤバいということなので、手に取ってみようかと思います。わざわざ訪問販売に来てくれたことですしねw

ちなみに、長文は大かんげーですよー。
Posted at 2010.11.22 (00:23) by つかボン (URL) | [編集]
よぉ、俺。
失礼。貧乏性への共感と変態さんへの「でびるーく」としての正しい挨拶をレクチャーしようかなといった雑念が先行してタメ口になってしまいました。

私はこの作品をつかボンさんより先にレビューできたことが嬉しかったです。それくらい好きな作品ということでw
野崎さんはどうも本田さんと似通った部分があると思うのですがどうでしょう。
1冊目で思い切り騙しておいて、2冊目以降で読者の心理を逆手に取ったトリックを放ってくる。読者としてこれほど頭にくる&面白いと思える仕掛けはないと信じてます。
アムリタほどの鮮烈さはない、と私も言いましたが、読者に免疫ついてるんでしょうねw 多分これが野崎ワールド初体験の方なら、十分あの骨抜き感を得られるかとw
Posted at 2010.11.25 (21:13) by ask (URL) | [編集]
Re: タイトルなし
askさん、コメントありがとうございます。

おやおや、askさんはもうすでに貧乏根性が染みついてるのですか? と言っても、高校生は元よりそれほど財力があるわけではないですからね。ですがその精神は大学生になったとき、きっと役に立つと思いますよw
てか、変態さんにレクチャーしてどうするんですかw

そういえばaskさんのレビュー早かったですね。熱が込められてました。
おそらくこれから、新刊は私より早くレビューすることが多くなると思いますよ。最近は読書時間が減少傾向にあるので。読みたくても読めないというのが現状です。
野崎先生と本田先生は、askさんの言うように読者の心理を逆手に取ったトリック、そういった物語の構成の部分では似ているかもしれませんね。また、野崎先生の奔放な世界観。本田先生の空想病という設定。この二つは、『なんでもあり』という点でもまた似通っているのかもしれません。
免疫はついてしまったかもしれませんね。それでも、これほどの面白さを保っていられるのは、やはりさすがといったところでしょう。
Posted at 2010.11.27 (12:30) by つかボン (URL) | [編集]
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Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
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