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ぼっちーズ/入間人間

感想がめちゃくちゃ長くなってしまったので、今日は感想だけ。


ぼっちーズぼっちーズ
入間 人間

アスキーメディアワークス 2010-11
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 俺たちは、常にメッセージを発信している。下らない行動、奇をてらうような発言、自分だけの特別でしかない仕草。その中に真摯に、どうしても伝わって欲しいメッセージを込めている。それに気づいてくれなんて言われたって、他人は『無茶言うな』としか返せない。分かる、それは痛いほど分かる、けど。俺たちは、こういう伝え方しか選べない。
 そんなやりとりの中でもし親しい間柄の人間が生れたのなら。
 それこそ、奇跡のようなものなんだろう。



――あらすじ――
友達すらつくれない僕にも、好きな人ができた。
空を自由に飛びたいわけじゃない。愛と勇気を友達にしたいわけじゃない。明るく光る星一つ見つけたいわけじゃない。僕が望むのは、普通の人のまわりに、当たり前にあるべきもの。酸素とチョコレートの次ぐらいに、誰もが気軽に手にしているもの。漢字二文字で、世界の在り方を大きく変えてしまうもの。孤独と集団の壁を生み、ときに壊すもの。
友達。
生まれて初めてその単語を口にする。僕は独りぼっちだ。
友達。
それは僕にとっての途方もない奇跡の象徴。僕と他人が揃っても、『友達』にはならない。『ぼっち達』になる。僕の場合、1と1が合わさっても、2にはならない。なぜか1と1が、延々と続いていく。なぜだ。僕は祈る。どうか届け。できれば神様に。途方もない可能性を内包するご都合主義的な奇跡よ、降臨せよ。
友達。
僕はそれが、欲しい。すべてはあの忌まわしき楽園、秘密基地から抜け出す為に。


――感想――
感想書けないよー感想書けないよー、と悩み続けて早1週間。
一体読んでからどれだけ時間が経ってんだよと自分に喝を入れてようやく本腰を入れて書きました。
いつも通り前後の文脈とか無視してる箇所が多々あるけど、これが本作を読んだ後、様々な想いが渦巻いていた私の脳内だと判断してください。

ということで、メチャクチャな感想だけどご容赦。
あと、今までで最長の感想となっております。ご注意を。

さて、やって参りました。我らが入間先生のハードカバー2冊目。
前作『僕の小規模な奇跡』が素晴らしすぎたので発売前から期待大でした。
始めに言っておくと、ハードカバーの値段なんてまったく気にならないぐらいの出来だったぜ! むしろお釣りをもらった気がして申し訳ない気分。ごちそうさまでした。

……と、もう終了の合図を出してしまったけど、そういうわけにもいかないので。
まずは表紙についてでも触れておこうかな。
表紙のイラストは『六百六十円の事情』と同じく宇木さんが担当してくれています。この人の絵は作品の雰囲気を上手く引き出してくれるから大好きです。
今回は登場人物たちが寄り集まって闘うべき『敵』に立ち向かっているという構図。初見ではアロハの男が浮いてるなーと思ったら、文字通り浮かび上がってた。
暗めのブラウンでショートカットの女の子がかわうぃー。その後ろのセミロングの女の子もかわうぃー。
あと、若干見切れてるけど、その理由は本編を読んでもらって裏を確認すれば分かります。ちょっとした仕掛けに気づいてニヤニヤしてしまった。この心遣い(?)で先輩のことが一気に好きになってしまったのは内緒。

んで、内容。
詳しくは後記するとして、今回も予想通り群像劇です。入間先生最近好きだよなー。いや、もともと好きだったんだろうけど。
そしてお得意、と勝手に決めつけてるけど舞台は大学で、大学生が主役の物語。
相変わらず大学生の描写がリアリティに富んでいて上手い。頷きながら読んでしまうのはもうお馴染み。
ちなみに舞台となっている大学は、坂や霊園など類似する描写が出てくることから『僕の小規模な奇跡』と『バカが全裸でやってくる』の大学と同じ。ま、入間先生が通ってた大学らしいんだけどね。知っている人は、大学周りや大学内の風景描写で分かっちゃうだろうな。

あらすじにもあるように、今回のテーマは『友達』。
友達もできず大学で孤立してしまったぼっちたちが、恋をしたり、友達作りに励んだり、居場所を探し求めたりと、ぼっちなりに孤軍奮闘する青春物語となっている。

私は正直今までの人生で友達というものに困ったことはない。
他人に合わせるのが得意というか、その場の空気に自分を馴染ませることが得意だったから。
でもだからこそ、最近友達についてよく考える。わざわざ自分から合わさなければならない相手を、果たして友達と呼べるのだろうかと。
高校のころまでは仲良しこよしに自ら励んでいて、必死にたくさん友達を作って浅く広い人間関係を築いていた印象が強い。でも大学生になってから見方が変わったなぁ。もう仲良しこよしは終わり。深く狭い人間関係を築き始めた。
だって、浅く広い関係に縋ったって後にはなにも残らない。だったら的を絞って、中心を射抜いた方が幾倍も生産的だと思う。
だから今は、大学では限られた友達としかつるんでない。キャンパス内で偶然顔見知りに会って、二言三言会話することはあってもそれ以上の交友はない。ときには独りで講義を受けることもあるし、食事をすることだってある。それで良いと思う。

ついこの間、来年から始まるゼミの初集まりがあった。
ゼミが始まる前の顔合わせ&新しいゼミ生(=私たち)の歓迎会を兼ねた飲み会だった。
そこで友達について色々思うことがあったんだよね。
相変わらずお得意の周りに空気を合わせる手法で馴染もうと思ったんだけど、なにかが違った。馴染めてるようで馴染めてなかった。
大学生になってからその特技を披露する機会が薄れたからか、どことなくぎこちなくて胸の中で落ち着かないなにかが蠢いていた。
それで悟ったんだよね。
あぁ、この人たちとは友達になれないって。
きっと親しくなれるとは思う。
でも、親しくなったからといってそれで友達というわけではないだろうと思う。
あくまで親しいだけ。愛想笑いを浮かべて会話は成り立つだろうけど、居心地は至って良くない。そんな悪印象を生む相手を私は友達なんて呼ばないと思う。
本書でも述べられてるとおり、友達がなんなのか私にも分からないけど、間違いなくこのゼミが私の秘密基地、もとい居場所でないことは確かだった。そんな場所でこれから私どうなるんだろうなぁ。
始まる前から不安なんて、先が思いやられる。

とまぁ、私の事情なんてどうでもいいんだごめんなさい。
前置きが長くなりすぎたから、そろそろ詳しい内容に触れていくよー。
群像劇だからもちろん繋がりはあるんだけど、章ごとに語り部が変わって短編のようになっているので、例のごとく章ごとに分けて書いていきます。


0『秘密基地創世記』

他のなにが手に入らなくても良いから、他のなにができなくてもいいから。
求めるものはただひとつ。
当たり前のように目の前にあっても、手を伸ばして届かない。
どうかご都合主義な奇跡よ、ぼっちに降り注いでくれ。

7670『いつか君との電気ロケット』

ぐはっ。
この章の語り部を務める『僕』の行動がかつての私と似通りすぎていて、昔の自分を眺めてるみたいで羞恥心に悶えた。
想い人に会うために、その人がアルバイトしてるクレープ屋に毎日通う『僕』。
いやー、すごく気持ちが分かるんだわ。どうにかこうにかアピールしようとして、とにかく接する機会を作ろうとする。でも結局ろくに喋りかけることもできなくて、運良く向こうから喋りかけてくれてもなんの予防もしてないから愛想の悪い対応しかできない。そして後で後悔に埋もれるんだよなー。経験アリアリですわ。
『僕』の場合、ぼっちだからコミュニケーションに長けてるわけでもないのに、好きな人との接し方なんてほんと未知だろうよ。

合宿のくだりが入間先生の実体験ではないのかと思えて、なんか泣きそうになった。
大学生ってそんなに冷たいかなー。でも大学という場所はひとつの町のようなものだから、隣家ならともかく数百メートルも離れた家の事情なんて興味ないよな。そういうことなのかもしれない。
別にだれに責任があるわけじゃない。ただ、集団は必ずしも足し算では成り立ってないってこと。

そんな『僕』にある日、謎の保険医(自称)から謎の鍵を渡される。その鍵は『秘密基地』と呼ばれる部屋に通じる鍵らしく、そこは大学で孤立してしまったぼっちにとっての『居場所』だった。
正直、この章を読んだ限りでは秘密基地の意義がいまいち掴み切れなかったんだよね。でも先を読んでいくにつれて焦点が定まってきた。つまるところ、『帰る場所』なんだ。
外の世界で『敵』と闘って、疲れたら休める場所。自分がいても良い場所。居場所があるから、いざというとき行動できる、ってこと。この辺りの解釈はすごく入間先生らしいと思った。

笹島のライバル心の元にはつい頬が緩んでしまった。笹島、『僕』好きすぎだろー。
自分でも理解し切れてなかったみたいだけど、そういうことなんだよねー。
てか、野菜ってどんな顔だ。レンコンって。

そして中村さん。表紙のセミロングの女の子です。
いやー、なんだ。可愛いなこの人。
ちょっと感性がずれてるとことか、たりゃーとか、夢ワードとか。
秘密基地にも妙な憧れを抱いてて、そういう意味では豆が毎日通い続けたアピールの意味はあったってことなんだろうね。

ちなみにこの章題の元ネタは、おそらく『THE GARDEN OF EVERYTHING ~電気ロケットに君をつれて~』という歌だと思います。作詞を坂本真綾さんが務めていて、歌も美声で歌っておられます。真綾さんだけでなく、外人の方(?)も歌っておられます。
歌詞が英語なのですが、翻訳などを見てみると、この話の内容だと窺える部分がありますのでほぼ間違いないかと。詳しいことは調べてみてください。曲自体素晴らしいのでぜひ。

でまぁ、内容に戻りますと。
秘密基地での友達会議を経て、そして笹島の雄姿を目撃して、ようやくひとりのぼっちが重い腰を上げるわけです。後で発覚した事実のことを考えると、上げすぎて飛んでる感は否めないけど。折り鶴だしね。
でもここからの展開は大好き。
「きっと、あなたみたいな人が必死にもがいて、他の人との距離を埋めようと試行錯誤した結果の一つなんだと思います」
後にも出てくるけど、中村さんの友達に対する解釈には甚だ感銘を受ける。
友達創生譚。だからこそ、名前をつけて区別する必要なんてないんだよね。
人づき合いに悩んだ人々の、あくまで結果のひとつにすぎないんだから。

『僕』の物語は終わりではなく、ここから始まっていく。

0『秘密基地創世記Ⅰ』

終わりを象徴する墓場で、始まる物語。
蘇りを願って叫ぶ、ぼっちが独り。
そしてぼっちの叫びにシンクロするぼっちが、また独り。
闘いが始まる。

8766『朝と夜のオセロ』

これまた切ない。切ないというか、この章の主人公の境遇が痛いほど理解できてしまう。
『僕』のときは主に恋愛方面での同調だったけど、こちらは生き方そのものが。
自然体で生きていたら独りぼっちになってしまった羽生田順。一人称『俺』。
そうなんだよなー。自然体でいるとどうしてか独りぼっちになってしまう。そもそも、自然体でいること自体が難しい。私も何度も試みたことがあるけど、結局は失敗に終わる。順が友達を得られなかったのと同じように、どこかで亀裂が生まれてしまうんだ。
あるがままに生きても溝ができるなんて、矛盾してるよなぁ。だからこその集団なんだ。自分本位に振舞っていたら浮いてしまう。自分らしくありたい人は、どうあれぼっちになるしかないんだろう。
恐れ多くもぼっちではない私がこの話に共感できたのは、私がもしぼっちだったらきっと順のような生き方をしてただろうなぁと想像できたからだと思う。

『僕』と同じく謎の保険医から秘密基地の鍵を渡された順は最初こそ秘密基地の快適さに感動していたけど、このままではいけないと、同じような境遇のぼっちを友達にすべく、夜の大学を徘徊していた。
そんなある日、森川豆という男が順に声をかけてきた。彼も順と同じくぼっちで、友達を作るべく友達会というサークルを運営して人を勧誘しているという。
そして成行きのまま、なぜか毎夜同じ場所に集まって、二人はオセロをすることになる。

オセロをしながらの二人のやり取りが興味深い。
なにが友達なのかと議論したり、毎晩オセロをする中でも俺たち二人はどんな間柄なのだろうと悩んだり。この辺りの絶妙に曖昧な距離感の描き方はさすがですよ。友達を真似てくだらない会話をする初々しさとか、読んでてこう、逆にこっちが恥ずかしい。

友達の口頭確認の場面とか、確かになーと深く頷いてしまった。
口頭確認なんてしたことないけど、じゃあどうすれば他人は友達になるんだ? どの境界線を越えれば、友達という間柄に昇格するのかなんて、だれも説明できないんじゃないの?
だったら、友達ってなんなんだって話になる。わざわざ名前なんてつけても、だれも定義できるわけじゃないのに。人類がこれから先もずっと悩まなきゃならない、永遠の疑問に直面した気分だった。

この話でも群像劇らしく様々な人と共演してるけど、嬉しかったのは全裸バカのバカが出てきたこと。出てきたと言っても、話のネタにだけど。おそらくバカはこのときもう大学にはいない。そういえば前の章では生協の本屋にとある作家さんの特設コーナーがあるという描写があった。甲斐抄子か、それとも……。

さてラスト。
このラストはヤバい。順がなー、素直になり切れなくても真っ直ぐに走り続ける姿が『らしい』。順らしくて、入間先生らしい。
そしてこのオチである。深刻な理由があったわけじゃなくて、今までの不安はなんだったんだバカヤローと叫びたくなっても、でもストンと地面に落ち着くような心地良さ。
そして対面して順が放った言葉。
「そう。夜が来ることも、朝を迎えることも両方楽しめるやつになるのが俺の目標だよ」
良い言葉だよなー。いつか順が朝を楽しめるようになったら良い。
そして、
「友達ってさ、似た位置に居場所を作っているやつらの集まりなんじゃないかって考えてた」
順にとっての居場所は、森川とオセロをする場所だったんだろうなぁ。
この言葉から繋がる幕引きがまたサイコーすぎる。個人的に一番好きな話でした。

物語は、続いていく。

0『秘密基地創世記ⅠⅠ』

会話ではなく、独り言を二つ重ねるぼっちが独りと独り。
坂を上って、目指すは始まりの墓場。
独りぼっちたちの基地を求めて。
しかし降ってきたのは奇跡ではなく、野球ボールだった。

9861『不正恋愛譚』

章の扉絵の中では一番好きなイラスト。
性格の枠組みに才能が加われば天才と呼ばれる、と言ってのけるだけあって捻くれてる感じがよく表されてる。でも清々しさも付随してるから、なんかカッコよく見えるんだよなぁ。

この話では蓮池鞠、一人称『私』と、田才というオッサンがメインで活躍します。
今まで触れてなかったけど、実はこの田才という男、前章、前々章でも登場していて、この後の章にも全部出ています。なぜか独りぼっちたちに話しかける傾向があって、この時点ではまだ謎のオッサン。オッサンに『謎の』という冠詞がついても壮大さが増さない不思議。通称、『死ねばいいのに』。

死ねばいいのに田才は、死ねばいいのになんて呼ばれてるけど(鞠限定で)、なかなかどうして憎めないオッサンじゃないか。邪険に扱われてるけど、根も茎も普通に良い人だよなー。まぁ、乙女心を傷つけ代償はお高いのかな?

どうして田才が死ねばいいのになんて思われてるかと言うと、単なる偶然で生まれた行き違いが原因。
きっかけはメールの誤送信。多感な女子高生をしていた鞠には、少女漫画チックな運命の出会いにでも思えたんだろうなぁ。でも、高校生が他人を求めるのに貪欲な時期というのは確かだと思う。友達とか恋人とか。とにかくだれかとくっつきたがる。無駄に繋がりを増やそうとする生き物なんだよ、高校生って。

そんなわけで、携帯電話の向こうの田才を憧れの王子様的ななにかと勘違いしてしまっことがすべての誤りであり、始まり。ちょっとした好奇心で人生が激変。ほんと、惜しいよなぁ。
でも、メール時の田才のキャラ違いすぎだろ。王子様とまではいかなくても、紳士的な社会人と思っても仕方がない。
あと、作中の所々で紹介される当時の鞠と田才のメールのやり取りが……。
うおおおぉぉぉぉ! なんだこれ痒い! むず痒い! 文面があり得そうだから余計に恥ずかしい! 読みながらベッドの上を転げ回ってしまったわ。これは鞠も、田才のことを恨んでも仕方がない。嘘をつかない範囲で、年齢とか身分をぼかしてる辺りが本当に詐欺だよ。

結局。
友達を失って、変なオッサンとお近づきになって、レンコンオバケを探し求めて、卒塔婆男に追いかけられて、色んな惜しいことを積み重ねてきたけど。
ようやく秘密基地から旅立って、行き着いた『居場所』が望んだものではなくても。
それで前に進めるなら。
それが自分なりの前に進む理由になるなら。
文字と記憶と想いを材料にして。

今、船出のとき。

0『秘密基地創世記ⅠⅠⅠ』

墓場。
卒塔婆。
部室。
野球サークル。
Ⅰ+Ⅰ+Ⅰ≠Ⅲ
Ⅰ+Ⅰ+Ⅰ=ⅠⅠⅠ
揃った、パズルのピース。

10957『逆フライング』

愛すべき影薄男登場。この人には特別奨励賞を上げたくなる。本名、戸井剛。一人称は『オレ』。
先に述べた表紙の仕掛けというのはこの人絡みです。ほんと、芸が細かいよなぁ。

人づき合いがなぜか三回までしか続かない剛は、徐々に独りぼっちになっていく大学生活を面白くないと感じ始めていた。そんなとき、ふと「そうだ、大学辞めよう」と思い立つ。
大学を辞めたいと思ったことは、私にもある。大学に通ってる意味が見出せなくなるときがあるんだよね。大学辞めて、本気で小説家の勉強をしようと思ったりして。
でも幸いなことに、同じぐらい大学にいて面白いと思うことがあるから、辞めようとは思わない。辞めたいと思っても、辞めようとは思わない。

大学を辞めようと思った剛は、その前に連絡先を知っている大学仲間に電話をかけ、大学を辞めることを報告しようとする。その報告を聞いた相手の態度で、友達を見極めようという趣旨の下。
そして中村さん再登場です。電話越しだけど。
大学を辞めようとする剛に、核心を射抜く厳しいお言葉が。本当にこの人の友達論には感心するなぁ。
『自分の望むように、他人を見ようとするのが人間の自然な在り方です』
この言葉の後に続く言葉もまた素敵なんだよ。
人は自己愛しか成り立たない生き物。本当にその通りだと思う。
私たちは自分を都合良く他者に投影するから、他人を友達として愛せるんだ。
つまるところ、自分を愛すことが他人を愛すことに繋がる。その繋がりが友達なんだろう。

だからもっと自分を目立たせて、だれかから必要とされるようになって。
まだ大丈夫だと自分を奮い立たせたなら。

そうだ、秘密基地に行こう。

0『秘密基地創世記ⅠⅠⅠⅠ』

念願の秘密基地との初対面を果たし。
独りと独りと独りが楽園に住み着き始める。
団体の成立しないぼっちたちが『居場所』の中で。
自らの等身大な夢を語っていく。

12053『清き湖底に住み着く者たち』

本名、音石鴨。一人称『ぼく』。
今回の語り部はぼっちじゃないです。友達もちゃんといて、つまりぼっちじゃない側からぼっちを眺めてみたって感じかな。最後の最後に非ぼっちを持ってくるんだから侮れないよねー。

でも鴨の場合、ぼっちではなくても友達という関係には思うところがあるようで。
そこなんだよなー。私がこの話を他人事のように受け止められなかった理由は。
順の話にも甚く共感したけど、あれはもし私がぼっちだったらという前提つき。
現在の私の境遇で鑑みてみると、この鴨の心情が一番受け入れやすい。別の理由もあるけど、そういう意味で特別好きな話でした。

壁を作ってる。
んー、確かに。実際のところは分からないけど、こちら側からすると本当に踏み込みにくい印象がある。鴨の言う通り、周りの人間は、ぼっちが警戒していても他人のことなんて気にしちゃいないのに。それこそ、隣の席の人間のことでさえ。
大学には大勢の人間でひしめいてるけど、視界に映ってるだけ。視界の中にいても意識の中にはいない。大学生は暇だ暇だなんてよく言われるけど、視界に映る全員の人間を気にしてられるほど大学生に余裕はないし、神経質でもないから。

そういえば、『僕と小規模な奇跡』の二人が出てきた。愛しの三白娘だ!
うーむ、色々と時代歴がややこしいなぁ。

で、吉田さんの登場ですよぐへぇ。
いやぁ、吉田さん可愛いなコノヤロー。中村さんも可愛かったけど、わずかに吉田さんに軍配か。中村さんはどっちかと言うと憧れ成分が強い。
入間作品は男性キャラを好きになることの方が多いんだけど、今回はガールsが非常に魅力的でした。あ、鞠は個人的にカッコいいフォルダに分類されてるから。
吉田さんの可愛さは三白娘に匹敵するよ。
「短足で悪かったなっ」って……可愛すぎるだろ! ストレートど真ん中三球三振だったぐへぇ。

そんな吉田さんに恋する鴨も純真で一途で、『今の吉田さん可愛すぎない?』って、こっちもニヤけちゃうんだやめてマジで。鴨ビジョンだと割増しじゃなくて定額で吉田さん可愛いんだね。

そして。
今まで何度も話題に上がってた恒例の肝試しに吉田さんと参加して、成り行きで見つけたもの。見つけてしまったもの。それを文字通り鍵として、ここから怒涛のクライマックス。
このクライマックスは色んな意味ですごい。
今回は伏線の張り方がいつになく細かく、また巧妙で、敢えて書かなかったけど本当に色んなところに伏線が隠されている。きっと、見落としてるものもまだあると思う。
特に人と人との繋がり。あからさまで、途中で気づくのもいくつかあるけど、最後まで気づかないものは本当に気づかない。よくよく思い返してみると、絶対にこの人しかあり得ないだろーと自分の節穴な目を呪いたくなる。

それらの謎がすべて解き明かされるのが、このクライマックス。
「うそうそうそ!」と何度呟いたことか。
ちなみに章題の前に付属されてる数字。これの意味もここで分かります。

詰め込みすぎな感は否めないけど、秘密基地に関わったすべての人の想いがこのクライマックスに集約されてるんだと考えると、素敵で胸がいっぱいになりました。大好きだよ、こういうの。
ぼっちだと、不幸とは限らない。
友達がいるから、幸福だとは言い切れない。
ぼっちの中にもこんな素敵な人たちがいて、足し算の成立しない関係であっても、彼らはきっと何十年も前から受け継いできたもので繋がっている。それが友達ではなかったとしても、やっぱり名前をつけて区別する必要なんてないんだろう。
鴨の気持ちがよく分かる。
彼らと『友達』になれない自分が、もどかしかった。

さぁ、試合開始だ。

0『秘密基地創世記』

秘密基地創世記、はじまりはじまり。


総評。
疲れた。
ほんとはあとがきについても触れるつもりだったんだけど、ごめん限界。
でも楽しかった! 主観とか脚色が混じってる部分があるかもしれないけど、自分でも良い感想が書けたと思う。
あと、こんな思考の端書きにここまでつき合ってくださったみなさん、ありがとうございました! 友達になりまs(ry
当分は長い感想書けねーわ、ワハハハ。
んじゃ、そろそろ私も、笑うために目を瞑ろうか。


関連商品
バカが全裸でやってくる (メディアワークス文庫)
電波女と青春男(7) (電撃文庫)
僕は友達が少ない (5) (MF文庫J)
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終わる世界のアルバム
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ぼっちーズ(角川単行本)
ぼっちーズ(2010/11)入間 人間商品詳細を見る 入間人間月間もいよいよ終盤。 今回は単行本最新作!! 「ぼっちーズ」(入間人間著/角川単行本)
Posted at 2010.12.11 (12:46) by 読書感想未満、駄文以上。

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Comments

ふう……追いつきましたよ。
いつにも増して読みたくなる感想でした。ありがとうございます。力の入れ具合がもうビシビシ伝わってきて液晶が変な音立てたくらいです(マジ)。なので何分の一かですが、私も量を以ってコメントをば。

どうも入間さんの群像劇は群像劇に思えない(悪くはない意味で)んです。絡み合うというよりかは最後に撚り合わせられるというか。
だからこそ「ぼっちーズ」で合点がいった気分です。今までのこういった形式作品の章それぞれも「ぼっち」みたく互いに密接に絡み合うことはなかったんだなと。でも、だからこそ面白い。もう一度言いますが、何かスッキリした気分です。意味分からなかったらどうぞ。もう少し吟味してお伝えしますw
私と似たような感じですね。他人と合わせるところとか特に。
今の私は秘密基地を必要としていないけど、それでもいつかこの浅く広い関係は終わりますよね。具体的には2年ちょっとで。先を考えると堪らなく不安で、今のうちに秘密基地を見つけるべきなんじゃないかなぁとも思ってます。
「ぼっちーズ」ならこんな悩みに少しでも触れてくれそうで、そういう意味で読みたいです。つかボンさんには悪いですが、いるまんだからとかではなく、ただ純粋に一つの見方として。

さて、クソ長い(褒め言葉)感想を読んで、自己最長のコメント書いたわけですが、どうもまだ友達にはなれそうにありません。
私がもう少し「ぼっち」と「友達」についての考えが纏まってから、改めてこちらよりお頼みします。断るのはナシですよw

余談ですが「Ⅲ」と「ⅠⅠⅠ」の表現が気に入りました。色々言いましたが、正直今の購買意欲の大半がこれで刺激されました。久しぶりに記事で鳥肌立ちましたよw
Posted at 2010.12.06 (20:43) by ask (URL) | [編集]
うおおお・・・長いレビューですね・・・
思い入れの強さがびしびし伝わってきます!!

友達・・・私、大学では友達作らなかったな・・・思い起こせば高校もそうだ・・・
というわけで、今でもよく会うのは中学生の時の友人ですね。それも2人ぐらい(といっても最近はお互いの都合がつかないので、会う機会はめっきり減りましたが)
その二人とは、いつの間にか友人になってましたね。
似てるんですよ。趣味とか嗜好が。
だからこちらが合わせる必要が無いんです。
“この人とは友達になれない”っていう人って、誰しも1人はいると思いますよ。
私も前の仕事、それで辞めたみたいなところありますから。

と、長々書いてしまいましたが、
実は未読。
今現在「僕の小規模な奇跡」読書中です。
「ぼっちーず」はその後読みたいと思います。
Posted at 2010.12.07 (00:07) by naomatrix (URL) | [編集]
とりあえずこの記事は見ずにコメントだけ。

ぼっちーずは買ったのですが

テスト期間×MHP3=時間無し

という現状です。


というわけで、読み終えたらまたきますノ

Posted at 2010.12.07 (14:57) by トナカイ (URL) | [編集]
Re: タイトルなし
askさん、コメントありがとうございます。

こんな長ったらしい感想読んでいただき誠に光栄です。
もうバシバシ打鍵する指に力込めて書いたんで、液晶の不具合はその影響でしょうか?w
んまー、こんな長ったらしくて(褒め言葉)素敵なコメントをどうもありがとう!

そうですねー。群像劇は群像劇なのでしょうが、群像という言葉に違和感があるのかもしれません。
たしかに入間先生の群像劇は人と人との直接的な絡み合いが希薄です。下手をすれば、お互いが知り合いですらないこともあります。
askさんの言う通り、本作で特にそれが顕著に浮き彫りになっていたかと。
ぼっちが主役の物語ですから、当然ぼっちには人脈がありません。
じゃあ、どうやって群像劇を作り上げるのか。
入間先生の場合、人と人の間に繋ぎ役を果たす『なにか』を組み込むことが多いです。今回はそれが『秘密基地』でした。全裸バカのときは『小説』もしくは『小説家』でした。
繋ぎ役を基点として、輪を広げていくのが入間先生流の群像劇なのだと思います。とまぁ、私の勝手な解釈ですがw
だから入間先生の群像劇は人と人の直接的な繋がりが細く、故に章と章も絡み合うことがないのかと。なにしろ、章と章で数年分の時間が経ってるときがあるくらいですからねw

askさんも、そういうタイプの人間ですか。
秘密基地なんて必要としないに越したことはないんでしょうが、やはり『居場所』は大切です。それが一時的な場だとしても、そこで疲れを癒して、試行錯誤して、もう一度『敵』と闘おうと決心して秘密基地を飛び出せれたなら、秘密基地も無意味ではないのでしょう。
大事なのは『敵』に勝つことではありません。『敵』と闘い続けることです。
今でこそ入間先生だからという名目で読んでいますが、私がこうなったのは、今まで読み続けてきた入間先生の作品がすべて面白かったからです。
だからaskさんも私のように、とまで言いませんが、面白いからとこれからも読み続けていただければ幸いです。

長ったらしい感想を読んで長ったらしいコメントを残してくれたのに残念ですw
いつか友達になってくれる日がくることを待っていますよw

『Ⅲ』と『ⅠⅠⅠ』についても本編を読んでいただければ分かります。と言っても、大した謎でもないのでこの場で私が説明しても良いのですが。一応、読んでのお楽しみと言うことにしておきます。
askさんに鳥肌を立たせるように記事を書けたことを嬉しく思います。

naomatrixさん、コメントありがとうございます。

はい! 自分でもドン引いちゃうぐらい魂込めて書きました!
ほんと読んでもらえて嬉しいです。

友達をいっぱい作っても、後々まで関係が続くのはその内の数人です。
naomatrixさんにとってのその数人が、中学のころのご友人の方々なら、私はそれで良いと思います。
類は友を呼ぶというやつですね。余談ですが、あの諺はなにか特別な力が働いた結果なのではなく、ちゃんと心理学的に説明がつくと思うんです。だって、趣味や嗜好が似通った人が仲良くなるのは当然だと思いますから。
私にも合わせる必要のない友達がいます。彼らと一緒にいると本当に楽しいです。きっとそういうことなんでしょうね。

おぉ、『僕の小規模な奇跡』を読んでいるのですか。あれは素晴らしい作品でした。
こちらも負けず劣らずのできとなっていますので、ぜひ読んでみてください。

トナカイさん、コメントありがとうございます。

私も、
執筆×モンハンで時間に余裕はなかったのですが、なによりも優先させました。
テスト頑張ってくださいね。あとモンハンもw

読み終わりましたら、どうぞまたお越しください。
Posted at 2010.12.08 (23:22) by つかボン (URL) | [編集]
つかボンさん、こんばんは。
だいぶ遅くなりましたが、「ぼっちーズ」を読みました。
とりあえず面白かったです。それは間違いない!!
ただ、入間先生特有?の説明しにくい面白さでしたね。
なんていうんでしょうね、小規模~や660円と似た感じの感覚。
ありそうな日常をそのまま書いて、ここまで面白いってことがすごいです。

いや~それにしてもあそこまで大学を明らかにされると行きたくなりますね~
私が通っている大学のものすごく近くなので、今度聖地巡礼?に行こうかな~

この感想のおかげでこの本と出会えました。
ナイスな感想どうもありがとうございます。
Posted at 2010.12.23 (02:33) by じたま (URL) | [編集]
Re: タイトルなし
じたまさん、コメントありがとうございます。

読まれましたか!
そうですねー、説明しろと言われるとなかなか難しい面白さですよね。
でも間違いなく面白い。本当にその通りだと思います。
小規模や660²に似てるというか、それらの作品はすべて目指してるところが同じなんだと思います。だから必然的に面白さも似通ってくるのかなぁと。
最近入間先生の書く作品は一般書風味なってきてますので、きっと入間先生の書きたい本というのは、ラノベじゃなくこっち側なんだろうなぁ思ったり。

いいですね、聖地巡礼。羨ましくて仕方がないです。
近くならぜひ行ってみるべきですよ! 霊園とか、あるのかわかりませんがクレープ屋とか!
羨ましいなぁ。

そう言ってもらえるのがなにより嬉しいです。
こちらこそいつも感想を読んでくださってありがとうございます。多謝です。
Posted at 2010.12.23 (19:38) by つかボン (URL) | [編集]
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つかボン

Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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