Colorful Concrete
おもしろき ことなき世を おもしろく 高杉晋作
電波女と青春男7/入間人間
- Posted at 2010.12.21
- l電撃文庫
またまた感想だけで……。
――あらすじ――
どもども丹羽真です。近況としては、ちょっとした事情で貯めていた青春ポイントを使い切ってしまったので、最近干からびそう…という感じ。突然ですが、どうやら今回は、その青春ポイントにまつわるお話じゃなくて、『妄想ポイント』が主軸となるみたいだ。宇宙って途方もなく広いわけだし、俺たちが辿り着けないほど遠くにもう一つぐらい地球があって、そこではやっぱり俺やエリオたちがいて、似たような毎日を送っていて…とか妄想することがあるんだけど。今回はそんなお話。でもどうせ空想奇譚なら。夢がある方がいい。そう、例えば。もしリュウシさんや前川さんやエリオと、人生を共に歩むことになったら、とか。
――感想――
またもや読んでから数日が経っちゃっての感想。
最近ブログをサボりすぎかもしれない。
忙しいのは確かなんだけど、もっと時間を有効に使えば今より更新率を上げることはできると思う。なによりも、サボっているという自意識があることがダメだ。
これじゃあ毎日訪問してくれる人に申し訳が立たない。
気合を入れ直さないと。
そんなわけでアニメ化決定からスタッフ&キャストも発表されたこのシリーズ。
なんだかんだでやっぱり最新刊の発売は楽しみです。
まずは表紙について。
今回も前巻に引き続き制服エリオ。
1~6巻までコスチュームが変わってたからそういう路線なのかと思えば、なんだか巻を重ねるごとに肌色成分が肥大してないか? そっちの路線に切り替えたのだろうか。
5巻は例外としても、どんどん衣服がはだけていっちゃって色気がグングン増すエリオ。
同じ衣装の前巻と今巻を見比べてもらうとわかるかと。
とは言え個人的には好きなデザイン。
今まででは3巻の野球エリオがベストで、次点で2巻のワンピースエリオだった。今回は、そのワンピースエリオと並ぶかもしれない。
カラー絵について。
開くといきなりキューティクルなシロクマ前川さんと、読むまではなんの格好をしてるのか不明だったマコ君君がお出迎え。
このシーンで見開きを書いてくれたのは嬉しい。クマ川さんが可愛いです。
そしてリュウシさん、小エリオと続き、マコトとヤシロが並んで空を見上げる素敵な一枚が。
この絵大好き。キャー、ブリキさんGJ! なすんばらしい見開きでした。
でまぁ、前巻でストーリーに一区切りがついてこれからどうなるのかと気になっていたところだけど、今巻は短編集、みたいなもの。発売前のあらすじから予想はついていたけど。
内容は、つまるところifストーリーみたいなものか。『もしもこうなっていたら~』的な。
すべてマコ君君の妄想だから、もしそのifが叶っても現実にどうなるかはわからないけど。妄想と仮定は似ているようで違うはず。
ギャルゲーみたいになるんじゃ……と危惧して読んでみたら実際その通りでちょっとげんなり。
なんだか、ますます単なるハーレムラブコメ化してる気がして先行きが不安なんだよね。
でも、やはり我らが入間先生。ただでは終わりません。
それなりにグッとくるところも考えさせられるところもあって、満足とまでいかないが美味しく頂きました。
さてさて。では、そろそろ内容に。
今回は短編集のようなものだから、例のごとく章に分けて感想を綴っていくとしよう。
この宇宙のどこかにもうひとつ地球のような惑星があって、そこにもうひとりの私が同じように生活してるかもしれないなんてことは、私もよく想像してみる。
宇宙は人間では知覚できないほど広いんだから、地球外生命体の存在はほぼ確実だと思うし、それが私たちのような人間であってもなんらおかしくはない。
もしもうひとりの私がこの宇宙のどこかの地球みたいな惑星にいて生活してるとして、その私はこの私とどれだけ違う人生を歩んでいるんだろう。
そんなことを考えると、夜も眠れなくなります。
前川さんルート。
文化祭後にマコ君君が前川さんに告白して、付き合い始めたパターン。
一読しての率直な感想は、前川さん好きには堪らないだろうなぁこれ、ってな感じ。
前川さんを可愛く描写することに全力を注いでる印象を受けた。なんつーか、いつにもまして会話文多い気するし。
しかし、可愛いのは認めざるを得ない事実。もはや真実。
まぁ、言い換えてしまうと惚気話を永遠に聞かされてるようなものだけど。妄想だからね。
それにしたって、マコ君君はもう青春男でもなんでもないな。変態男だよ、ただの。
元々の素質があっただけに意外に思えないところが悲しい。
本性丸出しのマコ君君に圧倒され、前川さんもタジタジ。いつもとは立場が逆ですな。
でも、これはこれでふたりのバランスは取れてる。
つまるところ、マコ君君と前川さんは相性が良いんだと思う。
今回の大きなテーマとして、『選ぶ』という事柄がある。
例えばこの話のマコ君君は前川さんを選んでるわけだけど、なにかを得ればなにかを失うというのは世の必然。
それがつまり、『選ぶ』ということなんだと思う。
でも私たちは『選ぶ』ことなしで生きていくことなんてできない。目の前に広がるいくつもの選択肢の糸を、その都度その都度手繰り寄せて、行き着いた先でまた新たな選択肢の糸を手繰り寄せていく。そんな風に生きるのが人間だ。
その過程で、今まで大切にしてきた関係が目に見えて崩れていくかもしれない。自分の与り知らぬところで壊れているかもしれない。
けれども、自分の『選択』を決して後悔してはいけないんだと思う。後悔したら最後、選択肢の糸が切れて、きっとどこにも辿り着けなくなる。迷い立ち止まってしまうに違いない。
振り返っても崩れたものは一生元には戻らない。前を見据えても途切れた糸の先は見えない。
だから自分の『選択』に肯定的でないと、そもそも生きていくことすら困難になるんだろう。
マコ君君はどの選択肢においても後悔はしていなかった。
自分の選んだ糸が最良でなくとも、最高に繋がっていると信じているから。
そして選んだからこそのこのラスト。
なぜか「人類みな兄妹」が口癖だった高校のころの倫理の先生を思い出したが、人と人との間に差なんて必要ないことを訴えかけてそうなシュールな絵面だなおい。
なんといっても素晴らしかったのは、やっぱタイトルかな。
リュウシさんルート。
なのにページ数がやたら短くておや? と思った。
高校三年生時の文化祭で付き合い始め、ふたりが同じ大学の一年生になってるパターン。
良くも悪くも普段通りのふたりだけど、マコ君君の流子は違和感あるねー。
イラストを見るとふたりとも大人っぽくなって、マコ君君随分カッコよくなってるし、リュウシさんは髪をロングにして直毛バリバリ。驚きのストレートです。
私的にはストレートを気にするリュウシさんが好きだっただけに、ちょっぴし残念。
しかし、路上で堂々とキスするのはどうなんだこれ。
妬みとかじゃなくて、普通に迷惑では?
このふたりが揃うと目線が一直線になるきらいがあるから、そう意味ではとりたまのバカップルに通じるものはある。でもあのコンビとはなにか違うような。一緒くたにはしたくないかな。
その点に目を瞑ればこのふたりの絡みは面白いんだよね。
付き合い始めても、相変わらずリュウシさんの趣味嗜好はマコ君君と噛み合ってないみたいだけど、なにを見ててもなにを食べてても、どんなことをしてたってふたりでいれば喜びに変わるんだろうなぁ、って。
スタッフロール後のワクワク。いいじゃないかー。
自分たちの映画は自分たちが積み上げていくしかない。
それが例え不評だったとしても、大事なのは自己満足。
自分たちの映画の続編は、自分たちが絶賛してあげないと。
そうやって人生に満足し続けていけたなら、きっと幸せなんだろうなぁ。
ある意味、一直線なふたりらしい解釈。
終わり方は割と好きでした。
ちゃっかり英次の小説が映画化されてた。
タイムリーなメタさについクスクスと。
エリオルート。
エリオと暮らし続けて駄菓子屋で晩年を迎えたパターン。
マコ君君もエリオもお祖父ちゃんお祖母ちゃんになっちゃって、ひ孫まで登場する始末。
そのひ孫は青春時代のエリオそっくりで、エリオの地球規格外な美貌と水色の粒子は血縁によって脈々と受け継がれていた。ついでにスマキンスタイルも。
小エリオは活発なエリオという感じで、これはこれで可愛い。
リュウシさんや前川さん、そしてあの女々さんすらも先に逝ってしまって寂しくなってしまった宇宙人の見守る町。エリオの頭はもう粒子を振り撒くこともなく美しい銀髪に似た白髪と化していて、どこか哀愁が漂う。
それでも、ふたりが自動車免許を取らず、今でも自転車に乗り続けてくれたことがなんだか嬉しかった。
時間の経過は、どうしたって人に変化をもたらす。
あの女々さんが死ぬなんてやっぱり信じられないし、エリオも歳を取って、地球の枠組みに収まって落ち着く場所に落ち着いたような印象。電波を手放すことで、宇宙的ななにかも手放したのかもしれない。
でもそれがエリオの選択だったのだろう。
マコ君君とともに暮らし、マコ君君とともに死ぬことが。
そんな折にマコ君君が「宇宙人でも探しに行かないか?」と言い出して、あぁ、これも変化なんだなぁって。
そんなわけでマコ君君、エリオ、小エリオの三人は宇宙人を探しに。もといピクニックのようなものだけど、目的地はあの海。マコ君君にとってもエリオにとっても、良いことから悪いことまで色々な思い入れがある場所。
そんな場所でかつてのようにスポチャンに興じる三人。
刀とともに様々な想いを振り回しながら、大切なものを見据える。
それは宇宙の彼方や、深海や、水平線の先にある未知ではなくて、今この時。
手にした幸せを手放さぬよう、刀を強く強く握り締める。
なんか、今後の展開を占う重要な話だったと思うのは私だけか?
It's Bad End.
これはなにルート?
個人的にはヤシロルートだけど、たぶん違う。
でも今回の中で一番好きな話。
遠い遠い未来の話。
マコトがいて、従妹がいて。
いつかの約束の為にふたりはそれぞれの道を歩む。
そんなお話。
ヤシロの立ち位置がすごくヤシロらしくて気に入りました。
気が遠くなるような未来でも、きっと起こり得る未来。
相変わらずの宇宙服もどきも蚕の例えも、やはりヤシロだなと揺るぎない確信をもたらしてくれる。
マコトと従妹の別れ。
いつの日か、こういう形で人と人とが別れる時代が来るのだろうか。
光は時を越え、あらゆるものを追い越して相手との距離を伸ばす。この場合置いてけぼりにするのはマコトの方で、宇宙と地球のようにどうしたって縮められない距離をふたりの間に生んでしまう。
悲しいなぁって思う。
でもいつかの約束の為に生きたふたりだからこそ、それこそ蚕のように羽化のときを待ち望んで、そしてまた再会を祈って約束を果たすんだろうなぁ。
本当に最終回にしても良いぐらい、綺麗なお話でした。
つーかエルシャダイネタはいいのか?
大丈夫だ、問題ない。
It's Bad E(ry
ようやくいつもの電波女らしくなってきた話。
時系列的には今までのマコ君君の妄想時から地続きで、妄想世界から帰還したマコ君君とエリオが、女々さんの提案で携帯ショップに出かけたり、そこでエリオが携帯電話を手に入れてせーしゅん女に近づいたり、リュウシさん企画でいつものメンバー in カラオケだったり。
まぁ、そんな話。
携帯電話がせーしゅん女になるという目的に適しているかは別として、手段としては間違ってないよね。その人の使い方次第です。私のように悪友からの連絡専用になってはダメ。
そんな粋な計らいができる女々さんが大好きです!
てか、ちゃっかりここでもエルシャダイネタを!
しかし、なんと言ってもこの場面は、
『「もしもし、藤和エリオです」』
この一言にすべてが集約されている。名言です。
対してマコ君君の「おぅ」という返しも大好きで、というか一連の流れが大好き。
実際に色んな場面が走馬灯のように頭に流れた。不覚にもちょっと涙腺緩んだし。
私にも電波届いたよ。
名シーンだわ、これ。
でもってリュウシさん企画のカラオケ。
やっぱリュウシさんはこうでないとなー。リュウシさん単体でなら、割と気の効く女の子なんだよ。マコ君君といっしょになるとちょいと周りが見えなくなるだけで。恋は盲目と言うから仕方ないけどね。
でも前巻からリュウシさんのこういった一面は本当に好き。
エリオのことがあって良い方向に変わったんだと思うと、こっちも嬉しくなる。
この場面での三人娘のイラストは素晴らしいのですが、中でもリュウシさん良いよね。
うおぉ、エリオの私服姿だ万歳だけど顔と髪の量が体とバランス取れてなくね?でも可愛い! なんだけど、目が惹かれるのはリュウシさん。基本的に元気の良い女の子は好きなのです。それにリュウシさんは絵面的にもイラスト映えするタイプなのではないかと。
今日という日が終わる。
楽しい時間は一瞬で、私たちは明日がもっと楽しい日であることを祈りながら眠りにつく。
でも、今まで自分が選んできた積み重ねが今日という楽しかった日に帰結しているなら、自分の生きてきた結果が楽しかった日を生んだのなら。
自分の選択は間違ってなかった、生きててよかったと、心の底から喜べるんだろう。
そしてまた、選択肢の糸を手繰り寄せて、明日を楽しくしていくんだろうなぁ。
このシリーズにしては珍しく次巻に余韻を丸投げする幕引き。まさか妄想オチじゃないよね?
こんな終わり方で大丈夫か?
……だれか、問題ないと言ってください。
某俺ってw
来年の十月に何か起こるらしいというのは確かだけど、「らしい」が確かなので確信なし。さーて、どうなるか。
カリスマ剥奪か。
まぁ、なにか起こってほしいのは山々なんで、剥奪されないよう願うのが我らが読者の役目。
連載物でキャラが変わるのは仕方ないかと。
小説の中の人物が変わったっていいじゃないか。現実の私たちだって変化するんだから。
あ、お父さんのことは元々許しているというか、そういう発言の発言権を許可しているのでどんどんお願いします。(←何様)
総評。
今回も長くなりましたごめんなさい。
まずは謝罪から入る。これ基本。
気になることがあります。
・大方考え得るエンディングルートは今回で出し尽くされた。
・結局どの選択肢を選んでも、なにかを失ってしまう未来が待っていた。
・できればマコ君君は、3人が今みたいに仲良く集まって遊ぶ関係が続けばいいと思っている。
今回の要点を3つにまとめてみた。
この3つの事実を考察すると、シリーズのラストでマコ君君はだれも選ばないという選択肢の糸を選ぶ気がする。伏線張られたような気がするんだよね。
だれかを選ぶルート、ましてや正ヒロインであるところのエリオを選ぶルートも出されたんだから。
うーむ。終わり方にもよるけど、ちょっと怖いかも。
なんにしても次巻からはおそらく新展開。
楽しみ楽しみ。
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こんな空を何度も見てきた。見てきたから、俺はまた今日も、明日を迎える。
無限の可能性もない。一方通行でしかない。それでも俺たちは日々その時々、『選ぶ』。
細分化された選択の積み重ねを、生きることと解釈する。
その積み重ねた選択の頭が、地表に出たとき。今日のエリオのように。
生きててよかったなんて、思うのだろう。
――あらすじ――
どもども丹羽真です。近況としては、ちょっとした事情で貯めていた青春ポイントを使い切ってしまったので、最近干からびそう…という感じ。突然ですが、どうやら今回は、その青春ポイントにまつわるお話じゃなくて、『妄想ポイント』が主軸となるみたいだ。宇宙って途方もなく広いわけだし、俺たちが辿り着けないほど遠くにもう一つぐらい地球があって、そこではやっぱり俺やエリオたちがいて、似たような毎日を送っていて…とか妄想することがあるんだけど。今回はそんなお話。でもどうせ空想奇譚なら。夢がある方がいい。そう、例えば。もしリュウシさんや前川さんやエリオと、人生を共に歩むことになったら、とか。
――感想――
またもや読んでから数日が経っちゃっての感想。
最近ブログをサボりすぎかもしれない。
忙しいのは確かなんだけど、もっと時間を有効に使えば今より更新率を上げることはできると思う。なによりも、サボっているという自意識があることがダメだ。
これじゃあ毎日訪問してくれる人に申し訳が立たない。
気合を入れ直さないと。
そんなわけでアニメ化決定からスタッフ&キャストも発表されたこのシリーズ。
なんだかんだでやっぱり最新刊の発売は楽しみです。
まずは表紙について。
今回も前巻に引き続き制服エリオ。
1~6巻までコスチュームが変わってたからそういう路線なのかと思えば、なんだか巻を重ねるごとに肌色成分が肥大してないか? そっちの路線に切り替えたのだろうか。
5巻は例外としても、どんどん衣服がはだけていっちゃって色気がグングン増すエリオ。
同じ衣装の前巻と今巻を見比べてもらうとわかるかと。
とは言え個人的には好きなデザイン。
今まででは3巻の野球エリオがベストで、次点で2巻のワンピースエリオだった。今回は、そのワンピースエリオと並ぶかもしれない。
カラー絵について。
開くといきなりキューティクルなシロクマ前川さんと、読むまではなんの格好をしてるのか不明だったマコ君君がお出迎え。
このシーンで見開きを書いてくれたのは嬉しい。クマ川さんが可愛いです。
そしてリュウシさん、小エリオと続き、マコトとヤシロが並んで空を見上げる素敵な一枚が。
この絵大好き。キャー、ブリキさんGJ! なすんばらしい見開きでした。
でまぁ、前巻でストーリーに一区切りがついてこれからどうなるのかと気になっていたところだけど、今巻は短編集、みたいなもの。発売前のあらすじから予想はついていたけど。
内容は、つまるところifストーリーみたいなものか。『もしもこうなっていたら~』的な。
すべてマコ君君の妄想だから、もしそのifが叶っても現実にどうなるかはわからないけど。妄想と仮定は似ているようで違うはず。
ギャルゲーみたいになるんじゃ……と危惧して読んでみたら実際その通りでちょっとげんなり。
なんだか、ますます単なるハーレムラブコメ化してる気がして先行きが不安なんだよね。
でも、やはり我らが入間先生。ただでは終わりません。
それなりにグッとくるところも考えさせられるところもあって、満足とまでいかないが美味しく頂きました。
さてさて。では、そろそろ内容に。
今回は短編集のようなものだから、例のごとく章に分けて感想を綴っていくとしよう。
プロローグ『もしその先に宇宙が広がっていたら』
この宇宙のどこかにもうひとつ地球のような惑星があって、そこにもうひとりの私が同じように生活してるかもしれないなんてことは、私もよく想像してみる。
宇宙は人間では知覚できないほど広いんだから、地球外生命体の存在はほぼ確実だと思うし、それが私たちのような人間であってもなんらおかしくはない。
もしもうひとりの私がこの宇宙のどこかの地球みたいな惑星にいて生活してるとして、その私はこの私とどれだけ違う人生を歩んでいるんだろう。
そんなことを考えると、夜も眠れなくなります。
『Ending No.4 丹羽さん』
前川さんルート。
文化祭後にマコ君君が前川さんに告白して、付き合い始めたパターン。
一読しての率直な感想は、前川さん好きには堪らないだろうなぁこれ、ってな感じ。
前川さんを可愛く描写することに全力を注いでる印象を受けた。なんつーか、いつにもまして会話文多い気するし。
しかし、可愛いのは認めざるを得ない事実。もはや真実。
まぁ、言い換えてしまうと惚気話を永遠に聞かされてるようなものだけど。妄想だからね。
それにしたって、マコ君君はもう青春男でもなんでもないな。変態男だよ、ただの。
元々の素質があっただけに意外に思えないところが悲しい。
本性丸出しのマコ君君に圧倒され、前川さんもタジタジ。いつもとは立場が逆ですな。
でも、これはこれでふたりのバランスは取れてる。
つまるところ、マコ君君と前川さんは相性が良いんだと思う。
今回の大きなテーマとして、『選ぶ』という事柄がある。
例えばこの話のマコ君君は前川さんを選んでるわけだけど、なにかを得ればなにかを失うというのは世の必然。
それがつまり、『選ぶ』ということなんだと思う。
でも私たちは『選ぶ』ことなしで生きていくことなんてできない。目の前に広がるいくつもの選択肢の糸を、その都度その都度手繰り寄せて、行き着いた先でまた新たな選択肢の糸を手繰り寄せていく。そんな風に生きるのが人間だ。
その過程で、今まで大切にしてきた関係が目に見えて崩れていくかもしれない。自分の与り知らぬところで壊れているかもしれない。
けれども、自分の『選択』を決して後悔してはいけないんだと思う。後悔したら最後、選択肢の糸が切れて、きっとどこにも辿り着けなくなる。迷い立ち止まってしまうに違いない。
振り返っても崩れたものは一生元には戻らない。前を見据えても途切れた糸の先は見えない。
だから自分の『選択』に肯定的でないと、そもそも生きていくことすら困難になるんだろう。
マコ君君はどの選択肢においても後悔はしていなかった。
自分の選んだ糸が最良でなくとも、最高に繋がっていると信じているから。
そして選んだからこそのこのラスト。
なぜか「人類みな兄妹」が口癖だった高校のころの倫理の先生を思い出したが、人と人との間に差なんて必要ないことを訴えかけてそうなシュールな絵面だなおい。
なんといっても素晴らしかったのは、やっぱタイトルかな。
『Ending No.3 幸せのはんぶんこ』
リュウシさんルート。
なのにページ数がやたら短くておや? と思った。
高校三年生時の文化祭で付き合い始め、ふたりが同じ大学の一年生になってるパターン。
良くも悪くも普段通りのふたりだけど、マコ君君の流子は違和感あるねー。
イラストを見るとふたりとも大人っぽくなって、マコ君君随分カッコよくなってるし、リュウシさんは髪をロングにして直毛バリバリ。驚きのストレートです。
私的にはストレートを気にするリュウシさんが好きだっただけに、ちょっぴし残念。
しかし、路上で堂々とキスするのはどうなんだこれ。
妬みとかじゃなくて、普通に迷惑では?
このふたりが揃うと目線が一直線になるきらいがあるから、そう意味ではとりたまのバカップルに通じるものはある。でもあのコンビとはなにか違うような。一緒くたにはしたくないかな。
その点に目を瞑ればこのふたりの絡みは面白いんだよね。
付き合い始めても、相変わらずリュウシさんの趣味嗜好はマコ君君と噛み合ってないみたいだけど、なにを見ててもなにを食べてても、どんなことをしてたってふたりでいれば喜びに変わるんだろうなぁ、って。
スタッフロール後のワクワク。いいじゃないかー。
自分たちの映画は自分たちが積み上げていくしかない。
それが例え不評だったとしても、大事なのは自己満足。
自分たちの映画の続編は、自分たちが絶賛してあげないと。
そうやって人生に満足し続けていけたなら、きっと幸せなんだろうなぁ。
ある意味、一直線なふたりらしい解釈。
終わり方は割と好きでした。
ちゃっかり英次の小説が映画化されてた。
タイムリーなメタさについクスクスと。
『Ending No.2 宇宙人の見守る町、の地球人』
エリオルート。
エリオと暮らし続けて駄菓子屋で晩年を迎えたパターン。
マコ君君もエリオもお祖父ちゃんお祖母ちゃんになっちゃって、ひ孫まで登場する始末。
そのひ孫は青春時代のエリオそっくりで、エリオの地球規格外な美貌と水色の粒子は血縁によって脈々と受け継がれていた。ついでにスマキンスタイルも。
小エリオは活発なエリオという感じで、これはこれで可愛い。
リュウシさんや前川さん、そしてあの女々さんすらも先に逝ってしまって寂しくなってしまった宇宙人の見守る町。エリオの頭はもう粒子を振り撒くこともなく美しい銀髪に似た白髪と化していて、どこか哀愁が漂う。
それでも、ふたりが自動車免許を取らず、今でも自転車に乗り続けてくれたことがなんだか嬉しかった。
時間の経過は、どうしたって人に変化をもたらす。
あの女々さんが死ぬなんてやっぱり信じられないし、エリオも歳を取って、地球の枠組みに収まって落ち着く場所に落ち着いたような印象。電波を手放すことで、宇宙的ななにかも手放したのかもしれない。
でもそれがエリオの選択だったのだろう。
マコ君君とともに暮らし、マコ君君とともに死ぬことが。
そんな折にマコ君君が「宇宙人でも探しに行かないか?」と言い出して、あぁ、これも変化なんだなぁって。
そんなわけでマコ君君、エリオ、小エリオの三人は宇宙人を探しに。もといピクニックのようなものだけど、目的地はあの海。マコ君君にとってもエリオにとっても、良いことから悪いことまで色々な思い入れがある場所。
そんな場所でかつてのようにスポチャンに興じる三人。
刀とともに様々な想いを振り回しながら、大切なものを見据える。
それは宇宙の彼方や、深海や、水平線の先にある未知ではなくて、今この時。
手にした幸せを手放さぬよう、刀を強く強く握り締める。
『Bad Ending No.1 電波男』
なんか、今後の展開を占う重要な話だったと思うのは私だけか?
It's Bad End.
『Ending No.2559 宇宙服は蚕の夢を見る』
これはなにルート?
個人的にはヤシロルートだけど、たぶん違う。
でも今回の中で一番好きな話。
遠い遠い未来の話。
マコトがいて、従妹がいて。
いつかの約束の為にふたりはそれぞれの道を歩む。
そんなお話。
ヤシロの立ち位置がすごくヤシロらしくて気に入りました。
気が遠くなるような未来でも、きっと起こり得る未来。
相変わらずの宇宙服もどきも蚕の例えも、やはりヤシロだなと揺るぎない確信をもたらしてくれる。
マコトと従妹の別れ。
いつの日か、こういう形で人と人とが別れる時代が来るのだろうか。
光は時を越え、あらゆるものを追い越して相手との距離を伸ばす。この場合置いてけぼりにするのはマコトの方で、宇宙と地球のようにどうしたって縮められない距離をふたりの間に生んでしまう。
悲しいなぁって思う。
でもいつかの約束の為に生きたふたりだからこそ、それこそ蚕のように羽化のときを待ち望んで、そしてまた再会を祈って約束を果たすんだろうなぁ。
本当に最終回にしても良いぐらい、綺麗なお話でした。
つーかエルシャダイネタはいいのか?
大丈夫だ、問題ない。
『Ending No.5 女々たんと一緒』
It's Bad E(ry
『Chapter7 せーしゅん女(初心者)の休日』
ようやくいつもの電波女らしくなってきた話。
時系列的には今までのマコ君君の妄想時から地続きで、妄想世界から帰還したマコ君君とエリオが、女々さんの提案で携帯ショップに出かけたり、そこでエリオが携帯電話を手に入れてせーしゅん女に近づいたり、リュウシさん企画でいつものメンバー in カラオケだったり。
まぁ、そんな話。
携帯電話がせーしゅん女になるという目的に適しているかは別として、手段としては間違ってないよね。その人の使い方次第です。私のように悪友からの連絡専用になってはダメ。
そんな粋な計らいができる女々さんが大好きです!
てか、ちゃっかりここでもエルシャダイネタを!
しかし、なんと言ってもこの場面は、
『「もしもし、藤和エリオです」』
この一言にすべてが集約されている。名言です。
対してマコ君君の「おぅ」という返しも大好きで、というか一連の流れが大好き。
実際に色んな場面が走馬灯のように頭に流れた。不覚にもちょっと涙腺緩んだし。
私にも電波届いたよ。
名シーンだわ、これ。
でもってリュウシさん企画のカラオケ。
やっぱリュウシさんはこうでないとなー。リュウシさん単体でなら、割と気の効く女の子なんだよ。マコ君君といっしょになるとちょいと周りが見えなくなるだけで。恋は盲目と言うから仕方ないけどね。
でも前巻からリュウシさんのこういった一面は本当に好き。
エリオのことがあって良い方向に変わったんだと思うと、こっちも嬉しくなる。
この場面での三人娘のイラストは素晴らしいのですが、中でもリュウシさん良いよね。
うおぉ、エリオの私服姿だ万歳だけど顔と髪の量が体とバランス取れてなくね?でも可愛い! なんだけど、目が惹かれるのはリュウシさん。基本的に元気の良い女の子は好きなのです。それにリュウシさんは絵面的にもイラスト映えするタイプなのではないかと。
今日という日が終わる。
楽しい時間は一瞬で、私たちは明日がもっと楽しい日であることを祈りながら眠りにつく。
でも、今まで自分が選んできた積み重ねが今日という楽しかった日に帰結しているなら、自分の生きてきた結果が楽しかった日を生んだのなら。
自分の選択は間違ってなかった、生きててよかったと、心の底から喜べるんだろう。
そしてまた、選択肢の糸を手繰り寄せて、明日を楽しくしていくんだろうなぁ。
『Next Chapter 空想、襲来』
このシリーズにしては珍しく次巻に余韻を丸投げする幕引き。まさか妄想オチじゃないよね?
こんな終わり方で大丈夫か?
……だれか、問題ないと言ってください。
あとがき
某俺ってw
来年の十月に何か起こるらしいというのは確かだけど、「らしい」が確かなので確信なし。さーて、どうなるか。
カリスマ剥奪か。
まぁ、なにか起こってほしいのは山々なんで、剥奪されないよう願うのが我らが読者の役目。
連載物でキャラが変わるのは仕方ないかと。
小説の中の人物が変わったっていいじゃないか。現実の私たちだって変化するんだから。
あ、お父さんのことは元々許しているというか、そういう発言の発言権を許可しているのでどんどんお願いします。(←何様)
総評。
今回も長くなりましたごめんなさい。
まずは謝罪から入る。これ基本。
気になることがあります。
・大方考え得るエンディングルートは今回で出し尽くされた。
・結局どの選択肢を選んでも、なにかを失ってしまう未来が待っていた。
・できればマコ君君は、3人が今みたいに仲良く集まって遊ぶ関係が続けばいいと思っている。
今回の要点を3つにまとめてみた。
この3つの事実を考察すると、シリーズのラストでマコ君君はだれも選ばないという選択肢の糸を選ぶ気がする。伏線張られたような気がするんだよね。
だれかを選ぶルート、ましてや正ヒロインであるところのエリオを選ぶルートも出されたんだから。
うーむ。終わり方にもよるけど、ちょっと怖いかも。
なんにしても次巻からはおそらく新展開。
楽しみ楽しみ。
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Comments
-
7巻は丹羽君の妄想巻でしたね。
それにしては、随分とシリアスなような気がしますが・・・
選択することで、何かを得て、何かを失う。
今回の話全てに共通してましたね。
人生とは・・・と、柄にも無く考えてしまった・・・
個人的には、エリオルートが新鮮でした。(晩年を描くって、ラノベじゃかなり珍しくないですか?)
なんか波乱を予感させる終わり方でしたが、
どうする気なんだ、入間先生・・・ - Posted at 2010.12.21 (13:33) by naomatrix (URL) | [編集]
-
前川さんルートを読んだ後でとりあえず1日空けた私は前川組ですね分かります。
ホントどうしたんでしょうマコ君君。いくら妄想、空想とはいえ暴走しすぎでしょう。けしからんm(ry
naomatrixさんも言うとおり、エリオルートも新鮮だったせいで、リュウシさんも十分可愛かったのに印象に残らないという不憫な結果になりました。前川さん前川さん言ってるけどリュウシさんもエリオも好きなんだ、8巻は頼んだよ某俺!w - Posted at 2010.12.21 (18:13) by ask (URL) | [編集]
-
Re: タイトルなし
naomatrixさん、コメントありがとうございます。
単なる妄想話で終わらしてしまったら入間先生の名折れですからね。それほど幻滅することはありません。
一方を選択すれば必然的にもう一方、ないしその他複数の選択肢は棄てることになりますからね。得る代わりに失うものがあって当然なのです。
事あるごとにそれを後悔してたら、生きていくこともかないません。
だから例え無理だとしても、人生はできる限り後悔しないようにしないといけないんだと思います。
エリオルートは確かに印象深かったです。ラノベにおいて晩年を描くことは珍しいと思います。私もすぐにパッと他作品を思いつきません。
いよいよ物語が動き出しそうな終わり方でしたね。
どうなるかは入間先生のみぞ知る。
askさん、コメントありがとうございます。
いつも訪問してくださってる方に言われるとすごく心強いです。
本心は長文を書きたいわけではないんですが、あるがままに任せてたらあれれー? みたいな。
でも楽しんでいただけるなら幸いです。
> 前川さんルートを読んだ後でとりあえず1日空けた私は前川組ですね分かります。
それはもう立派な前川組ですね。前川さんの楽しみ方をちゃんと理解しているようでw
マコ君君は前からあんな感じでした。表に出さなかっただけで、傾向はとこどところに見え隠れしてましたよ。だから、いつかきっとこんなことになるとは思ってましたw
そうですか? リュウシさんルートも印象的でしたよ。可愛かったというか、スタッフロールのくだりのマコ君君のモノローグが良いこと言ってるなぁと思いました。あのページ数の割に内容は濃かったと思います。
みんなそれぞれに良いところがありますから、その部分が輝いてるときの三人娘は本当に好きです。
次巻以降もその部分をどんどん輝かせていってもらいたいです。ねぇ、某俺。 - Posted at 2010.12.23 (10:40) by つかボン (URL) | [編集]
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…他人の妄想を楽しむってダメじゃないか?
まあ何にせよただの妄想で終わらないってところがさすがですよね。入間さんがライトノベルでありながらそれだけじゃ終わらないってのをこの巻で本当に実感しました。
やっぱエリオルートとヤシロルート(?)が印象的でしたね…。凄くその状態がはっきりと想像できたので。らしい感じでもありましたし。
そしてどちらも終わり方が素晴らしかったです。
ただやっぱり前川さんの可愛さが…w。
気づいたらみーまーの巻数に近づきつつあるんですね…。もう7巻か…。
ただこれ全く先が見えないです。まあ期待しか無いですが。
8巻にも期待してるぜ某俺w。 - Posted at 2010.12.23 (21:22) by tokuP (URL) | [編集]
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Re: タイトルなし
tokuPさん、コメントありがとうございます。
たまにはアリですけど、これ以上はちょっと勘弁してほしいです、な一冊でした。私としては。
あとがきにもあったように、シリーズ通してキャラが変わってるその筆頭は間違いなくマコ君君ですね。1巻のを振り返ると切なくなってきますw
> まあ何にせよただの妄想で終わらないってところがさすがですよね。
その通りなんです。入間先生じゃなかったら「なにがしたいの?」ってなって読む気失せますから。
やはりみなさん、エリオ&ヤシロルートが印象的なんですね。私としても好印象な話でした。
終わり方を綺麗にまとめてくれたのも一つの要因でしょうね。
前川さんは可愛かったんですが、あざといと言うか、狙ってる感がビシビシ伝わってきてどうもなーと。
でもまぁ、可愛いのは否定できません。それに妄想だからこそ見える違った一面というのもあって、そういった部分でならこの妄想巻を楽しむことができました。
そうですねー。みーまーが10+iだから、あと4巻ですか。
終わるとしたら、なんとなくみーまーに合わせて10巻で終わらせそうな気がします。
んー、どうだろう。不安もちょっと混じってるかなー。終わり方があまりに意味深すぎて。転び方によっては大災害になりそうで怖いです。
色々な意味で頼むよ! 某俺! - Posted at 2010.12.25 (17:45) by つかボン (URL) | [編集]