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サクラダリセット2 WITCH、 PICTURE and RED EYE GIRL/河野裕

年神を迎える


現在独り暮らしをしている私ですが、もうすぐ大晦日。
というわけでそろそろ帰省します。そのため先日から大掃除に明け暮れています。

最近では、普段から掃除を小まめに行うことで大掃除の必要性を避ける家庭もあります。
しかし大掃除というのは、年神、いわゆる来訪神を迎えるための日本古来より伝わる年中行事です。
一家庭に神が訪れるというのも大袈裟な話ですが、元より人の創作物。
きっと来年も良い年であるようにという願いを言い伝えに込めているのでしょうね。

来年は私にも神が訪れるでしょうか。


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河野 裕 椎名 優

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-02-27
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「ねぇ、貴方は私の結末が、幸福なものであることを望んでくれる?」



――あらすじ――
「貴方は、貴方の未来を知りたい?」能力者が集う街、咲良田。記憶保持の能力を持つ少年・浅井ケイと「リセット」能力を持つ少女・春埼美空は、管理局の要人に呼び出される。名前を持たず、「魔女」と名乗るその初老の女性は、30年近く隔離され、窓一つない部屋に住んでいた。彼女の能力は、未来を見ること。その役割は、咲良田の未来を監視すること。そして魔女は、自身の死期が近いことを知っていた―。待望の第2弾。


――感想――
前巻で静かな衝撃をもたらしてくれた『サクラダシリーズ』第二弾!

このシリーズほんっっっとに大好き!

とにかくそれだけは伝えたい。
1巻が素晴らしかった分、やっぱり続きには期待してしまうし、同じくらい不安も抱いてた。
けれどまったくの杞憂だった、と明言しておく。
1巻より良かったとか優劣の問題じゃなくて、私が1巻を読んで惚れるきっかけとなったこの物語特有の雰囲気を、2巻でも崩すことなく描き切ってくれたことが嬉しくて嬉しくて仕方なかった。

私はこういう類の話が好きなんだなぁと、改めて実感しました。
文学少女とか黄昏の詠使いとか、端的に述べるなら綺麗な物語が。綺麗で、それでいて絶対に揺るがない芯を核に持つ物語が。
惚れ直したのではなく、惚れ増しましたね。

副題にもある通り、魔女・写真・赤い目の少女、今回はそれらがメイン舞台で立ち回るお話。
ある日管理局から呼び出されたケイと春埼。
連れて行かれたのは窓一つない閉鎖された一室。
そこには名前を持たず、自らを『魔女』と名乗る初老の女性がいた。
彼女は咲良田で最大の能力、未来を見る力を持つ能力者だった。
何十年もの間、単なるシステムとして囚われ続けた魔女は、自分がもうすぐ死ぬことをケイに告げる。
そしてケイに問う。
「ねぇ、貴方は私の結末が、幸福なものであることを望んでくれる?」
と。

前巻に続き今回も様々な人の存在が連なり、ときに錯綜し、最初はどこに行き着くのかもわからないいくつもの糸が、無意識のまま驚くほど自然に一つの物語を織り成している。
未来視の能力を持つ魔女。
過去を再現する能力を持つ佐々野さん。
過去にケイと出会い、今もケイを追い求める岡絵里。
物語を織り成す過程に組み込まれたすべての人の想いが愛おしくて、悲しくてもだれも責められない。でもそれがきっと、ケイの目指すだれもが幸せになる結末の一端なんだと思う。

今回重要なキーを握っていた岡絵里。
まだ自分の浅はかさに気づいてなかったころのケイと出会い、名字とともに弱かった自分を捨てた少女。
強さを渇望し、自分にとってその象徴であるケイを追い求めてきた。
だから弱い自分を無理に隠して強く振舞う。昔のケイのように。故に、変わってしまったケイを知ったときの、裏切りにも似た絶望感は凄まじかったんだろうなぁ。
でも岡絵里だってただ中学生だ。ケイだって、岡絵里の言う通り弱くなってしまったのかもしれないけど、ただの高校生なんだ。できることにも限界はあるし。できないことはできない。
例え岡絵里がケイに敵対意識を抱いていたとしても、普通の中学生と高校生の間に危険なんてあるはずがない。
 当たり前だ。ただの中学三年生に、ただの高校一年生が会うことに、危険なんてありはしない。世の中は、そんなに殺伐としているわけじゃない。

このモノローグ大好きです。ハッと気づかされるものがあった。
岡絵里は新キャラだけど、今後も活躍しそう。
ケイと映画を見に行く岡絵里の姿を拝みたいです。
でもケイの誘いを断る岡絵里が好きです。

魔女と佐々野さん。
あぁ、素敵だなぁ。すごく素敵な関係だ。
何十年歳月を経ても、ただもう一度会うためだけにお互いを信じ合う二人。
他人と接する機会を奪われ、システムと化してしまった魔女。次第に人工的な表情しか形作れず、感情だって錆びついてしまった。
でも扉をノックする直前、自分の気持ちが嘘でないことに気づいて、まだ自分は人間であることに気づいて、自然に微笑む姿に涙をこぼしました。
佐々野さんが小さいころに魔女に語った自作の童話が現在と繋がる場面が好きすぎる。
「二人とも、幸せになるんだ」

今巻の最優秀名場面でした。

ケイと春埼の関係にも大きなターニングポイントが。
能力によってリセットを奪われた春埼。
能力という一本の糸で繋がる二人の関係にとって、それはもう一大事。
歪んでいて残酷な繋がりだけど、でも二人にとっては大切な繋がり。
だからリセットを奪われた春埼の言葉がとてもとても重く感じた。常人にしては微弱だけど、春埼にしては珍しく感情を表に出して訴える切実さに胸が痛む。
どれだけ春埼が、この脆い一本の繋がりに縋っているのか。
ケイに見捨てられるのを恐れているのか。
でもいつかきっと、二人が能力抜きで寄り添えるようになったら嬉しいなぁ。

そういえば、今回は村瀬さん大活躍。
再登場するとは思ったけど、こんなにも活躍するとは思わなかった。しかもなんか可愛いし。
非通知くんと野乃尾さんの出番が少なかったのは非常に残念。野乃尾さんに至っては出番なしだし。
あの二人とケイとの会話は面白いからもっといっぱい見たいんだけど、まぁこれからに期待かな?
話の中にも挙がってたけど、春埼と野乃尾の会話は私もぜひ拝見したい! カオスになること間違いなし。

終わり方が憎いなぁ。スワンプマンの話がここで意味を成してくるのか。
続きが気になる! でも楽しみは取っておきたいし。あーでもー!
とにかく大好き!(意味分からん)



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Comments

あぁ、2巻読もうか迷ってるときになんて記事を。
これじゃ買うしかないじゃないですかー!

個人的に良い作品ほど続きを読むのが怖くなるのは分かりますねぇ。
これとかもろにそうでした。

そして村瀬さん好きとしては、大活躍と聞いて歓喜せずにはいられません。
お正月は村瀬さんのかわいさに悶えることにします。

今年もわずかですが、どうぞ良いお年を。
Posted at 2010.12.28 (11:19) by 茶ネコ (URL) | [編集]
Re: タイトルなし
茶ネコさん、コメントありがとうございます。

> あぁ、2巻読もうか迷ってるときになんて記事を。
> これじゃ買うしかないじゃないですかー!
計画通り……ニヤリ。

そうなんですよー。
好きであれば好きであるほど、続きを読んでガッカリしたくないです。いつまでも余韻に浸っていたくなります。
でもサクラダは続きを読んで良かったです。ほんとに素晴らしい。

村瀬さん好きならきっと堪らないはず!
可愛い村瀬さんやカッコいい村瀬さん、より取り見取りの村瀬さんを堪能することができます。
ぜひコタツのお供に。

また来年もよろしくお願いします。
Posted at 2010.12.29 (16:40) by つかボン (URL) | [編集]
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前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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