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GOSICK ――ゴシック――/桜庭一樹

露天に降る


元日に家族で温泉に行ってきました。
地元に最近できた大規模な温泉です。と言うか、見た目はもう旅館。美味しい料理とか食べれるし。
今までに行ったことのないタイプの温泉で、施設内利用に制限時間が設けられていました。全部で5時間。
結構話題になっているらしく、大浴場・露天風呂だけでなく、岩盤浴もあることで正月でも賑わっていました。
温泉に入るのは久しぶりだったので、それに独り暮らしをしてると水道代やらガス代やらなんやらで、湯船につかる機会すらあまりないので楽しみでした。

驚いたことにそこの温泉、くつろぎ空間が充実してて普通にベッドみたいなものもあるし、雑魚寝ができる畳間もあったんです。さらにはテレビつきのリクライニングシートが数十台並んだ部屋に、漫画が1万冊用意されててみんな読んでいました。
制限時間が設けられるのも納得の快適さでしたね。

露天風呂でくつろいでる途中、雨に混じって雪が降ってきました。
入る前にそういう情景を夢見てたんで、その瞬間、情緒溢れるなにかがこうジュワジュワーって、体の中から込み上げてきましたよ。
当然寒かったんですけど、しばらく露天風呂から出られませんでした。

年末に慌ただしくしてた疲れも洗い流せて、いい元日をすごせたと思います。


GOSICK  ―ゴシック― (角川文庫)GOSICK ―ゴシック― (角川文庫)
桜庭 一樹

角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-09-25
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「ねぇ、ヴィクトリカ。これ、いったいどういうこと?」
「…………混沌《カオス》だ」



――あらすじ――
前世紀初頭、ヨーロッパの小国ソヴュール。極東の島国から留学した久城一弥は、聖マルグリット学園の図書館塔で奇妙な美少女・ヴィクトリカと出会った。彼女の頭脳は学園の難事件を次々解決してゆくが、ある日ヴィクトリカと一弥は豪華客船に招待され、そこで本物の殺人事件に遭遇してしまう。やがて彼ら自身に危機が迫ったとき、ヴィクトリカは―!?直木賞作家が贈る、キュートでダークなミステリ・シリーズ。


――感想――
今年初の感想記事はこれ!
桜庭一樹先生が贈る、キュートでダークなミステリ・シリーズ『GOSICK』です!

アニメ化も決まり、早速今月から放送開始なので記念して読んでみました。以前から気になっていたので丁度よかった。

この作品、元は富士見ミステリー文庫で出版されていたものだが、角川文庫で新たにリメイクされ、現在も続刊中。
武田さんのイラストつきの富士見ミステリー版はすでに絶版。
一弥やヴィクトリカやアブリル、グレヴィール刑事の髪型などイラスト拝見してみたかったから少し残念。
でも、角川版の表紙デザインも好みだなー。冒頭にもあった不思議の国のアリスをイメージした、メルヘンチックでミステリアスな雰囲気が気に入りました。

内容について述べると。
うん、これはよかった。素直にそう言える。
評判も頷ける面白さだった。年始めから良作を読ませてもらった。

舞台は二十世紀初頭のヨーロッパ。
ソヴュール王国と呼ばれる架空の小国で出会った、東洋からの留学生である久城一弥とすべてが謎に包まれた美少女のヴィクトリカが紡ぐ物語。
このソヴュールという架空の小国。架空でありながら実在していると思わせるような歴史的背景、国の特色、そして情景描写を、あくまで自然体で表現していることにまず舌を巻いた。実際に起こった史実にまで、この架空の国を矛盾の発生しない程度で関与させてるのだからすごい。

今回は、知っている人も多いであろうあの伝説のゴーストシップ『QueenBerry号』にまつわるお話をモチーフにしていた。
元となったお話を知っているだけに受け入れやすく、またそこに、桜庭先生なりの新たな視点を加えることで非常に魅力的な別の物語に作り替えていた。

物語のメインとなる一弥とヴィクトリカ。
一弥は軍人家系の三男として生まれ、優秀な二人の兄に囲まれていることに一種のコンプレックスを感じている。そんな兄や父から逃げるようにして、一弥はソヴュールの国に留学してきた。
兄たちを見返すために猛勉強をしたことで学力的には兄弟一となった為、一応学園内では秀才扱い。だが同時に、怪談好きなクラスメイトからは『春くる死神』と囁かれてたりする。
軍人の家系に生まれた所為か正義感は非常に強く、曲がったことは大嫌い。
ときおり見せる、目に痛いぐらいの一弥の真っ直ぐさはとってもカッコいいと思う。
今時バカ正直な主人公なんて流行らないだろうけど、一周回って好きになれる感じ。
主人公に好感が持てるのはでかいなぁ。

そしてヴィクトリカ。
一言で表すなら可愛らしいお譲さん。
一弥のクラスメイトでありながらその姿は、もっと幼い少女。それでいて触れたら壊れてしまいそうな陶磁器を思わせる美貌の持ち主。驚くほど長く垂れ下がる金髪に、ゴシックロリータの衣装で身を包んでいる。
だが一番驚くべきことは、ヴィクトリカの声がしわがれた老人のそれであること。
しわがれた声って……「おばあちゃん可愛いねぇ、チミィ」と頭を撫で撫でしたくなるなんてことはないけど(いや本当に)、いつもは超然としているのに、その声でたまに弱気な姿を見せられたらどうしようもないでしょ。べっこう飴とかあげたくなるね!
ただこの少女。恐るべき推理力の持ち主で、事件のあらましを人伝に聞いただけで犯人と事件の真相を言い当ててしまうのだからべっこう飴なんてあげてる場合ではない。(当然だ)
そういえばそんな探偵がどっかの推理小説にいたなー。

事件の真相は割と最初辺りでわかってしまった。と言うか、物語の中に出てくるあるトリックをすでに知ってたんだよね。それこそ、ドラマ『TRICK』で見たことがあったから。
だからと言ってそれが楽しむことの障害になるわけではなく、むしろそれでも楽しめるのが凄い。
推理をしながら冒険をしてるようなワクワクが心地よくて、解説にもあった通りまるで本当にコナン・ドイルやエドガー・アラン・ポーの小説を読んでるみたい。(ドイルの小説面白かったなー)
意識してるのかわからないけど、外国小説の翻訳したような文章がまた、作品の雰囲気を助長しててよかった。
この世界観が堪らんです、はい。

尖ってるわけでも目新しさがあったわけでもないけど、しっかりした基盤が物語の底にあって、軸がぶれないように支えている。こういう安定感のある作品は好きだな。

アニメが始まる前にもう一つぐらい読んでおきたいところ。
これから一弥とヴィクトリカがどんな事件に巻き込まれていくのか楽しみです。
なんだろう。本当に不思議の国に迷い込んだみたいにウキウキしてる。

そういえばアニメのヴィクトリカの声はどうなるんだろう。悠木さんが担当するみたいだけど。
悠木さんと言えば、前期は十兵衛の2パターンの声が印象的だった。あと、美生の声が可愛らしかった。
でも老婆声となるとやっぱり難しいんじゃなかろうか。アニメ版だから大目に見るのかな。
できれば老婆声希望なんだけど……。

あと、四月にビーンズ文庫でイラストつきGOSICKの1巻と2巻が復刊するみたいです。イラストを担当するのはもちろん武田さん。
3巻以降も月をあけてどんどん復刊するみたいですが、富士見時代のイラストがそのまま蘇るのか。それとも装いを新たに登場するのか。
おそらく角川でシリーズは一通り集めるつもりだけど、ビーンズ版も出たら買いそうだなー。自分のことながらわかってしまうダメな私。
穴があったら入りたい。
できれば、不思議の国に繋がる穴に。


関連商品
GOSICKII ―ゴシック・その罪は名もなき― (角川文庫)
GOSICKIII ―ゴシック・青い薔薇の下で― (角川文庫)
GOSICK IV-ゴシック・愚者を代弁せよ- (角川文庫)
GOSICKs-ゴシックエス・春来たる死神ー (角川文庫)
GOSICKV-ゴシック・ベルゼブブの頭蓋- (角川文庫)
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Comments

ツイッターでも言及したコメントの件はすいませんwマジで寝ぼけてましたw

GOSICK楽しみ過ぎてクリアファイル買っちゃいましたよ。フラクタルも同じく。あ~やっぱり恨めしいw

やっぱりあれはTRICKですよね。上田次郎が好きすぎて困る。
ヴィクトリカが前半で魅せた完全無欠っぷりをいい感じで剥がしていく後半が楽しかったです。それが演技なのかどうか曖昧なところもまた。

私が持っているのはミステリー文庫のほうなのですが、角川版のあとがきを覗いたことがあります。あとがきを書いている方がおススメしている巻が私も一番好きなので、さぁさ、早く追いついてくださいw
Posted at 2011.01.03 (21:36) by ask (URL) | [編集]
あけましておめでとうございます!

今日書店に行ってたまたまその書店の「おすすめ文庫」になってて気になってたんですよー!
そのときは手までは出せなかったのですがこんなに面白いなら買っておけばよかったと只今絶賛後悔中す・・・

今度行くときは絶対手に入れたいと思います!
Posted at 2011.01.03 (22:53) by 灰理 (URL) | [編集]
制限時間が設けられてるんですか。

ヴィクトリカの声は斉藤千和さんじゃなかったっけ――と思いきや、ドラマCDでしたか。
桜庭さんの文章は独特ですよね。
上手いのか下手なのか判断しづらい文章なんですが、確かに言われてみれば翻訳した文章みたいです。
Posted at 2011.01.03 (23:16) by サクラ (URL) | [編集]
Re: タイトルなし
askさん、コメントありがとうございます。

ツイッターのコメントの件はまだちょっと理解し切れてないので、ひとまずaskさんの記事を楽しみにしているということでw

GOSICKとフラクタルのクリアファイルなんてあるんですか? うわっ、それは欲しいですね。
恨めしついでに私にも一つw

はい、あれは『TORICK』ですね。私の大好きな男優女優である阿部さんと仲間さんが出てたんで大好きでした。
確かに手を繋いでるときの真意とか曖昧でしたよね。
そのじれったさが好きです。

ミステリー版とかちょーレアじゃないですか。うらやますぃー。
オススメしていた巻と言うと、3巻か5巻辺りですか?
できるだけ早く追いつくんで待っててください。

灰里さん、コメントありがとうございます。

あけましておめでとうございます。

これを書店がオススメするのもわかります。
ダークでありながらライトな感じで非常に読みやすいですし、相応に面白いです。
ぜひ今度見かけたら後悔のないように。

あと、メッセージの件ですが、返信が遅れてしまいました。ごめんなさい。

サクラさん、コメントありがとうございます。

設けられていたんです。
でもあの空間だといつまでもいたくなるので、やはり当然の処置でしょうね。

ドラマCDのことはまったく知らなかったのですが、斉藤千和さんだったんですね。どちらかと言うと斉藤さんの方が好きなので、そちらが気になります。
はい、独特でした。
サクラさんの言う通り上手いのか下手なのかわからないんです。
途中まで下手だと思っていたんですが、どんどん物語に引き込まれてページを捲る指が止まらなかったので、途中からこれはこれで上手いんだと思い直しました。
私なりの解釈ですけど、翻訳のような文章が物語の雰囲気にマッチしていたんだと思います。
Posted at 2011.01.03 (23:53) by つかボン (URL) | [編集]
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Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
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どうぞよろしくお願いします。

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