Colorful Concrete
おもしろき ことなき世を おもしろく 高杉晋作
ミステリーの書き方/アメリカ探偵作家クラブ
- Posted at 2011.02.24
- l一般書籍
夜空に輝く一番星
突然ですが、現在進行中のとある企画について紹介したいと思います。
実は、千石サクラさんに誘われて去年から同人誌なるものを製作しています。
誌名は『スピカ』。
メンバーはサクラさんと私の他に、ヒップホッピーさん、朝日悠さん。あと今回は都合により参加できなかったのですが、徳宮智絵子さん、Qubiaさんという方もいます。
同人誌と言えばコミケを想像する人も多いと思いますが、私たちが製作しているのは電子書籍です。
ブクログの機能を使ってネット上で配信する予定なのです。
同人誌を作るのは初めてなのですが、複数の方と共同して本を作るというのはいいものです。個人的にネットで公開するのとは違い、色々なことを本格的に経験できますから。
できるだけ多くの人に読んでもらうため、いいものに仕上がるよう鋭意製作中ですので、どうぞ『スピカ』をよろしくお願いします。
また、詳しいことが決まり次第お知らせしますね。
――あらすじ――
アメリカの売れっ子ミステリー作家たち、ジョン・D・マクドナルド、レックス・スタウト、スタンリー・エリン、ロス・マクドナルドらが、自分たちの企業秘密を公開。作家志望者には座右の書。読者には、作り手の手の内がよく分かって謎解きが一段と鋭くなり、ミステリーが十倍面白く、楽しくなる、必読の書。
――感想――
思えばこういうハウツー本の感想は書いたことがなかったね。
今までに何冊か読んだことあるけど、このブログで書くものではないと思っていたので書いていなかった。
今回書くことにしたのは単なる気まぐれです。何事にも気分転換は必要だよ。
よく「ハウツー本読むぐらいなら書け」なんて言う人がいる。
それはある意味では間違いではないし、実際にハウツー本なんか読まなくても独自に培ってきたものと感性に頼るほうが書ける人もいるだろう。
けれど頭ごなしに否定するのも違うと思う。
私の持論としては、ハウツー本を読むにあたって重要なのは内容ではなく、読む人の受け取り方だと思う。
書かれている内容を自分の中でどう料理して、自らの血肉とするか。それが大事ではなかろうか。
「これを読めば俺でも傑作が書けるぜ!」と中身を鵜呑みにする気満々で読んだ人が、きっと「ハウツー本なんてクソだ!」とか言い出すんだろう。
そもそも小説を書く上で定石なんてものは存在しない。だからハウツー本によって書かれている内容に違いがあるのだ。ハウツーとは言え唯一の答えなんてないのだから、その中から自分と相性のいい一冊を見つけ出す読者の選別眼が重要なのだ。
ただこの手の本には、本当に愚にもつかないようなものもあるから注意したほうがいい。
けれど今回紹介する『ミステリーの書き方』は、まったくそんなことはなかった。
本書は、アメリカ探偵クラブに在籍するプロ・アマ含むすべての会員から集めたアンケートをもとに編集され、1976年に刊行された本の翻訳版です。
恥ずかしながらこの本を読むまで、私はアメリカ探偵クラブの存在も、そこに在籍する著名な作家さんたちのこともほとんど知らなかった。
けれどそれが本書を読む上で支障になったりはしないから、私のように知らない人も安心してください。
丸々一冊がアンケートの回答紹介で構成されているわけではないのだけど、やはり注目すべきは著名ミステリ作家さんたちの生の言葉を知ることができることだろう。論理立ててぐだぐだ続く説明よりは何倍も理解しやすい。
しかも、集められたアンケートの中から主題に対して的確な回答が選出されているため、非常に効率がいいのだ。
私が特に素晴らしいと思ったのは、一つの質問に対して複数の作家の答えが得られることだ。よって一つの方法論に考え方が縛られることがなく、複数の答えの中から自分に適した意見を参考にすることができるのだ。
このあたりが他のハウツー本とは一線を画すところではないだろうか。
ちなみにアンケートで構成された章は6つあり、それぞれ『なぜ書くのか』『アイデアの見つけ方』『いつ、どんなふうにして書くか』『ステレオタイプを避けよ』『つまずきの処理法』『ミステリーの秘訣』という章題となっていて、アンケートの質問内容もこの章題に準ずるものとなっている。
アンケート以外の章では、アメリカ探偵作家クラブから特定の作家さんが執筆を担当する形となっている。
これもまた非常に参考になる。ただ論理が展開されるだけでなく、執筆を担当した作家さん自らの経験が具体例として挙げられているため、より理解の助けとなるのだ。
本書はミステリ作家を目指す人だけでなく、ミステリファンにも十分に楽しめる内容になっていると思う。ミステリ作家ではないけど、作家を目指している人にも強く薦めたい。
中にはミステリでしか必要ない内容もあるのだけど、ほとんどのノウハウが創作上共通しているのだと、私自身が読んでそう思った。きっとなんらかの助けになってくれるに違いない。
ところで、私はミステリ作家を目指しているわけではないのだけど、軽いミステリ要素は取り入れても問題ないと思ったのでこの本を読みました。
けれどこれは、本当に目からウロコでした。
きっとこれから何度も、私はこの本を開くことになるでしょう。
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突然ですが、現在進行中のとある企画について紹介したいと思います。
実は、千石サクラさんに誘われて去年から同人誌なるものを製作しています。
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メンバーはサクラさんと私の他に、ヒップホッピーさん、朝日悠さん。あと今回は都合により参加できなかったのですが、徳宮智絵子さん、Qubiaさんという方もいます。
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「作家になるのは簡単なことだ。大きな都会へ出て、机と椅子のそなわった小さな部屋を手に入れなさい。机にはタイプライターを置き、椅子に座りなさい。そして書きはじめなさい。十年後に立ち上がれば、作家になっているはずだ」
――あらすじ――
アメリカの売れっ子ミステリー作家たち、ジョン・D・マクドナルド、レックス・スタウト、スタンリー・エリン、ロス・マクドナルドらが、自分たちの企業秘密を公開。作家志望者には座右の書。読者には、作り手の手の内がよく分かって謎解きが一段と鋭くなり、ミステリーが十倍面白く、楽しくなる、必読の書。
――感想――
思えばこういうハウツー本の感想は書いたことがなかったね。
今までに何冊か読んだことあるけど、このブログで書くものではないと思っていたので書いていなかった。
今回書くことにしたのは単なる気まぐれです。何事にも気分転換は必要だよ。
よく「ハウツー本読むぐらいなら書け」なんて言う人がいる。
それはある意味では間違いではないし、実際にハウツー本なんか読まなくても独自に培ってきたものと感性に頼るほうが書ける人もいるだろう。
けれど頭ごなしに否定するのも違うと思う。
私の持論としては、ハウツー本を読むにあたって重要なのは内容ではなく、読む人の受け取り方だと思う。
書かれている内容を自分の中でどう料理して、自らの血肉とするか。それが大事ではなかろうか。
「これを読めば俺でも傑作が書けるぜ!」と中身を鵜呑みにする気満々で読んだ人が、きっと「ハウツー本なんてクソだ!」とか言い出すんだろう。
そもそも小説を書く上で定石なんてものは存在しない。だからハウツー本によって書かれている内容に違いがあるのだ。ハウツーとは言え唯一の答えなんてないのだから、その中から自分と相性のいい一冊を見つけ出す読者の選別眼が重要なのだ。
ただこの手の本には、本当に愚にもつかないようなものもあるから注意したほうがいい。
けれど今回紹介する『ミステリーの書き方』は、まったくそんなことはなかった。
本書は、アメリカ探偵クラブに在籍するプロ・アマ含むすべての会員から集めたアンケートをもとに編集され、1976年に刊行された本の翻訳版です。
恥ずかしながらこの本を読むまで、私はアメリカ探偵クラブの存在も、そこに在籍する著名な作家さんたちのこともほとんど知らなかった。
けれどそれが本書を読む上で支障になったりはしないから、私のように知らない人も安心してください。
丸々一冊がアンケートの回答紹介で構成されているわけではないのだけど、やはり注目すべきは著名ミステリ作家さんたちの生の言葉を知ることができることだろう。論理立ててぐだぐだ続く説明よりは何倍も理解しやすい。
しかも、集められたアンケートの中から主題に対して的確な回答が選出されているため、非常に効率がいいのだ。
私が特に素晴らしいと思ったのは、一つの質問に対して複数の作家の答えが得られることだ。よって一つの方法論に考え方が縛られることがなく、複数の答えの中から自分に適した意見を参考にすることができるのだ。
このあたりが他のハウツー本とは一線を画すところではないだろうか。
ちなみにアンケートで構成された章は6つあり、それぞれ『なぜ書くのか』『アイデアの見つけ方』『いつ、どんなふうにして書くか』『ステレオタイプを避けよ』『つまずきの処理法』『ミステリーの秘訣』という章題となっていて、アンケートの質問内容もこの章題に準ずるものとなっている。
アンケート以外の章では、アメリカ探偵作家クラブから特定の作家さんが執筆を担当する形となっている。
これもまた非常に参考になる。ただ論理が展開されるだけでなく、執筆を担当した作家さん自らの経験が具体例として挙げられているため、より理解の助けとなるのだ。
本書はミステリ作家を目指す人だけでなく、ミステリファンにも十分に楽しめる内容になっていると思う。ミステリ作家ではないけど、作家を目指している人にも強く薦めたい。
中にはミステリでしか必要ない内容もあるのだけど、ほとんどのノウハウが創作上共通しているのだと、私自身が読んでそう思った。きっとなんらかの助けになってくれるに違いない。
ところで、私はミステリ作家を目指しているわけではないのだけど、軽いミステリ要素は取り入れても問題ないと思ったのでこの本を読みました。
けれどこれは、本当に目からウロコでした。
きっとこれから何度も、私はこの本を開くことになるでしょう。
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Comments
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例の同人誌、活動開始したんですね。
誘っていただいたのに、参加できなくてすいません・・・
完成したら、真っ先に見に行きます!
小説のハウツー本には、結構お世話になってますねー。
この本は読んだことはありませんが、関連商品の所にある「ベストセラー小説の書き方」と「ミステリーの書き方」は読んだことあります。
「ベストセラー小説の書き方」の著者・ディーン・クーンツは、かの有名なホラー作家・スティーヴン・キングのライバルといわれている人で、巻末に作家になるために読むべき海外作家の本がズラッと紹介されてます。一時はリストに書かれた作家の作品をせっせと読んでましたね。途中で挫折しましたが(笑)
「サスペンスを書くにはどうしたらいいか」ということではかなり参考になると思います。
つかボンさんが今回紹介した本と同名のタイトルですが「ミステリーの書き方」(日本推理作家協会編)は日本人の作家に作品を書くときの工夫・プロットの作り方・推敲の仕方・好きな作品(コレ重要!)などをインタビューしたもの。
今をときめく作家の方々が、それぞれの方法論を赤裸々に語っております。
個人的に嬉しかったのは、「悪の経典」で「このミステリーがすごい!2011」で1位になった貴志祐介氏のインタビューが入っていたこと。この方のダークな作品群が大好きで、どういうやり方で作品を書いているのかずっと気になっておりました。
もちろん他の先生方の方法も、かなり参考になりました。
他にも沖方先生もラノベの書き方指南本を何冊か出されてますよね。ただアレは沖方先生の作品を読んでから読むことをオススメします(笑)
ハァ・・・いいかげん書かなきゃ、私も・・・
参考になったら幸いです。
P,S 最近コメントが長くてスイマセン・・・
- Posted at 2011.02.24 (23:36) by naomatrix (URL) | [編集]
-
私も初耳でした。
しかもその会員にアンケートをとってハウトゥー本を作るとは、なかなか面白そうですね。
しかも愚にもつかないものがなかったとは。
最近は、広く物語にミステリ要素が組み込まれていますね。
やはり、「これからどうなるの?」っていう展開が、面白さに重要なんでしょうね。
きっと、これからもっと物語自体が進化していくんだと思います。 - Posted at 2011.02.24 (23:37) by サクラ (URL) | [編集]
-
初耳でした。
基本的にhow to本は読まないので、少し興味が湧きました。
でも基本アメリカの作家読まないんですよね。
読んでるのはディーヴァーぐらいですし、読もうと思ってる海外作家はイギリスの作家ばかりです。
一段落したらアメリカの作家にも手を付けるのも良いかもしれませんね。 - Posted at 2011.02.25 (21:03) by 稲羽 (URL) | [編集]
-
Re: naomatrixさんへ
コメントありがとうございます。
活動自体は去年から開始していました。
それぞれの作品を一度校正し大体完成に近づいてきたので、そろそろいいだろう、ということで今回報告させてもらったのです。
参加できなかったnaomatrixさんの分も情熱を注ぎましたので、完成したときはぜひ読んでくださいな。
スティーヴン・キングのライバルとはすごいですね。
海外作品は翻訳家によっても左右されるの買うときに最も悩む類の本です。面白いんですけど、日本文学みたいにホイホイと手は出せませんね。
ちなみにですが、サスペンスの書き方はこちらの本にも書かれていますよ。非常に参考になりました。
日本版『ミステリーの書き方』は、そのまま今回紹介した本の日本版という感じなのですね。
形式が似ているので、外国版『ミステリーの書き方』を気に入った私には向いてるかもしれません。それに色々な作家さんの好きな作品というのも気になりますね。
おー、貴志祐介さんも参加しているのですか、と驚いてみたものの、悪の経典を知っているぐらいで貴志さんについてはまったく知らないのですが。
確かに冲方先生の本は読んだことないので、指南書はちょっと好きなれませんでしたね。
ただあれは、それだけが理由じゃないような気もしますが……。
私は『五代ゆう榊一郎の小説指南』をオススメします。
いえいえ、長文大歓迎ですよー。非常に参考になりました。多謝です。 - Posted at 2011.02.26 (01:27) by つかボン (URL) | [編集]
-
Re: サクラさんへ
コメントありがとうございます。
東京にある夢の国ばりに面白そうな場所ですよね。
オールスターみたいで胸が熱くなってきます。
私も驚きました。もちろんそのことは承知の上で購入したんですが、これが予想以上に参考になるんですよ。当然のことを書いてたりもするんですが、改めて知らしめられるというか。
ちょっとしたどんでん返しでも読者を楽しませるには充分な効果を発揮しますからね。
軽いミステリ要素ぐらいは自由自在に組み込むことができる技術を身につけたいです。物語の進化についていくためにも。 - Posted at 2011.02.26 (01:36) by つかボン (URL) | [編集]
-
Re: 稲羽さんへ
コメントありがとうございます。
ハウツー本は向かない人にはまったく向かないんだと思います。
ですが、この本でなくていいので一度は読んでみることをオススメしますよ。向き不向きはそのあとに判断したんでも遅くないですし。
私は国すら意識したことないですよ。すべてひっくるめて外国人作家という認識です。やはり違いとかあるのでしょうか?
辛うじてディーヴァーは知っていました。確か以前に、ディーヴァーの創作に関するインタビュー記事を読んだことがあったと思います。
私もいずれ、このアメリカ探偵作家クラブの著名作家陣の本を読んでみたいです。 - Posted at 2011.02.26 (01:45) by つかボン (URL) | [編集]
-
頑張ってくださいね!
すごく楽しみにしています☆
私事ですが、歌雨が今は色々忙しくてパソコンを開いていない状況なのですが、そろそろまた再開すると宣言していましたので、読むものが沢山できるといいなぁと想っています♪ - Posted at 2011.02.26 (09:51) by 灰理 (URL) | [編集]
-
Re: 灰里さんへ
コメントありがとうございます。
ありがとうございます!
できるだけ期待に応えられるよう精一杯作りますので、ぜひ読んでみてくださいね!
歌雨さん久しぶりですね。
再開したときにはブログを覗かせてもらいますね。 - Posted at 2011.02.27 (01:35) by つかボン (URL) | [編集]
-
Re: 履歴書の書き方の見本さんへ
コメントありがとうございます。
> とても魅力的な記事でした。
ありがとうございます! なによりも嬉しい一言です。
ぜひぜひまた遊びに来てください。
いつでも歓迎します。 - Posted at 2011.09.09 (02:07) by つかボン (URL) | [編集]