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おちゃらけ王/朽葉屋周太郎

ニコニコ動画の掲載方法を覚えました。


今日は転写をしたり企画用原稿の直しをしたり友達に飯に誘われたり、あとまどマギのMAD動画を見て笑ったりしてすごしました。
↓これね


比較的まったりとした平和な一日だったかな。
それにしても、まどマギのMAD動画ってなんでどれもこれもクオリティ高いんだろうね。わけがわからないよ。






おちゃらけ王 (メディアワークス文庫)おちゃらけ王 (メディアワークス文庫)
朽葉屋 周太郎

アスキーメディアワークス 2011-02-25
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「で、一体何をしに来た」
「今日は嗚鼓宮祭だな」
 思わず、「ぐっ」と唸ってしまう。嫌な予感がしたのだ。
 恐る恐る視線を移すと、魔王の微笑にぶつかった。
「実はね、君に用心棒を頼みたいのだ」



――あらすじ――
かつては無類の馬鹿者だったが、いまは怠惰な大学生に成り果てていた名雪小次郎。そんな彼の前に、幼少からの腐れ縁「魔王」が現れ、言い放つ。「君に用心棒を頼みたいのだ」。
多くの人間に金を借りている魔王は、借金を取り立てる債鬼から逃げつづけなければならないのだという。やっかいな頼みを断る小次郎だったが、魔王の策略にはめられ、恐ろしい追っ手たちから無我夢中で逃げ回ることになる。その逃亡劇の果てに二人を待っていたものは――?
馬鹿で奇妙奇天烈で爽快なネオ青春グラフィティ! 電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉受賞作。


――感想――
昨年の第16回電撃大賞で野崎まどや有間カオルといった実力者を輩出した『メディアワークス文庫賞』。
正直、電撃文庫部門より信頼している賞だけど、今年はどんな作家が生まれるのかと期待しながら、受賞作2作のうちまずは1作目『おちゃらけ王』を読ませてもらいました。
そして、どうやら今回も大当たりのようです。

いい! ひじょーによかった!
MW文庫に多くの良作あれど、その中でも抜きんでた面白さではないだろうか。間違いなく秀作の部類。

作者の朽葉屋先生は1988年生まれと歳も近く、大学生のころに思い立って小説を書き始めたという点で私と共通点があり、親近感がわく。
ただ私と決定的に違うのは、本作が処女作でありながら受賞に至るほどの才能の有無だろうね。憎たらしいったらない(褒め言葉……だと思う)。しかも受賞が納得の面白さだから余計に悔しい。

よく言われている通り、『四畳半神話体系』の影がちらほら見える。作者がどう思ってるかは知らないけど、読者側としてはどうしても意識してしまう。
ただ一つ言えることは、それでもなおかつ面白い。
劣化なんて言われてるが、文体とキャラがどことなく似てるだけで、物語はまったく別物なのだからその言葉は当て嵌まらんだろう。

小学校からの腐れ縁である『魔王』に、『嗚鼓宮祭』という地域祭りで用心棒を頼まれた主人公・名雪小次郎。
嗚鼓宮祭では『嗚鼓宮定例回収会』と呼ばれる、いつの間にか魔王が定例行事にしてしまった催しが開かれることになっていた。それは『債鬼』と呼ばれる鬼役の人々が、魔王から今までの借金を返済してもらうために開かれる、いわゆる鬼ごっこのようなもの。
その用心棒を頼まれた名雪だが、自称ダルがリア王国の国王とのたまうほど怠惰な生活を送っていたため、面倒ごとは避けようと断るのだけれど、魔王の策略に嵌まって回収会に参加せざるを得なくなってしまう。
借金返済のため躍起になる債鬼たちと、そこに嗚鼓宮祭運営中に警察の代わりを務める通称『幻警団』が加わり、事態は三つ巴の闘争に。
おちゃらけた人々による、おちゃらけた鬼ごっこの幕が上がる。

ストーリーの流れは大体こんな感じ。
しかし何が面白いって、
流れるような文章の軽快さ。
おちゃらけ切った登場人物たちの愉快さ。
呆れるほど馬鹿なストーリーの痛快さ。

まず以てこの3要素だろうね。

そして何より面白い、というか胸を熱くさせてくれるのが、登場人物たちの扱う奇怪な能力の数々。それを本作では、『特技』と呼ぶ。
本文でも言及されている通り、速読の達人や素潜りの達人のように、他人には到底理解できないことを平然とやってのける人種というのは確実に存在する。本人からしたら原理とか関係なく当然のことなのだけど、周囲の人間には「どうなってんの?」と困惑してしまうような特技を持った人種だ。
それが本作では、たとえば煙草の煙で竜を形作って自在に操ったり、物理法則を無視してマントの中に大小様々のものを隠したり、さらには体を小さくしてティーカップの中に入ってしまうといった奇妙奇天烈な能力にあたる。
余計な説明は一切ない。必要ない。
これらの特技がより一層鬼ごっこを盛り上げてくれる。

登場人物が誰もかれもユニークで、私は全員好きだなぁ。
嗚鼓宮祭に参加する意志と目的はそれぞれ異なるけど、基盤には「馬鹿騒ぎが好きだ」という気持ちがある。
それは、面白いことなら何でも好きで、ときに目も当てられないような馬鹿をしでかすことがある私の趣味嗜好と通ずるものがあって、読んでいるだけで自分も嗚鼓宮祭の一員になっているような、そんな不思議な気分にさせられた。
本を読み終わるころには、まさに祭りのあとのように静けさと寂しさの入り混じった哀愁に包まれた。

ラストはやや強引であったものの、200Pにわたるただの鬼ごっこを飽きさせることなく読ませる力はすごい。ストーリーにもっと工夫があれば傑作だったかもしれない。
人間、何歳になっても童心を忘れちゃ駄目だ。それが人生を楽しむコツだと私は信じている。だから彼らのように馬鹿やって、笑われながら生きていこう。

朽葉屋先生の次回作に大いに期待。


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Comments

あー読みたい!!w
ただでさえ楽しみだったのにさらに楽しみになってきたじゃないですかw。
四畳半は読んだことが無いので思いっきり楽しめそうです。森見作品は『太陽の塔』で断念しちゃったんですよね…。

基本的に読む前の情報はあらすじをほんのちょっと流すだけなのですがこんな作品だったんですね。さらに読みたくなりますよ。
特に三要素はもう素晴らしいじゃないですか。名前からしてそうだとは思っていましたがそこまで言わしめるほどおちゃらけきっていますか!?w

あとは『特技』ですね。いや今からどんな風に展開するのかが楽しみです。
Posted at 2011.03.01 (20:57) by tokuP (URL) | [編集]
こんばんは。
最近メディアワークス文庫がご無沙汰です・・・(泣)。
積読しているのがまだあるので・・・

面白そうですね!奇妙奇天烈な能力を生かした鬼ごっこ。1988年生まれということは、年下か・・・ハア・・・

森見先生の作品は、妹の方が読んでますね。
「夜は短し恋せよ乙女」とか。
森見さんといえば、去年、伊藤計劃氏の「ハーモニー」が受賞した日本SF大賞を、森見先生の「ペンギン・ハイウェイ」が受賞したみたいですね。
読んでみたいけど、今金銭的に控えないといけなくて・・・

私も買ってつかボンさんのように、いろいろやる気をもらいたいと思います。
Posted at 2011.03.02 (01:03) by naomatrix (URL) | [編集]
四畳半の影響ですか。
けれどもそこに魔王とは、森見氏っぽくないですね。
むしろラノベよりな感じがします。

けれども、あの文体の影響ですか~。
っていうことは、やっぱあの文体を気に入った人がいるっていうことでしょうかねえ。
私はどうも苦手だったのですが。
Posted at 2011.03.02 (20:36) by サクラ (URL) | [編集]
Re: tokuPさんへ
コメントありがとうございます。

非常に面白かったので張り切って感想書きました。
四畳半を意識してしまうだけで、それが別に障害になったりはしないので読んでいても読んでいなくても充分に楽しめると思いますよ。どちらかと言えば読んでないほうがいいのかもしれませんが。

私も読んでみて物語の異様さに驚きましたね。そして買って正解だったと拳を握りました。
もう随所でおちゃらけています。お前らもっと真面目にやれよ、と思わず突っ込みを入れたくなるぐらいに。

異能バトルとまでは言いませんが、特技の扱い方にも注目です。
Posted at 2011.03.02 (22:32) by つかボン (URL) | [編集]
Re: naomatrixさんへ
コメントありがとうございます。

私も『19』以来でしたね。
同じく溜まりに溜まっています。MWは良作ぞろいなのに。

中でも本作はオススメの一冊です。ぜひ読んでみてください。

森見先生の作品は好きです。やはり文章が魅力的です。
『ペンギン・ハイウェイ』も読んでみたいのですが、やはり値段でしょうね。
今は文庫化を待っているところです。
Posted at 2011.03.02 (22:58) by つかボン (URL) | [編集]
Re: サクラさんへ
コメントありがとうございます。

MWは一応ラノベレーベルではないんですが、大人向けのラノベという印象が強いですね。
ちなみにですが、魔王と言っても、そう呼ばれているだけで中身は普通の人間です。

森見先生も独特な文章ではありますよね。
西尾維新もそうですが、ああいった作家先生の作品に人気が出るのは、文章に惹かれる人がいるからという理由もあると思いますよ。
実際、私も両先生の独特な文章が好きですから。
独特故に、サクラさんのように苦手な人もいるんでしょうけど。
Posted at 2011.03.02 (23:11) by つかボン (URL) | [編集]
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つかボン

Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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