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ひがえりグラディエーター/中村恵里加

『Spica-スピカ-』配信開始!


『Spica-スピカ-』

スピカがついに配信開始されました!
スピカってなに?という方はこちらのページでご確認ください。
私も参加メンバーとして短編を一作書かせてもらっています。拙作ではありますがどうぞよろしくお願いします。

スピカはできるだけ多くの人に読んでもらい、多くのコメントをいただくことを目的としています。ですので、できるだけ多くのコメントをいただけることに越したことはありません。
自分の未熟さは重々承知していますので、どうぞ遠慮なく読んだままの感想を述べてください。いかなる内容でも甘んじて受け入れさせてもらいます。
もちろんスピカ全体の感想もお待ちしています。
みなさんからの感想楽しみにしています。






ひがえりグラディエーター (電撃文庫)ひがえりグラディエーター (電撃文庫)
中村恵里加 紺野賢護

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「あなたは、今の生に満足している?」



――あらすじ――
突如現れた少女・アールによって、異世界へと誘われた少年・天海蔵人。そこで流行していたのは、なんと地球の人間を拉致し、互いに戦わせるという恐ろしい『娯楽』であった。一方的に銃とナイフを与えられ、見ず知らずの誰かとの戦いを強いられることに、蔵人は戸惑いを隠せないでいた。だが、その『娯楽』の頂点に立っている地球人…初戦以外は完全無敗の人物が、幼き日に行方不明になっていた自分の妹である可能性が高いということを知り、彼は―!?斬新な切り口で『戦い』を描く、ファンタジー&サスペンス。


――感想――
『ダブルブリッド』などで有名な中村恵里加先生の新作。
私にとっては初の恵里加作品です。

んー、期待していた内容とは微妙に違って、そこまで面白いとは感じられなかった。
決して駄作ではないけれど、好みが分かれる作品だな。
「ファンタジー&サスペンス」とあるけど、どちらも中途半端だなあという印象が強い。似たような創作物を見たことがあるから、漠然とした物足りなさを感じた。

けれども人気シリーズを打ち出す作家であるだけに、洗練された実力があったことも事実。
突如現れた異世界人の女の子・アールに無理矢理身を削り合うゲームに参加させられ、しかもそれが異世界人たちの単なる娯楽のためだというのだから、主人公の蔵人からしたら堪ったもんじゃない。参加を拒否することは決してできず、戦わないのであればただひたすらに相手に痛めつけられるだけ。勝つか負けるかの未来しかないという不条理な選択肢が恐怖でしかなかった。

大方の傷はすぐに再生し、体自体が強化されているから痛みも多少抑えられて、命に係わることはほとんどないというゲームの設定を知ったときは「なんだか温いなー」と思ったけど、そんなことはまったくなく、むしろそれこそが醍醐味だったのだろう。
傷が治るのなら人を傷つけていいのか。その葛藤の内で思い悩む蔵人の肉体と精神における痛覚描写、そして人を傷つけることの恐怖心と躊躇いの掘り下げ方が非常に繊細だった。

一番印象的だったのは、練習試合の相手が蔵人の知り合いだったときのお互いの認識のズレかな。
蔵人自身は武器を向けることすらも躊躇ってしまうのに、相手は容赦なく蔵人に攻撃を仕掛けてくる。「傷は治るのだから銃で撃ってこい」とさえ言ってくる。
長年のゲームの経験者であるがゆえに変質してしまった人としての価値観。
蔵人との間にある微妙だけど決定的な齟齬に背筋が凍りついた。

けれど最後に、自分にも勝ちたい理由があることに気づき一閃を振るった蔵人の姿には、寂しさを覚えると同時に嬉しさもあった。自分の都合だけじゃなく、自分を信じて希望を託してくれる人もいるんだということを知って、蔵人は少しだけ強くなれたのかもしれない。
でもやっぱり、こんな形でしか願いが叶えられないのは悲しい。改めてゲームの残酷さを思い知った。
なんて言いつつ、
「少しだけ、どきどきした、ような気がする」

アールのこの言葉には胸が震えたんだけどね。

理由があれば人は他人を傷つけられるのか、他人を傷つけていいのか。ある種の思考実験のようでいて、人の倫理観を問う物語運びがなかなかに興味深かった作品。
好みの部分もあればそうでない部分もあるといった感想かな。
とりあえずダブルブリッドは読んでみたいと思いました。


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Comments

スピカは週明けに読ませてもらいます!! 読み終えたらまた来ますね。

ちょっと淡泊すぎたかな、とは思います。ソウル・アンダーテイカー、ぐらシャチと単発を繰り返してきたことも関係あるかもしれません。ライトノベルとしてはもっと展開に波が欲しかったです。特に中盤。
ですが、私は「中村恵理加の作品」としては大満足です!! 待ち望んでいたとかを抜きにして、最後50ページは「ダブルブリッド」を髣髴とさせるエグさがありました。一番好きだった頃の中村さんが戻ってきたこととしても嬉しかったです。

やはり人を選びますかねw
つかボンさんやほかの方のコメントを見て痛切に思いました。だからこそ「作家」という言葉がこれ以上無いほど似合う方だとも思っています。
Posted at 2011.03.16 (21:55) by ask (URL) | [編集]
スピカ配信開始!
もう24ダウンロードもいってますね!

「○○&××」って、どっちかが薄くなったりするんですよね。
それを両立させると、ものすごい読者サーヴィスになるわけですが。

私は思うんですが、人間の本音を書けるって、強いと思うんですよ。
もちろん恐怖や躊躇いもですが、倫理をちょっと踏みにじった感情とかも。
それであえて倫理を問うこともできるわけですし。
Posted at 2011.03.17 (00:53) by サクラ (URL) | [編集]
ダウンロードしたよ!
じっくり読ませていただきますよ。
読んだらまたコメントします!

「ひがえりグラディエーター」はストーリーを聞くと、フレドリック・ブラウンの短編「闘技場」みたいな話なんですね。(知らなかったらスイマセン)
こっちはどんなアレンジが入っているのでしょうか。
Posted at 2011.03.17 (12:40) by naomatrix (URL) | [編集]
Re: askさんへ
コメントありがとうございます。

いつでもかまいませんので読んでもらえると嬉しいです。よろしければ感想などもいただきたい所存です!

淡白さは作品の雰囲気に合ってたと思うのでそこまで気にはならなかったのですが、確かに波がなかったかもしれません。盛り上がるときに盛り上がり切れてませんでした。常にフラットな物語運びだったので。
私が当初期待してた内容は、もっとエグイんだと思ってたんです。
でもこれはこれでまた違うエグさがあったので、 このベクトルが中村恵里加の作品なんだなと納得しました。

間違いなく万人受けする作品ではないですよね。
でも確かに『作家』ですね。賛否両論あってこその名作です。
Posted at 2011.03.17 (15:22) by つかボン (URL) | [編集]
Re: サクラさんへ
コメントありがとうございます。

今日見ると26でした!
少しずつ、少しずつでいいので多くの人の目に触れてほしいですね!
そして名を馳せるために、これからもどんどん活動量を増やしいかないとですね。

どちらかでもいいので特化してくれればもう少し評価も変わったかもしれないんですけど、どちらも中途半端だったというのがちょっといただけませんでした。

なるほど。確かに人間の本音って倫理の裏側にありますもんね。
あえて倫理に反することで倫理を問うという手法は、ちょっと覚えておいて損はしなさそうですw
Posted at 2011.03.17 (16:17) by つかボン (URL) | [編集]
Re: naomatrixさんへ
コメントありがとうございます。

ありがとうございます!
ぜひぜひ読んでくださいな! 感想も楽しみにしてますよ! 遠慮なくビシビシお願いします。

フレドリック・ブラウンの『闘技場』は名前だけ聞いたことあるぐらいで読んだことはないです。
さすが読書数の桁が違うnaomatrixさんですね。『闘技場』読んでみたくなりました。
Posted at 2011.03.17 (16:27) by つかボン (URL) | [編集]
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つかボン

Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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