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春期限定いちごタルト事件/米澤穂信

風の谷


昨日古本屋で『風の谷のナウシカ』の原作版を発見したので思わず購入してしまいました。
↓これね。
ワイド版 風の谷のナウシカ7巻セット「トルメキア戦役バージョン」ワイド版 風の谷のナウシカ7巻セット「トルメキア戦役バージョン」
宮崎 駿

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友達から借りて読んだことはあるのですが、あの感動が忘れられず宝物として所持しておくことに。
映画版も何度も見てしまうほど素晴らしい出来でしたが、一部改変があるとはいえ漫画版では序章にすぎません。それを始めて知ったのが中学生のころでとても衝撃的だったのですが、原作を読んでしまうとその衝撃も薄れてしまいます。あの終末的なラストにこそナウシカの本質があるんですよね。

というわけでこれからじっくり、少しずつ読んでいこうかと思います。






春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)
米澤 穂信

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 諦念と儀礼的無関心を自分の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を。



――あらすじ――
小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。


――感想――
今となっては一般文芸読みからラノベ読みまで、幅広い層の読者から支持される米澤穂信先生の人気作『小市民』シリーズ、その1作目を読ませてもらいました。

実は米澤作品は初めてです。
この『小市民』シリーズと並ぶ学園ミステリーにしてデビュー作である、『古典部』シリーズから読むという手もあったのだけど、どうしてもこちらから読みたい理由があった。それはどうでもいいんだが、『古典部』シリーズも長い間積んでるんで近いうちに読めたらなと思います。

理由云々はともかく、なんだこれ、面白いなあ! 期待に違わぬ面白さだった。随所で評判は聞き及んでいたけれど、それでも見劣りしない良質さ。
ちょっと米澤先生に惚れ込んじゃいそうだよ。

やっぱり学園ミステリーはいいね。それも身近に溢れるような日常の謎というのがいい。
消えたポシェット、油絵に秘められた謎、おいしいココアの作り方、割れた瓶の謎、といった具合に本当に些細な日常のミステリー。けれど読者としてもちょっと頭を働かせたくなるような、好奇心や童心をくすぐられる小規模さが気に入った。なんというか、頭の体操にはもってこいだよね。

探偵然と振る舞いたくないのに、謎を差し出されるとつい推理したくなっちゃう小鳩くん。
見た目は小柄で地味だけど、どこか食えない小佐内さん。
本性を隠して『小市民』を目指す『狐』と『狼』の二人は、ときに利用し合い、本当にときどき協力し合って謎を解き明かしていく。その協力も、実はお互いのおためごかしの裏返しだったりするのだからとことん捻くれている。
だからこそ面白いし、私はそのスパイスが好きだ。

等身大で親しみやすい物語性。ライトなミステリーの謎解き。楽しむべきところは多々あるのだけれど、やはり注目したいのは二人の関係性の描き方だろう。
あらすじのとおり、二人の間には恋愛関係も依存関係もなく、あるのは互恵関係のみ。それ以上でも以下でもなく、ただお互いに利用し合い自己利益とするだけ。
でも、「本当にそれだけなのか?」と勘繰ってしまうのが読者の心理であり真理。
二人の内心、特に小鳩くん視点からしか描かれない小佐内さんの内心を慮ると、想像と妄想がまったく尽きない。逆に言えば、作者に想像させられ妄想させられているわけだ。読者に情報を与えすぎず、想像力を駆り立たたせる絶妙な塩梅で描く米澤先生が憎い。それが妙に癖にもなるのだけど。
『小市民』を目指す二人の心の距離、そして互恵関係に則った立ち位置にとても繊細なこだわりを感じた。

本文中で活写される二人のユーモアある会話。けれどその裏側ではお互いに腹の探り合い、というのはさすがに卑屈な言い方だけど、要は小鳩くんも小佐内さんも相手を信頼しているわけではない。
けれど、小佐内さんのために探偵でも小市民でもなく、人間であろうとした小鳩くんのあのラストシーンが、私は大好きでした。

『小市民』を目指すきっかけとなった二人の過去という謎もまだ残存しているわけだし、二人の関係性がどう移り変わっていくのかも気がかり。そもそも変化は訪れるのか訪れないのか、そんなことも気になってしまうぐらい好きになったこのシリーズ。
続きもどんどん読んでいきたい。


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Comments

いつも感想記事読みながら「うおーおもしろそー」と思っています。
ついに小市民を読まれたと聞いてテンションあがってました。
いいですよね。この二人。絶妙な感じがまたいいですよね。
続きを読んだ感想楽しみにしてます。
Posted at 2011.03.26 (20:07) by Jane Na Doe (URL) | [編集]
古典部、めちゃめちゃ好きです。
小市民シリーズは上下作の栗きんとんが一番好きでしたが、やはり古典部の「クドリャフカの順番」は米沢作品の一番の座からは外せません。ドミノ式ミステリなんてのはよく言ったものです。小さいことから大きなものへ。すいすいと読んでしまった記憶しかありません。
障害物は古典部の面々。4人が光りすぎていて、先に進みたいのに彼らの言動に手を止めてしまう自分がいたりします。

積本が増えた、どうしてくれる!!なんてことは未読の人が言うことですので、私は言いませんが。

再読本が増えた、どうしてくれる!!

せめてこれだけは言わせてもらいますw
Posted at 2011.03.26 (23:52) by ask (URL) | [編集]
Re: Jane Na Doeさんへ
コメントありがとうございます。

ややっ、それは嬉しいお言葉を頂戴しました。ありがとうございます。
前々から読みたいとは思っていたのですが、Janeさんのつぶやきにより一層拍車をかけられついに読むに至りました。
まだまだ読み込みが甘いですが、これからじっくりコトコト煮込んで(=続きを読んで)二人の関係性について考察を深めていきたいです。
続きの感想も楽しみにしていてください。
Posted at 2011.03.27 (02:19) by つかボン (URL) | [編集]
Re: askさんへ
コメントありがとうございます。

『古典部』シリーズもとても気になります。本文で言及したとおり理由があって先に読むことはできませんでしたが、すぐにでも読みたいです。
ただ私はカップル萌えなので、特殊な関係性で繋がるカップルというのが大好物です。ですので、面白さ云々はともかく、好みはこっちじゃないかなって思います。
しかし米澤作品はかなり私の趣味嗜好と合う作風でしたので、『古典部』シリーズも含めて、『さよなら妖精』とか『犬はどこだ』とかどんどん読んでいきたいですね。

大丈夫ですよ。askさんなら再読の一冊や二冊、ちょちょいのちょいですw
Posted at 2011.03.27 (03:55) by つかボン (URL) | [編集]
早くトロピカルパフェ事件を読むんだ!

……いえ、乱心したわけじゃないんですよw
自分がトロピカルパフェ事件が大好きなもので……。
こちらは小粒ですが、あちらは本格のガジェットで遊びまくる!的な作品なんですよね。
もちろんいちごタルト事件も大好きですが、トロピカルパフェ事件の衝撃に比べたら全然ですね。
それぐらい大好きです。

あと、古典部シリーズもなかなか凄い作品なので、それも読んで頂きたいですね。
とは言っても愚者のエンドロールまでしか読んでませんけど。
どちらもオススメです。
Posted at 2011.03.27 (18:50) by 稲羽 (URL) | [編集]
Re: 稲羽さんへ
コメントありがとうございます。

> 早くトロピカルパフェ事件を読むんだ!
ふぁ、ふぁい!

稲羽さんの熱い気持ちが伝わってきますねーw
なるほど、トロピカルパフェ事件ですか。
シリーズの評判は聞いても、その中でどれが面白いとかはあまり聞いたことなかったんで、稲羽さんの意見は一つの目安になります。
いちごタルトを小粒と評するだけの、その真価をぜひとも拝見したいです。
というか、すぐにでも読みたい!

古典部シリーズも読みたいんですよね。
小市民と交互に読むか、一つのシリーズに集中するか、現在迷い中です。
Posted at 2011.03.28 (02:37) by つかボン (URL) | [編集]
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つかボン

Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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