FC2ブログ

ハロー、ジーニアス/優木カズヒロ

April Fool

少し遅いですがエイプリルフールネタでも。
といっても、別に嘘をつくわけではありませんが。

実のところ、エイプリルフールネタで記事を書きたかったのですが、いいネタが思い浮かばなかったので何食わぬ顔でスルーしました。
その代わりエイプリルフールについて色々調べてみたのですが、驚いたことにエイプリルフールの起源ってまったく不明なんですね。いくつか諸説はあるみたいですが、そのどれもが仮説の域を出ていない。有力なのはグレゴリオ暦導入説だとか。
その仮説もあまり笑える話じゃないんで、今こんなにも馬鹿騒ぎしてるというのもどこかおかしな感じがします。
もはや常識となっているようなことが、どこから来てどう広まったのかわからないなんてちょっと不思議ですね。
もしかしたら、もとは全然違うなにかだったりするのかもしれません。

四月一日は「わたぬき」とも読みますが、これはかつて防寒用に着物に詰めていた綿を、旧暦の四月一日に抜くことからそう呼ばれています。
日付の呼び名って面白いよね。

ちなみに英語で「April Fool」は「四月一日に騙される馬鹿」という意味があるそうです。







ハロー、ジーニアス (電撃文庫 ゆ 3-1)ハロー、ジーニアス (電撃文庫 ゆ 3-1)
優木 カズヒロ ナイロン

アスキー・メディアワークス 2010-10
売り上げランキング : 39456

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



『空を泳ぐ魚――僕は、あんなに美しいものを初めて見た』



――あらすじ――
「キミを我が第二科学部にスカウトしたい」
陸上の特待生として入学したものの脚を故障した竹原高行に唐突な勧誘の声がかかる。勧誘主の海竜王寺八葉は常識外れの優れた頭脳をもつ“ジーニアス”だったが、無謀な色仕掛けをしたり、実験に没頭するあまり風呂にも入らない、行動も常識外れの女子だった。仮入部した第二科学部で彼女に振り回される高行。彼を勧誘した海竜王寺の真意は、そして二人の関係の行方は!?


――感想――
気になりつつずっと積んでいた作品だけど、今月2巻発売だからその前に読んでおこうと思い読了。

これはいい! お手本のような素晴らしい青春小説だ。
なんだか新人賞受賞作みたいだなあって思ったら、作者は本当に新人だっだ。けれどそこら辺の受賞作より数段面白い。
特筆すべき点はあまりなく、むしろ舞台設定やキャラ設定など使い古されたネタの寄せ集めという印象は受ける。しかし三人称の語り口が非常に読みやすく、最後まで飽きが来ない。そしてなによりも王道をなぞる青春風景に胸を熱くさせられた

世界規模で急速に進行した謎の少子化が原因で、成人年齢が18歳に引き下げられ子供の権利が大きく拡大された近未来。新たな教育法によって全国の学校機関が次々と統合し、巨大な学園都市がいくつも形成され、ほとんどの学生たちはその学園都市で寮生活を送っていた。
そんなどこかで見たことのあるような世界観がこの物語の基盤。
SFとか近未来系は嫌いじゃないので世界観からまず好みだった。
そして外してはいけないのが、『ジーニアス』と呼ばれる存在たち。
彼らは謎の少子化とときを同じくして突如出現した、一言で表すなら『天才』と呼ばれる人種。しかし彼らの出現によって技術レベルが百年も進歩したと言われるように、『天才』という言葉ですらまだ足りない人智を超えた天才たちなのだ。

これは、そんなジーニアスの少女と一般人の少年が、互いに影響し合うことで悩みを越えて前へ進み始める、熱いパトス迸る葛藤と再挑戦の青春物語である。

足の怪我で高跳び選手としての生命を奪われた少年・竹原高行。
ジーニアスがゆえに自らの特異性に恐怖する少女・海竜王寺八葉。
良テンポな二人のかけ合いが面白く、そんな二人が描く青春模様もちょっと非日常的で心を惹かれる。
八葉が設立した第二科学部で、目的もわからないまま彼女の突飛な行動に振り回されながらも、少しずつ感化されていく高行の姿がとてもよかった。
部活内の輪を乱す第一人者であったかつての自分の振る舞いを後ろめたく思い、足を壊してからは陸上部を避けていた高行だが、最後には八葉のためにしっかり決着を着けたあたりなんてまさに青春! 臭すぎるけど、それがいい。

等身大な悩みと非凡な悩み。その間にある差は歴然でも、どこか似ている二人。境遇は違えど、彼らは同じように現状から逃げ出そうとしていた。
それでも同じ場所で同じ時間をすごすことで今まで気づかなかったことに気づき始め、またお互いがお互いの存在に突き動かされ、過去を越えて立ち上がろうとする様が非常に生き生きと描かれていた。
ベタだからこそ響くものもある。

二人を取り巻く登場人物たちも魅力的。ゆえに出番が少なかったのが惜しまれるなあ。
今回は特にさわやか王子こと灰塚くんがよかったね。
部内で疎まれていた高行に対し、唯一ライバルとして慕っていた灰塚。
無下に扱われながらも高行を追い求める灰塚。
彼の恋心にも似た高行への想いは子供みたいに我が儘なんだけど、スポーツマンとしての美しさに満ち溢れている。最後に決着を着けようとしたときみたいな二人の関係がいつまでも続いてくれたらいいな。

しかしなにより、ボクっ娘の八葉が可愛い
普段はまるで機械のように人の発言や気持ちを分析するのに、高行に対して情動的にわき上がる自分の気持ちには戸惑ってしまい、つい憎まれ口を叩いてしまう姿にはグッとくるものがあった。
だからこそ八葉が高行を誘うとした理由や、そこに至るまでの経緯、その後の高行に対する一挙手一投足の内面を思うと堪らなくなる。
ラストシーンなんて最高だ。
八葉の視点から描かれる非日常的な情景はとても美しく、まさにクライマックスというような鮮烈さで以て言葉にならない感動を残してくれた。
けれど、やはり最後の彼女の言葉がいい。
 ――僕はひとりでない。

物語の集大成となる素晴らしい言葉である。

これは2巻も大いに期待せざるを得ない。思わぬ伏兵と出会ってしまった。
彼らの青春グラフィティをこれからも追い続けていこうと思います。


関連商品
月光 (電撃文庫)
テルミー きみがやろうとしている事は (集英社スーパーダッシュ文庫)
くくるくる (ガガガ文庫)
二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない (集英社スーパーダッシュ文庫)
空色パンデミック1 (ファミ通文庫)
by G-Tools


スポンサーサイト



Leave a comment

Private :

Comments

四月朔日って聞くとHOLICなCLAMPっ子ですいません。てかワタヌキ一発変換にビビった。

私の周りでも何人か読み終えていたりするのですが、皆口を揃えて「新人とは思えなかった」と言っていました。頬にえくぼにグイグイと角を押しつけられる勢いで薦められています。痛い止めて。

つかボンさんの感想を見て思いましたが、多分「新人とは思えない」堂々とした青春っぷりだったということなんでしょう。「空パン」で本田さんが見せた「新人とは思えない」2冊連続のトラップみたいな。

良いですね、惹かれます。今の私は半年前の作品ですらも「新作」と思えてしまいそうなほど新刊離れしていますので、ぜひ読んでみたいです。
Posted at 2011.04.05 (17:27) by ask (URL) | [編集]
あら、エイプリルフールはその日じゃなくて、騙された人なんですか。
確かに四月馬鹿っていうと、日よりも人のほうがしっくりきますね。

王道に王道を重ねましたか。
みんな王道が好きなんですけど、今の世の中、何かを書けば誰かとかぶっちゃうんですよ。
それなのにマンネリじゃないっていうのは上手い書き方ですね。
私は覇道な書き方が多いので、ちょっと憧れてしまいます。
Posted at 2011.04.05 (17:30) by サクラ (URL) | [編集]
Re: askさんへ
そうですよね。四月一日は私も四月朔日くんを思い出します。

友達さんのおっしゃるとおり新人とは思えない筆力がありました。
特別突出した部分があるわけでもないのに、不思議と引き込まれる素晴らしい作品です。そりゃグイグイ薦めたくなりますよ。

なんというのでしょう。実力は新人離れしているのですが、書かれている物語はむしろ新人らしく青臭いんです。清々しいぐらいの青春模様に、熱く滾る若き熱を感じました。

王道青春ものが好きであればきっと気に入る作品だと思います。
久しぶりに新作に触れてみてはどうでしょうか?w
Posted at 2011.04.06 (02:37) by つかボン (URL) | [編集]
Re: サクラさんへ
コメントありがとうございます。

私も驚きました。
でももともとの英語の意味を考えると、人のほうが納得できますよね。

そもそも今の時代、既存の作品と被らないことのほうが珍しいでしょう。
だからこそどこで差別化するか。どこで人の心を惹きつけるか。
それが大事なんでしょうね。
私は覇道も王道も中途半端なので、私にとっても見習いたい作品ではありました。
Posted at 2011.04.06 (03:08) by つかボン (URL) | [編集]
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
04 06
FC2カウンター
ブログランキング

FC2Blog Ranking

応援とか色々
プロフィール

つかボン

Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

MY読書メーター
つかボンさんの読書メーター つかボンの最近読んだ本
検索フォーム
カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード