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サクラダリセット3 MEMORY in CHILDREN/河野裕

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リンク追加報告です。
今回はchikichikinaoki様が運営するブログ『個人的まとめ』様と相互リンクさせてもらいました。
こちらのブログでは主にラノベの感想を取り上げていますが、注目すべきは新刊レビューの迅速さとその更新頻度です。同じ感想系ブログを運営している者としては見習いたいことばかりです。正直、勝てる気がしません。
また感想だけでなく、他にも多種多様な記事で訪問者を楽しませてくれています。気になる方はぜひ立ち寄ってみてください。

chikichikinaoki様、相互リンクありがとうございました。






サクラダリセット3  MEMORY in CHILDREN (角川スニーカー文庫)サクラダリセット3 MEMORY in CHILDREN (角川スニーカー文庫)
河野 裕 椎名 優

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-08-31
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「いい事を教えてやる。浅井ケイは、間違えないんだ」
「……間違えない?」
「そう。あいつが助けようと思って、助けられない奴なんていないんだよ」



――あらすじ――
「どうして、君は死んだの?」“記憶保持”の能力をもつ浅井ケイ、“リセット”の春埼美空、そして“未来視”の相麻菫。二年前。夏の気配がただよう、中学校の屋上で、相麻は問いかけた。「私たちの中に、アンドロイドがいると仮定しましょう」夏の終わりに向けて、三人は考え続ける。アンドロイドは誰?最も人間からかけ離れているのは、誰―?二年前死んでしまった少女と、すべての始まりを描く、シリーズ第3弾。


――感想――
私が今一番推しているシリーズ、その第3作目。
今までに何度もほのめかされてきた二年前の過去編。
ケイと春埼の出会い、そして相麻菫との出会いが描かれる、すべての始まりとなる物語です。

衝撃の幕引きを飾った前巻からどんな展開へ繋がるのかと期待して本を開いたが、今巻は終始二年前の回想で占められ、本番前の一呼吸という印象だった。確かに前巻から話を繋げるためには相麻菫の存在は不可欠なので、二年前に彼女の身になにが起こったのかの説明は必須だったのだろう。
しかし予想は外れたけれど、期待は外れなかった
毎度毎度、どうしてこんなにも残酷で、醜悪で、悲惨で、そしてどうしようもなく綺麗な物語を極めて純粋に描けるのだろう。書いたそばから訂正するようで悪いが、一呼吸なんでとんでもなかった。
すべては、ここから始まったのだ。

ケイと出会ったころの春埼は今以上に無感情で無表情で、無機物のような少女だった。
相麻に、春埼は同じ形をした二つの白い箱を選ぶような生き方をしていると例えられるように、彼女の意志決定には外部からの影響だけでなく、自分の感情すら介入しない。あまりに純粋すぎるのだ。
そんな春埼は自身に三つのルールを課し、それらを選択の指針としている。
なぜ春埼は自身にルールを課すようになったのか。その背景を知ったときに、胸の内で渦巻いた感情はどうしても言葉にすることができない。人はこんなにも、日常の中で目の前を通りすぎては消えていく当たり前のものに優しくなれるんだと、読んでいるこっちが泣きたくなった。
春埼は言う。
「泣いている人を見つけた時、私はリセットを使います」

悪意や、善意すら抜け落ちた少女。
けれど彼女は、だれかの涙を消すためにリセットを使う、ひたすらに純粋な善人なのだ。

そんな春埼に、ケイは自分の理想とする善人像を見出し興味を持ち始める。
「リセットを手に入れたいから」。春埼に近づく理由を口ではそう言って悪人ぶるが、彼もまた善人なのだ。だれよりも人の悪意に敏感で、自分の中にもそれがあることを知っている。にもかかわらず、ケイは善を愛し続けられる。
羊の皮を被った羊。
中野智樹はケイをそう例えた。善人のふりをする悪人を演じる善人、と。
これ以上にケイの本質を言い表した言葉はないと思う。
咲良田に来たとき、親を切り捨てて流した涙をケイは能力のせいで決して忘れることができない。けれど罪悪感を拭えぬまま、それでも親が子どもを愛すことの正当性を疑わなかった彼こそが、だれよりも強い善人であれるのだろう。

相麻によって巡り会わされた二人は、とある事件へ関わることになる。
春埼が公園で出会った幼い少女、クラカワマリ。
マリとの出会いが、春埼のなにかを変えた。それまでルールの範囲内でしか自己決定を行わなかった彼女は、マリの置かれた境遇と残酷な運命を知っても、自分ではどうすることもできない。
けれどケイと出会って、彼の立ち振る舞いと言葉に揺れ動かされ、ルールの外側にあるかつては自分の中にあったもの、『感情』というものの欠片を取り戻し、そして自分の意志でケイに助けを求めるのだ。その過程が美しく、素敵だった。
マリの抱える秘密を巡って、たった一人の少女の涙を消すためだけにケイや相麻や色々な人のだれもが協力し合って動き出す。そこには失敗や嘘もあった。けれど最後には、最も我儘で、最も美しい力によってすべての悲しみが拭い去られたのだ。
いつも思うが、この収束感は卑怯だ。
涙が止まらなかった。

こうして、ケイと春埼の歪な繋がりが生まれるのである。
お互いの間にあるものが恋心なのかもわからないまま、それでも二人は近くで寄り添い合う。その理由は、だれかの幸せを願うため。たったそれだけなんだ。
「僕たちの能力は、二つ揃えば、涙を消せる。今はまだ、それだけでいいんだ」


主にケイと春埼をメインに物語は進められたけど、でもやっぱり今回は相麻菫の物語だったんだろう。
未来視という能力ですべてを事前に知りながら、たとえそれが望む未来でなくても、たった一人の少年のために自己を犠牲にした少女。飄々とした振る舞いすらも、最善の未来のために本心を隠す行為だったなんて辛すぎる。
未来のなにもかもが見えてしまうというのは、どんな気持ちなんだろう。
最善の未来に自分の望む可能性がないというのは、どんな気持ちなんだろう。
それでも最善の未来を選ばなければならないというのは、どんな気持ちなんだろう。
私にはまったくわからない。けれど。
能力のせいかどこか達観していた彼女も、実は一人の少女であったことを知れたことがどうしようもなく嬉しかった。

結局相麻の死の真実も、その目的もわからないままとなった。
相麻の思惑はどこへ向かうのか。そしてケイと春埼の関係は。
色々なことが気になって仕方がない。最新刊は来月発売である。その前に短編集を挟むことになるが、そちらも楽しみにしつつ、これから始まるであろう新たな局面に期待しておこうと思う。
美しい花には棘があるというが、このシリーズを花とするならその棘には中毒という名の毒が塗られているのだろう。
もうこの美しくも儚く、残酷なほど綺麗な優しさなしでは生きられそうにない。



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Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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