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“文学少女”見習いの、傷心。/野村美月

初めての握手会


先日、友達に国民的アイドルであるAKBの握手会に連れ出されました。

行った身でこんなこと言っても信用されないかもしれませんが、私はAKBにはほとんど興味がありません。好きでも嫌いでもないです。
なのに、なぜそんな私が握手会に行く羽目になったかというと、それには短編が一本書けそうなぐらいのいきさつがあったわけですが。
それはともかく、AKBの握手会を初めて味わってきました。

会場に行ってみて驚いたのですが、集まってる人の年齢層が幅広い。文字どおり老若男女でした。幼稚園ぐらいの子どもからお年寄りまで男女関係なく。子どもは親に連れて来られたとか、お年寄りはお孫さんの付添いとか、可能性は色々考えられますが、もしAKB目当てで来てるのなら、どういうところに惹かれたのかすごく気になりました。

そんなわけでなにもしないのも暇ですし、せっかくなんでメンバーの一人と握手してきました。
ちなみにAKBの握手会はCDに封入されてる握手券がないと参加できないようになっているのですが、私が持っていた握手券は友達がプレゼントしてくれたものです。断固金を払うつもりはないと言い張った私に対し、友達数人がわざわざお金を出し合って購入してくれたのです。余計なことをヤッパリモツベキモノハトモダチダヨネー。

ところで私には握手会のなにが楽しいのか甚だ疑問なのですが、友達曰く、テレビの中の存在であるアイドルにたったCD一枚の値段で会えるだけでなく、触ることができるのがいいんだとか。しかも実物はテレビとは比にならないぐらい可愛いらしいです。
そう言われればわからないでもないですが、ただ私が実物を見た感想は「アンドロイドみたいだ」でした。なんだかすごく人間味が薄いというか、精巧に作られた人型ロボットのようだったのです。
そのことをあとで友達に話すと、どうも私が握手した相手が特別だったそうです。もともと「実物はCGみたい」と言われていた人だったらしく、だったら先に言えよと。私だって男ですから、可愛い女の子を見てときめきたかったのです。
とはいえ、私が握手したメンバーさんもあり得ないぐらい綺麗な顔立ちをしてはいましたが。

グループの中で私だけ変な方向に感動して若干腑に落ちませんでしたが、そんな感じで初めての握手会は終わりを告げました。
けれどまあ、友達とワイワイするのは面白かったですし、友達が握手した他のAKBメンバーの話を聞くのも楽しかったですし、新鮮な経験もたくさんできたので、割かしいい体験になったのかもしれません。友達の言っていたよさもなんとなく理解できました。
なんでもそうですが、自ら体験してみないとそのよさってわからないもんですね。

ただ……二度目はもういいや。






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野村 美月 竹岡 美穂

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「誰も――遠子先輩みたいには、できない」
「できます! ううん、やります、わたしが!」
「できないよ。だって、きみは本を食べたりしないだろう?」



――あらすじ――
「きみが大嫌いだ」心葉にそう告げられてしまった菜乃。その日以来、心葉は本心を見せず、取り繕った笑みで菜乃に接するようになる。そんなのは嫌だ!と、夏休み、菜乃はある行動に出るが…。傷心の夏が過ぎ、秋。文化祭に向け賑わう校内で、菜乃はまた新たな出逢いを体験する。不吉な影を背負った少女。彼女に関わる中で、菜乃は彼女の、そして心葉やななせ、皆が様々に心に抱える闇と光を見つめることになる。もうひとつの“文学少女”の物語、第2弾。


――感想――
文学少女外伝シリーズ2作目です。

うんうん、やっぱり菜乃好きだ。
ドジで思い込み激しくて向う見ずで、そのくせ空回りばっかりするけど、その言動と行動の裏側に真っ直ぐで健気な想いがあって。男の子でも女の子でも、一生懸命な子が主人公だといつも以上に親身になってしまって、主人公が喜べば同じように嬉しくなるし、悲しめば自分のことのように辛くなる。なんだかそういうのって素敵だな。
一途な子って、男女関係なしになんでこんなにも惹かれるんだろう。


“文学少女”見習いの、傷心。

「きみが大嫌いだ」と心葉に告げられ、不穏な空気を漂わせた前巻のラスト。
心葉の真意が気になったけど、この『傷心』を読んでなるほどと思った。
前巻の一件を経て、心葉くんにとって菜乃は特別な存在になってたんだろうなあ。でもそれは認めてしまうことで、遠子先輩への想いで固められた自分が変わってしまうことを恐れて、敢えて突っぱねてしまう。
心葉くんにそうまでさせてしまう遠子先輩の存在が、どれほど偉大だったかよくわかる。

でもだからこそ、遠子先輩のように真っ直ぐな菜乃の気持ちは心葉くんに伝わる。
物語を美味しそうに語れなくても、本を食べることはできなくても、だれかのために一生懸命になれる菜乃の想いは心葉くんに届く。

「愛情は簡単に殺意や憎しみに裏返る」。
ならば逆もまた然り。
逃げ場所でも構わないと言った菜乃の胸に心葉くんが飛び込む。そんな未来があってもいいんじゃないかなって思った。
そして、いつも遠子先輩の影を追って葛藤する心葉くん。それでも菜乃から逃げなかった心葉くんはとても素敵でした。

けれどなによりも嬉しかったのは魚谷さんの再登場だよね? ね?


“文学少女”見習いの、怪物。

そして本編の『怪物』。これがまた『傷心』が活かされててよかった。

三題噺に無理矢理なオチをつけてでも文芸部として文化祭に出たいと懇願する菜乃。一応受験生ということで断る心葉くんだけど、その頑なな態度の裏側には1年前の事件のことが絡んでるんじゃないかと思う。

しかしそんなとき、二年生で合唱部部長の仙道十望子が文芸部部室を訪れ、心葉くんを『とあるネタ』でゆすってあっという間に合唱部が文化祭で披露する予定のコーラス劇に参加させてしまう。
劇の題材は、かの有名なメアリ・シェリーの名著『フランケンシュタイン』。
人望ある部長指導のもと、劇の練習は上手くいくはずだった。けれど、曰くつきの合唱曲を歌い始めてから、次々と起こり始める謎の怪奇現象。そこには、1年前合唱部で起こったある事件が関わっていた。

かつてはお互いを信じ合うほどの仲だったはずなのに、たった一つの行き違いで恨みを持たれてしまう。愛情が憎しみへと裏返る。
そのことがどうしても信じられない菜乃。けれどそんな菜乃に、心葉くんの言葉が重くのしかかる。
「怪物なんて、いない。人が怪物になるんじゃないか」

友達だったはずの人間が、ある日突然怪物と化す。
そんなわけないと、どうしても認められない菜乃は独り事件の真相を解き明かそうと動き出す。
けれど菜乃を待っていたのは、どうしようもなく厳しい真実だった。
自分が望むような綺麗で幸せな物語しか想像できない菜乃。
人の悪意に鈍感で、それ故に自分の信じたものに突き放されたときに人一倍の絶望を味わうことになってしまう。

でもそんなときに、光を当ててくれたのが心葉くんだった。
家の前で待ち伏せしていたシーン。本編を読んでいる人なら、きっと色んな情景が頭の中に浮かび上がってきたと思う。側にいてほしいときにいてくれる嬉しさ。そのことを身を以て知った心葉くんだからこそ、この行いには大きな意味があった。
1年前に自分が受けた恩恵がどれだけ尊いものだったかを、このときの心葉くんは噛み締めていたに違いない。そしてその気持ちを後世に伝えていくことが先輩の役目なんだろう。

たとえ辛い真実だったとしても、きっと光はある。
そのことを心葉くんから受け継いだ菜乃だからこそ、また立ち上がることができた。
かつて文学少女のもとで心葉くんが辿った苦悩の道を、今度は見習いが辿る。自分の望むようにしか物語を見なかった菜乃が、真実を見つめられるように成長していく姿には目頭が熱くなりました。

今回はちょっとミステリ要素が物足りない気がしたけど、最後にとんでもないどんでん返しが待っていて、これはこれで満足でした。
それに今回は、本編で登場した人物たちに救いがもたらされたのが大きかったと思う。
特に琴吹さん。外伝でここまで関わってくるとは思わなかったのだけど、というか「もうやめてあげてー」という気持ちでハラハラしながら読んでいたのだけど、あとがきにもあるように、本編最終巻で止まっていた彼女の時間が動き出したような気がする。
しかし十望子さんや烏丸さんだけでなく、琴吹さんや例の彼に立ち上がるきっかけを与えたのが菜乃だったと考えると、彼女はスローペースでも着実に文学少女に近づいてるんだと思った。

しかしまたラストが不穏なのだが……うん、菜乃頑張れ、ちょー頑張れ!



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Comments

何て言えばいいのかな……。ええと……ご愁傷様です?

私も良く誘われるんですよ、ある固定の友人に。1回行ったことがあるのですが、まず人ごみで酔いました。そんな調子だったので、握手したときのことをあんまり覚えてないんですよね。という理由で、暇ならもう一度行ってみたいとは思うのです。
その代償として、友人には奈々さんライブへ道連れとなってもらいました。お互い様お互い様。


ハッハー。この記事読んで思い出したんですけど、見習いもまだレビューしてないで諏訪。もうこのまま最終巻レビューしようかなとか開き直ってるんですけど。

「傷心」は自分の中では本編キャラの「救済」みたいなものだと位置づけています。ミステリ要素は確かに少なかったですけど、その代わりななせと心葉の方に手を差し伸べているように見えて。
この「傷心」でななせに手を差し伸べてあげられたからこそ、本編最終巻で見せた、未来のななせの姿があるんだなぁと。そういう意味で、つかボンさんの「止まっていた時間が動き出した」の一文がズバッときました。
Posted at 2011.04.20 (14:51) by ask(風邪で絶賛休暇中) (URL) | [編集]
うわあ。それはまた災難でしたねえ。
いや、災難なのかな。
微妙なところですが。
しかし本当に「人形みたいな人」というのはいるんですね。
小説ならありきたりな表現なんですけど、現実にあるとは思いませんでした。
美貌っていいますか、顔の造りからじゃなくてアイドルという職業柄からそうなるんでしょうかね?

「君が嫌いだ」という心葉君の言葉は気になっていました。
文学少女の見習いが、何かしちゃったのかなーと。
しかし、そういう展開なんですね。
君は本を食べたりしないだろう? って言葉にドキッとします。
Posted at 2011.04.20 (15:03) by サクラ (URL) | [編集]
AKBの握手会……。

どこぞの僕の弟と同じ思考回路を持つ方って結構いらっしゃるんですね。

御愁傷様でした。
Posted at 2011.04.20 (22:31) by トナカイ (URL) | [編集]
Re: askさんへ
コメントありがとうございます&お体にはお気をつけて。

友達とすごす時間は楽しかったですし、実質私はお金を払っていないので、ただでアイドルと握手できたと思えば得だったのかもしれません。面倒だっただけで、行くのが嫌だったわけではないですしね。
でも、友達の見立てでは今度の握手会は7月らしいので絶対に行きません。クソ暑いのにあんな人ごみの中には行けませんよ。

最終巻に飛んでいいんじゃないですかね? 私もみーまーは飛びましたし。
そこはまあ、askさんの裁量次第です。

菜乃の成長。十望子さんと烏丸さんの確執。琴吹さんの苦悩。
一冊の本の中にいくつもの物語があったような印象でした。その中でもとりわけ、askさんの言うとおり「救済」の部分が大きかった気がします。
琴吹さんの決意が、ゆくゆくは本編ラストで見えた未来へ繋がると思うと嬉しくなりますね。
Posted at 2011.04.21 (17:34) by つかボン (URL) | [編集]
Re: サクラさんへ
コメントありがとうございます。

いやー、災難というほどではなかったですよ。楽しかったのは本当なので。
休日に興味のないことに出かけたり、並んだりするのがひたすら面倒でしたが。
私も一目見たときは驚きました。小説で表現される「人形みたいな人」というのはこういう人のことを言うんだろうなあって思いました。
これも一種の職業病なのかもしれませんね。アイドルとしての風体、振る舞いを磨いているうちに、極まるところまで極まったのかもしれません。

考えてみれば心葉くんが菜乃を嫌う理由は遠子先輩絡みが一番大きいんですけど、いきなりの「嫌いだ」告白だったので気になっちゃいますよね。
遠子先輩が本を食べる姿をずっと見てきた心葉くんだからこそ、その言葉には言葉以上の意味があるんだとわかってハッとなってしまいます。
Posted at 2011.04.21 (17:49) by つかボン (URL) | [編集]
Re: トナカイさんへ
コメントありがとうございます。

弟さんもAKB好きなんですねw
でも実際に行ってみるといいところも見えてくるもんですよ。まあ、悪いところも見えてくるんですが。
それでも主に友達とすごす時間が楽しかったので、ご愁傷さまというほどではなかったです。
Posted at 2011.04.21 (17:51) by つかボン (URL) | [編集]
私がAKB48を知ったのは、今年のお正月、マジジョテッペンブルースのプロモを何気なく見たときでした。あまりのデカダンな映像に(ナニコレ?クローズ?ゼロ?)と元ネタを想起していると、唐突に―――

「前田軍団対ラッパッパねぇ、狭い階段ぶつかってもらいましょうか」

と「……な、なんだそりゃあ!?」と極まったフレーズ。そして正月明けに周りに「AKBって何か面白いな!」と話したら危ないヒト扱いされ、えらい酷い目に遭いました。ちなみにつかボンさんの握手したヒト、上記の台詞を吐いた子です。と文学少女(→まだ読んでないんですよね)よりもAKBに触れるコメント、失礼致しました。
Posted at 2011.04.21 (17:56) by Medeski (URL) | [編集]
Re: Medeskiさんへ
コメントありがとうございます。

私の周りの友達はAKBファンばっかりで、無駄に知識が流入してきます。興味のない私のほうが、そこら辺のにわかファンよりマニアックな知識があるというのが最近の悩みですw
マジジョテッペンブルースのPVは友達がカラオケで歌ったときに一度だけ見たことがあったのですが、確かに極まっていましたねw
AKBは嫌いではないですし、知識がある分他のアーティストよりは愛着があるほうなのかもしれません。メンバーも可愛いですしね。
しかしあのPVはシュールすぎて、私の中ではネタにしかなりませんでしたw
というか、握手した相手を特定されている!
Posted at 2011.04.22 (12:31) by つかボン (URL) | [編集]
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前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
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