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“文学少女”と恋する挿話集4/野村美月

腫れもの


最近色々なことに集中できません。感想が雑になっているのもそのせい。
というのも、1ヶ月ぐらい前に記事で触れた喉元のできもの、それ自体は結局悪いものではなかったのですが、腫れが引くどころか日を追うごとに大きくなっていて、今は喉を圧迫するぐらいに成長してしまったそれが気になってまともに集中できないのです。
実際に見てもらえれば一目瞭然なのですが、「え、首の右側だけ筋肉つきすぎじゃない?」状態。そのせいで血液の流れが悪くなってるのか、頭も若干痛い。
というか明らかにヤバい気がするので、本当は9月にフォローアップのつもりで再検診の予定を入れていましたが、状況が状況なだけにできるだけ早い日に、具体的には来週に前倒ししてもらいました。
以前病院に行ったときは、「悪いものじゃないから様子見しておくけど、邪魔で取り除きたいなら手術で摘出だから」と言われましたが、さてさて。


<拍手コメ返信>
ありがとう――。
『すべての訪問者に、ありがとう』






“文学少女”と恋する挿話集4 (ファミ通文庫)“文学少女”と恋する挿話集4 (ファミ通文庫)
野村 美月 竹岡 美穂

エンターブレイン 2010-12-25
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「ね、心葉くんは、きっと恋をするわ。そうしたらもう、恋がくだらないなんて、言えなくなっちゃうわよ」



――あらすじ――
「心葉先輩、大発見ですー!」文芸部に飛び込んできた菜乃の“発見”とは?『“文学少女”見習いの、発見。』、部屋にいつの間にか置かれていた薔薇の模様の指輪。これは誰かから遠子へのプロポーズ!?謎を探る遠子とそれに振り回される心葉だったが…『“文学少女”と騒がしい恋人たち』ほか、甘くほろ苦いエピソードが満載!美羽、ななせ、遠子の“その後”を描いた書き下ろしも収録の、物語を食べちゃうくらい愛する“文学少女”の恋する挿話集第4弾。


――感想――
短編集もいよいよラスト。
本編を補完する形で続刊されてきたこの短編集は、なによりも野村先生の愛情が感じられるシリーズでした。その証拠に、短編集のあとがきで野村先生は何度も「○○のこんな物語が書いてみたいとずっと思っていました」と語っています。
その愛情は私たち読者にもしっかりと伝わっています。
そして、野村先生に負けないぐらいの愛情を注ぎながら私たちはこの短編集を読み続けてきたのです。きっと魚谷さんのように、野村先生の愛情が伝染したのでしょう。

そんな夢見がちな気分にさせてくれる最後の短編集は、前半は遠子先輩と心葉くんのお話がメインに描かれ、後半は遠子先輩、琴吹さん、美羽といった主要ヒロインたちのそれぞれの未来を暗示するようなお話と、井上舞花や姫倉蛍といった本編にはほとんど関わってこなかった人物たちのお話で彩られている。
どれもビターチョコレートのように甘くてほろ苦い物語ばかりで、頬がとろけてしまいそうなほど表情を柔らかくして読むことができた。

『恋する挿話集』の名のごとく、みんな、恋をしていた。
このシリーズの人物がだれもかれも魅力的に映るのって、きっとみんなが上辺だけでない本心からの恋をしているからなんじゃないかな。
だれかのための想いと言葉を持った人たち。そういう人たちのもとだからこそ、こんな素敵な物語は生まれるべくして生まれるんじゃないだろうか。

そろそろ各話ごとに紹介していこうと思うのだけど、その前に。一応確認しておかないと勘違いしてしまう人がいるかもしれないから。
今まで私が書いた文学少女の短編集の感想は、実際に収録されている話をすべて紹介しているわけではありません。たとえば今回だと、『“文学少女”今日のおやつ』や『アトリエの内緒話』という話が収録されていますが、そういった掌編は極力感想を省かせてもらっています。主に、私の気力的な理由で。
文学少女の短編集はボリューム満点で読者としては大変嬉しいのですが、感想書きにとってはちょっと苦行なんですよね。
情けない話ですが、そういう理由で省かせてもらっています。今更ですが、あらかじめご了承を。


“文学少女”見習いの、発見。

短編集では初の菜乃登場。
実はこの話だけWEBで掲載されたときに読んでいました。
『銀河鉄道の夜』を読んだ菜乃が、ジョバンニとカムパネルラの関係性にまつわる発見を心葉くんに披露するというお話。
1度目の披露はてんで的外れで心葉くんを呆れさせるだけだったけど、そのあとにカムパネルラに気持ちになって彼らの関係性を今一度想像し直したところに、菜乃の成長過程が見られた。
2度目の菜乃の披露を聴いたとき、心葉くんは優しい眼差しとなり、思わず菜乃の頭を撫でてしまう。彼が胸の内で想い描いた人は誰だったのか。
そのことを考えると、こちらまで優しい眼差しとなってしまった。


“文学少女”と物思うふ公達

時期的には心葉くんが1年生のころの文化祭のお話。
遠子先輩から、去年の卒業生に『藤の君』と呼ばれていた女の子にも大人気の先輩がいて、その人が遠子先輩の憧れの先輩だったと聞いて、心葉くんが嫉妬しちゃうというお話。
見習いシリーズの落ち着いた心葉くんも好きだけど、やっぱりこのころのまだまだ未熟な心葉くんもいいなー。
不貞腐れて自教室に戻った心葉くんはクラスの出し物である手相占いに参加させられることになる。そこでは琴吹さんの可愛いらしい一面が見えたり、追いかけてきた遠子先輩とお互いの手相を侮蔑し合ったり。心葉くんに結婚線が4本あるってところについついニヤニヤしてしまった。うん、数えてみたら確かに4人だ。
でもそのあとの遠子先輩の占いシーンはとても印象的だった。

オチはなんとなく予想できたけど、色々と満足できるお話でした。


“文学少女”と幸福な子供

こちらも心葉くんと遠子先輩のお話。
高校1年の冬の始まり、いつもと変わらない朝だったはずなのに、登校中の道でたまたま見つけてしまった鳥の死骸に、心葉くんは美羽の姿を重ねてしまう。
まだ傷が癒えていないこのころの心葉くんにとって、それはさらに傷を抉るようなもの。自分を情けなく思いながらも、どうしようもない恐怖に駆られた心葉くんは学校に行けなくなってしまう。
そんな日が数日続き、心身ともに参ってしまった心葉くん。
そんなときでも、彼の支えとなってくれたのは遠子先輩だった。側にいてほしいときに側にいてくれる。それこそが他のヒロインにはない、遠子先輩の最大の魅力だと私は思う。
アンデルセンの『最後の真珠』で、幸福な家庭に生まれた男の子に唯一足りなかったもの。その意味を心葉くんが知るのは、もう少し先のことだ。


“文学少女”と騒がしい恋人たち

これは面白かった。
ある日文芸部室に置かれていた指輪を見て、遠子先輩はそれが心葉くんの忘れものではないかと勘繰ったり、かと思いきや、遠子先輩が毛嫌いする速水生徒会長が、遠子先輩に宛てたものではないかとという疑惑が浮かび上がったり、さらには速水会長を影から熱い眼差しで見つめる女子生徒まで現れたりと、タイトルどおり終始騒がしいお話となっている。
そんな状況を遠子先輩が放っておくわけはなく、速水会長とその女子生徒をお茶会にお招きするが……?

オチは相変わらずなのだけど、遠子先輩の想像が的を外れるのって意外と珍しいのでは? なんて思った。
しかし遠子先輩が心葉くんを異性として意識し始めたのって、このときのことが原因だったんだ。


不機嫌な私と檸檬の君

今回の中で一番印象的で、好きなお話。主役は中学二年生になった心葉くんの妹、井上舞花ちゃん。
クラスメイトの女の子たちと好きな人の話をしていて、質問を振られた舞花はつい「お兄ちゃん」と言いそうになり、咄嗟に「大西」と言ってしまう。
大西くんはクラスで孤立したどこか陰気な少年だった。舞花は当然、大西くんのことなんてなんとも思っていない。舞花の好きな人は、小さいころから兄である心葉くんだったのだから。
けれど、このことが原因で大西くんのことを次第に意識するようになった舞花は、大西くんの知らなかった一面を知っていくようになる。
多感な女子中学生の初々しい内面がとても甘酸っぱい。相手を気にかける気持ちはまるで初恋のようで、でもそれを認めたくなくて。
もっと素直になれていれば恋が生まれたかもしれないのに。
檸檬のように酸味が効いた切なさが胸の中でちょっとだけ疼いた。

でもきっと、こういう体験こそが思春期には大事なんだと思う。
『私』が檸檬を手に取ったとき鬱屈が晴れたように、辛さや悲しみをすーっと拭い去ってくれるものがこの世にあるんだということを知るために。


≪それぞれの想い≫

ここからは掌編が続きます。
収録されている内容は、
『美羽~戸惑いながら一歩ずつ』
『ななせ~天使へのコール』
『蛍~嵐のあとの陽の中で』


個人的には美羽の可愛さが堪りませんでした。
芥川くんのことをなんとも思ってないと言い聞かせながらも、会うときにはミニスカートを履いたりして。でもそのことになにも触れてもらえなかったら不機嫌になってしまって、つい心葉くんと比べるような言動を口にしてしまう。
心葉くんのように振り回せない芥川くんに苛立ちを覚えながら、そんなことで機嫌を悪くしてしまう自分に嫌気を覚えながら。
けれどそれって、美羽が芥川くんのことを特別に思ってる証拠だよね。
でも、芥川くんのほうもちゃんと美羽ことを意識していたのだ。最後に見せられた芥川くんの意外な一面に動揺してしまう自分の気持ちに戸惑いながらも、美羽は一歩ずつ芥川くんに寄り添っていくのだった。

琴吹さんと姫倉蛍のお話も、明るい未来を予兆させる素敵なものでした。
二人にはまだまだ乗り越えるべきしがらみが残っているけど、きっといつか幸せを掴み取れる。


≪“文学少女”の気持ち≫

3つの掌編で描かれる“文学少女”の気持ち。
 わたしが、どれほどあなたに恋していたか。

本の冒頭で語られたこの言葉。その意味するところは、きっとこのお話の中にあったんだと思う。遠子先輩がどれだけ心葉くんに恋していたか、3つの掌編がそのすべてを物語っている。
なんて愛々しくて、美しいのだろう!
タゴールの『百年後』のように、いつまでも歌うように語り継がれてほしい。
そんな、恋するお話だった。



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つかボン

Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
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