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半熟作家と“文学少女”な編集者/野村美月

ナナマル サンバツ


ナナマル サンバツ (1) (角川コミックス・エース 245-4)ナナマル サンバツ (1) (角川コミックス・エース 245-4)
杉基 イクラ

角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-05-02
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前置きで書くネタがないんで漫画の簡単な感想など。
漫画メインで感想書くのは難しいんですけど、これぐらいならなんとかなりそうです。

『ナナマル サンバツ』は『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』や『サマーウォーズ』のコミカライズで有名な杉基イクラ先生の新シリーズ。早押し式のクイズを題材にした青春スポ根(?)ラブコメ的な作品です。
クイズをテーマにしたところ以外はベタベタなのだけど、私はこの安定感が好き。
ヒロインは、可愛くても頭の中はクイズのことでいっぱいな、今流行りの残念系美少女。自分の美貌が周囲からどう見られてるのかも知らずに、勘違いされるような言動や行動を取っちゃうところがグッとくるね。

早押しクイズの掘り下げ方は本格的なので、『高校生クイズ』が好きな人や、普段知り得ない世界に触れたい人には楽しめる気がする。
これからも期待のシリーズです。






半熟作家と“文学少女”な編集者 (ファミ通文庫)半熟作家と“文学少女”な編集者 (ファミ通文庫)
野村 美月 竹岡 美穂

エンターブレイン 2011-04-30
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 ありがとう。
 オレの本読んでくれて、そんなに嬉しそうに笑ってくれてありがとう。



――あらすじ――
新しい担当編集の天野遠子嬢は、清楚な美人だった。――が、いきなり本棚の前でグルメ批評を始めるわ、ほんわかにこにこと容赦なく原稿を修正してくるわ、売れっ子高校生作家たるオレが、どうしてこうも振り回される!? そんな時届いた脅迫状じみたファンレター。そこにはまだ刊行される前の小説の内容が書かれて……って差出人は、まさか!? 高校生作家雀宮快斗とその担当編集者遠子が織りなす、物語や文学を食べちゃうくらい愛する”文学少女”の、最後の物語。


――感想――
ついに“文学少女”シリーズ最終巻。と同時に、私がこのシリーズの感想を書くのもこれがラストです。
“文学少女”シリーズは私が本格的にラノベを読み始めて間もないころに出会った作品で、ラノベに対する価値観を根底から覆してくれた貴重な作品でもありました。
思い入れが深いだけに終わってしまうの堪らなく悲しく、寂しい。
最後にこの感想を、お別れのハナムケとさせてもらいます。

華やかなラストを飾ってくれる主人公は心葉くんでも遠子先輩でもなく、新キャラの雀宮快斗という名の高校生作家。
『第二の井上ミウ』と仄めかされる高校生作家の視点から、“文学少女”シリーズのその後の世界が描かれる。

長編かと思いきや、快斗くんとその担当編集となった遠子先輩の二人がメインに描かれた4つの短編からなる短編集だった。4つの短編が繋がって、1つのお話を作り上げるような形になっている。
人間の本能的な愛憎を活写したお馴染みのシリアスストーリーではなく、終始明るめな雰囲気。
明るい雰囲気の中で、一人の作家の挫折と成長の姿が、このシリーズらしい優しさに満ちた物語とともに描かれている。


半熟作家と“文学少女”な編集者

「“文学少女”みたいでしょう」

物語は快斗くんが小学生のころの回想から始まります。
この回想は毎話冒頭で語られるのだけど、回想の中で快斗くんは図書館にいて、側にはいつも一人の女性がいる。
その女性の正体がわかるのは、まだ先の話。

題材は『伊勢物語』。
井上ミウと同じ中学生デビューを果たし、超人的な速筆と話題性の高さからデビュー後に出した作品が尽くベストセラーとなり、ルックスの良さから雑誌モデルまでこなす売れっ子作家の雀宮快斗。
けれどナルシーで俺様でプライドの高い快斗くんは、担当編集と衝突しては縁を切られることもしばしば。ネット上の自分の悪評を見ては、パソコンを壊そうとして新しい担当編集の遠子先輩に宥められる日々。
遠子先輩の立場が高校生のころとは真逆になってるのがすごく新鮮だった。

そんなある日、快斗くんのもとに一通の手紙が届く。
そこには、来月発売の雑誌に掲載する予定の彼の人気シリーズ『ハードボイルド高校生・業平涼人』の内容が書かれていた。
手紙の差出人は、物語の主人公であるナリヒラが、ヒロインの一人である清花と距離を置こうとすることが許せないと言い、書き直しを要求してくる。
まだ発売されてないはずの小説の内容をなぜ知っているのか。
快斗くんは、手紙の差出人が遠子先輩ではないかと疑い始めるのだが……?

事件の始まり自体は非常にワクワクする出だしだったのだけど、真相は呆気なく明かされちゃいます。
けれどその後の快斗くんと遠子先輩のやり取りがよかった。
快斗くん宛てに届いたファンレターを温かな声で読み上げる遠子先輩の姿が、次第に思い出の中の彼女と重なっていき、
 ――“文学少女”みたいでしょう?

思い出の中の彼女の言葉ともに、封印したはずの過去が呼び起こされていく。

それは、快斗くんの初恋だった。


半熟作家とスキャンダラスな淑女

「好きって気持ちは、とっても甘くて酸っぱいの。それで胸がきゅっとして、切なくなっちゃうんだよ」


題材はマーガレット・ミッチェルの『風と共に去りぬ』。
薫風社のパーティーで出会った女子大生作家の早川緋砂と、遠子先輩を巡って口論になったり、その様子を熱愛と勘違いされてスクープ扱いされたり、さらには遠子先輩にまで勘違いされたりと、災難が続く快斗くん。
思い出の彼女と重ねてしまって以来、遠子先輩のことを異性として意識してしまい、いい格好をしようとする快斗くんはまだまだ少年らしさが抜け切らなくて面白い。遠子先輩が素敵すぎるのも問題だねー。

そんなとき、遠子先輩に相応しい作家の座を賭けて、薫風社のWEBで行われる短編小説の競作企画で早川緋砂と競い合うことになった快斗くん。
遠子先輩のためとあって張り切る快斗くんは、初めて読者の目線を意識した物語を書こうとするのだった。

結局、結果は悲惨なものだったのだけど、今まで自分の書きたいようにしか書いてこなかった快斗くんにとって、初めて読者のことを考えたというのは大事な成長の証だった。
そして早川緋砂にとっても、今回の出来事は大きな前進となった。
書きたくもない話を書かされ、やりたくもない水着モデルをやらされ。
作家にとって、不本意な形で評価されるのはやっぱり悔しいんだろうなあ。
でも、彼女はきっと、遠子先輩が照らしてくれた未来への道を辿ることで、素晴らしい作家になるに違いない。


半熟作家と空騒ぎの学友達

「えへへっ、だぁぁぁいすきな人なの」


題材はシャイクスピアの『ハムレット』。
2話で遠子先輩の知りたくなかった事実を知った快斗くんは、半ば自暴自棄になっていた。
しかも仕事の打ち合わせに珍しく遅れてきた遠子先輩は、右側だけ三つ編みという奇妙な出で立ちで、実は前の日にある人の家に泊まっていて、それはその人の悪戯だと知ってからは乱れに乱れる。
というか何気ないシーンだけど、シリーズファンにとってはニヤニヤしてしまうファンサービスだよね!

しかし高校生作家の快斗くんは、身分の名のごとく高校生なので、学校に行かないと留年してしまうという事実が発覚してしまう。嫌々ながらも自らが籍を置く男子校に赴いた快斗くんは、そこで色々な人物と出会う。
クラス委員長の寒河江。
軽薄でちゃらい仁木。
子犬のように人懐っこい鳴見。
そして鳴見とともに、近々開催が予定されている他校との合同球技大会に、卓球のダブルスとして参加することになった快斗くん。
けれど卓球の練習を開始した快斗くんの身の回りでは、陰湿なイジメが起き始める。それは快斗くんにとって辛い過去を思い出させるものだった。

そういえば、寒河江、仁木、鳴見の三人が描かれた口絵なんだけど、「仁木」と「鳴見」の文字が入れ替わってるよね。お茶目さんなんだからー。

事件を解決するために遠子先輩も動き出すのはいいんだけど、その年になって制服が似合うってどういうことなんだよ。挿絵にまったく違和感がないって、どういうことなんだよ!
なにはともあれ、クラスメイトとの確執を乗り越えた快斗くん。
恥も外聞もなく、汗臭くてもクラスメイトのために頑張って得た気持ちが、いつか彼の書く糧になればいいな。


半熟作家とページを捲る“文学少女”

「わたしも大好きだよ。本を読むと、いろんな気持ちになれたり、いろんな場所で、いろんな冒険ができるから。本の中にはね、なんんんっでもあるんだよ」


題材は川端康成の『伊豆の踊子』。
いよいよ物語も終盤。
遠子先輩から驚きの報告を聞かされた快斗くんは、ショックのあまり伊豆の温泉宿まで逃げ出してしまう。
けれど追いかけてきた遠子先輩に捕まり、そのまま宿で原稿を書かされることに。
天然な遠子先輩には傷心した快斗くんの気持ちは伝わらず、痺れを切らした快斗くんは強行作戦に打って出る。けれどもこれもまた見事にかわされてしまうのであった。
ほぼ直球ど真ん中の物言いだったのに、遠子先輩天然すぎ!

でも、自分を追いかけてきてくれたことが嬉しくて、ただ側で笑ってくれていることが嬉しくて、快斗くんの胸から少しずつ暗い感情が抜け落ちていく。
三つ編みをさせてとお願いしたのは、ひょっとしたら快斗くんなりのせめてもの抵抗だったのかもしれない。
でもそのことをけじめとして、彼は再び原稿と向き合うようになる。
クラスの連中となにか一つのことを必死にやり遂げたときの興奮と感動。
恋する気持ちと、それが叶わなかったときの切なさ。
“文学少女”な編集者が教えてくれたすべてのことを書く力に変えて、物語を綴っていく。

伊豆からの帰り道、電車の中で自分の本を読んで笑ってくれる少女の姿を見て、涙を流した快斗くん。
一人の作家の成長した姿が、そこにはあった。

思えば、新主人公によるまったく新しい物語だったはずなのに、今回は最終巻だけに今までの集大成という印象が強かった気がする。
影から仄めかされる作家としての心葉くんの成長と活躍。
半熟作家だった快斗くんに導きを与えた編集者としての遠子先輩。
かつての遠子先輩が心葉くんにしたように、快斗くんに物語を書くきっかけを与えた思い出の中の彼女。
みんな、だれかの想いに応えながら自分の人生を真っ直ぐに生きている。

そして快斗くん。
彼が再び訪れた思い出の図書館で出会ったもの。
涙が止まらなかった。まさかこんな素敵なサプライズがあるとは思ってなかったからっ。
きっと彼は、これから素晴らしい作家になる。色んなことを経験して、色んな辛さや悲しみを知って挫折することがあっても、彼なら真っ直ぐに生きていける。“文学少女”とかけがえのない時間をすごした彼なら。
ああ、なんて透明なんだろう。

親愛なる“文学少女”よ、永遠に。



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Comments

まだ買ってはないんですが、手に取ったときは「おおおおっ!」ってなっちゃいましたね。
遠子先輩の大人姿を見て、表紙買いしかけたくらいです。
しかも結構新しい形ですよね。
たった一冊なのに、集大成みたいな。

これは短編集と『見習い』を読まずに、一冊だけ読んでも支障はありませんか?
今積んでいるのを読んだら読もうと思いますので。
Posted at 2011.05.07 (21:33) by サクラ (URL) | [編集]
つかボンさん、こんばんは。
文学少女終わってしまいましたね~
大好きなシリーズだったので少しさみしいです。
今回は、終始明るい感じの話で最終回っぽかったですね。
快斗君も結構残念な感じでしたしwもちろん、いい意味でw
来月から野村先生の新シリーズが始まるので、そちらも楽しみです。
Posted at 2011.05.07 (23:47) by じたま (URL) | [編集]
Re: サクラさんへ
コメントありがとうございます。

大人の遠子先輩素敵ですよね!
三つ編みでない絵は今までに何度かありましたが、三つ編み以外の結わえ方をした髪型というのはなかったような気がしたので。
物語の主人公はあくまでも快斗くんなんですが、脇で心葉くんや遠子先輩の成長をちゃんと描けてるんです。子心葉くんに至っては名前すら出てこないんですけどねw

大きな支障にはならないと思いますが、個人的に『見習い』は読んでもらっていたほうが感動できるシーンがあると思います。
短編集は読んでなくても問題ないですね。
Posted at 2011.05.08 (01:24) by つかボン (URL) | [編集]
Re: じたまさんへ
コメントありがとうございます。

終わっちゃいましたねー。私も大好きなシリーズだったので、これで金輪際読めなくなるんだと思うと本当に辛くて。あまりに辛すぎて最後だと認めるのを体が拒否してしまうぐらいです。
てっきりいつものようなシリアスな物語になるんだと思ってたら、明るめでしたね。
快斗くんは今までのシリーズにはいなかった新しいキャラで、残念な人格に始まり残念な目にもたくさん遭って、お調子者という印象が強かったです。もちろんいい意味で、ですけどねーw
最後には彼もまた誠実な作家として成長できたのでよかったです。
新シリーズは文学少女に似た雰囲気の学園ミステリになりそうなのでとても期待しています。
その前に源氏物語を読もうかなと思ったり思わなかったりw
Posted at 2011.05.08 (01:35) by つかボン (URL) | [編集]
ナナマルサンバツ、買いましたよ。
クイズですか・・・なかなか未開拓の領域で期待してます。
今年は「高校生クイズ」とコラボレーションとかしないんでしょうか。テーマ曲水樹さんだし。
ちなみにnaomatrixはクイズには強いですよ(自称)

ついに終わってしまいましたね。文学少女。
最近、こう言うことが多くてちょっぴりナーバスですが・・・・
積読中なので早くたどり着きたいものです。
野村先生の新作『“葵”ヒカルが地球にいたころ・・・・』も気になりますね!!
Posted at 2011.05.08 (23:19) by naomatrix (URL) | [編集]
Re: naomatrixさんへ
コメントありがとうございます。

今までに読んだことない漫画作品でした。
漫画の中でも中堅的な面白さあるので、これからにも期待できます。
コラボはいずれありそうですけどねー。もう少し人気が出てからでしょうか。
クイズが強いというのは、早押しクイズがですか? それとも知識が豊富ということ?
どちらにせよなんだか只ならぬオーラが感じられますw

シリーズ完結が相次いでましたもんね。私もナーバスかもしれません。
での野村先生の本はこれからも出続けますので、まずは今月発売の新作を心待ちにしていようと思います。
Posted at 2011.05.09 (17:24) by つかボン (URL) | [編集]
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つかボン

Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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