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エレGY/泉和良

つかボンさんのなんちゅーかもやーっと


今日見たとあるサイトについて。
被災した地域の避難所や個人が、個々に必要な物資を『支援物資』として記載し、ネットを介して第三者から支援してもらうというサイトを見たのですが、そこであり得ない光景を目にしたのでなんちゅーかもやーっとしております。
URLを晒すのはさすがに不謹慎なので控えておきますが、個人にもかかわらず避難生活に絶対必要ないはずの生活用品やら家電製品やら(除湿機、空気清浄機、デジタルオーディオプレイヤー、DVDプレーヤーなど)をこれでもかというぐらい大量に書き連ねてる人がいたんで、さすがにそれはあり得ないだろうと。
サイト自体は良心的なもので、特に問題があるようには見えなかったのですが、サイトを利用する人たちが、いくら被災された方だとしてもこれ見よがしに図々しくなるのはどうなんでしょう。
実際どんな目的があって書き込んだのかはわかりませんが。
それでも、

なんちゅーかもやーっとです。






エレGY (星海社文庫)エレGY (星海社文庫)
泉 和良 huke

講談社 2011-04-08
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「はは、しょうがないな。人と違う生き方は苦しい事ばっかりだぞ?」先生の言葉は重い説得力を伴っていた。
「……でも、誰もしないような生き方をせんと、特別な存在にはなれない、ってな。……がんばれよ」



――あらすじ――
「君のパンツ姿の写真、求む!」失恋したばかりのしがないフリーウェアゲーム作家が「僕」がネットの海で出会ってしまった魅力的で壊れかけの女子高生、「エレGY」。彼女には誰にも触れられぬ“秘密”があった…。破天荒に加速する“運命の恋”を天性のリズム感で瑞々しく描ききった泉和良の記念碑的デビュー作。


――感想――
初めて星海社文庫の感想を書きます。
Fate/Zeroも積まれてるんだけど、アニメのほうがまだ見れてないんだ。

それはともかく。
あらすじとhukeさんの表紙に惹かれ読んでみた、泉和良さんのデビュー作『エレGY』。これは面白い。作者のパワフルさがひしひしと伝わってくる良出来な青春小説だった。

安っぽいプライド掲げて定職に就くことを拒み、フリーウェアゲームで生計を立てながらも、その実ジリ貧生活を送るジスカルドこと泉和良の姿が情けなくて痛々しい。でも、どうしても憎めなくて見捨てられないんだよなあ。
それはたぶん、だれもがジスカルドと同じような経験をしたことがあるからだと思う。初めのころは野望と希望に満ち溢れていたのに、いつしか目指していたものと違う方向に向かっていた、なんてことを。親近感に似た感情を抱いてしまうんだよね。

生きるために自分の作りたいと思うものが作れないのは、なんとも悲しい。けれど我が道を貫けば生活が困窮してしまう。トレードオフ的な残酷さの中で生きることしか選べないのは、それが現実だと言われてもやっぱり切ない。

若かりしころに見ていた夢はいつの間にか大衆指向に埋もれてしまって、ジスカルドという幻想で飾られた『魔法』に頼るだけの日々。
だからこそエレGYに対してあと一歩が踏み込めない。想いはいつの間にか抑えられないほど膨らんでいて、今にも破裂しそうなのに、ギリギリのラインでジスカルドは右往左往する。それは、近づきすぎれば『魔法』が解けて、本当の自分が暴かれることを知っているから。
今までに何人ものファンが、描いていた理想と現実とのギャップに幻滅して目の前から去っていた。その過去を繰り返したくないからこそ、エレGYに冷たい態度をとってしまう。本当に大切だから突き放さないといけないなんて、やるせない。

好きで好きで堪らないのに、傷つけ合うことを恐れて手が伸ばせない。もどかしくてもどかしくて……。でもそのもどかしさがあったから、本音をぶつけ合ったときのエレGYの言葉と、ラストシーンに深く感動することができた。
ファンはときに恐怖の対象となり得る。でもファンの応援が大きな力となることだって絶対にあるんだ。泉和良とジスカルドという二人の自分を理解していてくれたエレGYの応援が、きっとなによりも彼の救いとなったのだろう。

残念だったのは、エレGYの人物の掘り下げが浅かったことかな。本編で語られたいきさつだけでは、彼女の壊れかけた人格やリストカットの理由に整合性が得られなかった。もう少し彼女の過去にも触れて欲しかったなあ。

でも、読んだあとはとても清々しい気分になれる。始めはラノベを凌駕する文章量の少なさに驚いたけど、それが絶妙な雰囲気と疾走感を生んでくれた。物語は至って現実的で、自分たちの知らないどこかで起こっているかもしれない小規模なものだったけれど、登場人物はみんなダイナミック。ダイナミックに恋していた。
読み終わって改めて帯を見て思った。
応援したくなった恋はどっち?

どっちもだ。


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金の瞳と鉄の剣 (星海社FICTIONS)
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エレGY (星海社文庫)(2011/04/08)泉 和良、huke 他商品詳細を見る 初、星海社文庫。星海社とは講談社内から生まれたベンチャー出版社。 今の所、講談社BOXで刊行された作品の文庫化作品が主な内容。 この作品も以前、講談社BOXで刊行された物の文庫化。 乙一氏?...
Posted at 2011.05.17 (23:24) by 読書感想未満、駄文以上。

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Comments

ああああああ~~~。
先に読まれた・・・(笑)

私も次回レビューですが、つかボンさんの感想読んだら期待してもよさそうですね!!
しかしラノベにひもの栞がつく時代になったのですね・・・・。なんだか時間が経過したということが意識されて、夕日に向かって走りたくなります(笑)
Posted at 2011.05.16 (23:57) by naomatrix (URL) | [編集]
Re: naomatrixさんへ
コメントありがとうございます。

最近、読んでから記事にするスパンが遅れてるので、実際は先週ぐらいに読んでたんですけどねw
とにかく文章量が少ないのであっという間に読み終わってしまいました。

星海社の紐や天を私は非常に気に入ってます。一般文芸とラノベの中間層を目指してる感じが好きなんです。
しかし実際のところ、星海社ってラノベなんですかね? 講談社は一応『ラノベ文庫』という新レーベルを発足させていますし、刊行している作品もほとんどが講談社BOXの文庫版ですから、微妙な位置なんじゃないかと思います。まあ、内容はラノベ寄りですけどね。
Posted at 2011.05.17 (21:19) by つかボン (URL) | [編集]
人間、ここぞというときには付け上がりますからね。
支援する側も、それを自覚して支援しなきゃいけないんだと思いますよ。

これが星海社から出たときには驚きましたよ。
出たときは知名度が低かったのですが――やはり面白かったですか。
思ったより、温かみと言いますか、人間性を描いた作品のようですね。
図書館で借りたときに読んでおけばと悔やまれます。
Posted at 2011.05.18 (11:52) by サクラ (URL) | [編集]
Re: サクラさんへ
コメントありがとうございます。

被害者が必ずしも善というわけではないことのいい例だと思いました。
手放しで支援するのではなく、一度支援する意味を考えてみないと駄目なんですね。

確かに数多くの作品の中から、この作品が文庫化に選ばれた理由は気になりますね。
しかし面白かったので、これを機にさらに知名度が上がってくれると嬉しいです。
驚くぐらいあっさり読めてしまうので、機会があればもう一度手に取ってみてください。
Posted at 2011.05.19 (03:37) by つかボン (URL) | [編集]
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つかボン

Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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