スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

こうして彼は屋上を燃やすことにした/カミツキレイニー

百歳詩人


昨日の大学の講義で観た、NHKのドキュメンタリー番組を録画したビデオ。その中で、心の底から尊敬できる人に出会えました。それは、詩人のまど・みちおさんです。
まどさんといえば、名前と、あと童謡の『ぞうさん』や『やぎさんゆうびん』を作詞した人ということぐらいしか知らなかったのですが、彼の生き方は私の理想像そのものなんです。
見たものすべてに不思議を感じて、詩という形で言葉にする。
不思議を不思議のままにせず、だれかから教わったことも鵜呑みにせず、原理を突き止め自分なりに解釈をして、私の場合はそれを小説という形で言葉にしたい。そんな生き方に憧れるのです。
でもそれって、目指してできる生き方ではなくて、生まれ持った特性のようなものなんだと思います。私は常々、今までの自分の生き方を後悔してきましたが、昨日ほど生まれたときからやり直したいと思ったことはありませんでした。

今日書店に立ち寄ったときに、まどさんが百歳になってから出版した『百歳日記』という、詩集とエッセイを合わせたような本をちらりと立ち読みしてみました。
これですね↓
百歳日記 (生活人新書 332)百歳日記 (生活人新書 332)
まど・みちお

日本放送出版協会 2010-11-06
売り上げランキング : 13989

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


昨日ビデオを見てたときもそうですが、読んでいると熱いものが胸の中から込み上げてきて、油断したらその場で泣いてしまいそうでした。


一粒の砂に世界を見、一輪の野の花に天国を見る
 手のひらに無限をつかみ、一瞬のうちに永遠をとらえる


イギリスの画家であり詩人であり銅版画職人でもあった、ウィリアム・ブレイクの言葉です。
私もまだ遅くはないはず。この言葉を体現するような人間になりたいものです。






こうして彼は屋上を燃やすことにした (ガガガ文庫)こうして彼は屋上を燃やすことにした (ガガガ文庫)
カミツキレイニー 文倉 十

小学館 2011-05-18
売り上げランキング : 772

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



「――どうせ死ぬんならさ。僕たち何でもできると思いません? 例えば、あなたをそんなとこに追い込んだ奴を殺す、とかさ」
 殺す。背筋の凍るような物騒な言葉を、簡単に言ってのける。
「僕らももうすぐ自殺するんです。もちろん、復讐してからだけどね」



――あらすじ――
彼氏にフラれた私・三浦加奈は、死のうと決意して屋上へ向かう。けれどそこで「カカシ」と名乗る不思議な少女、毒舌の「ブリキ」、ニコニコ顔の「ライオン」と出会う。ライオンは言う。「どうせ死ぬなら、復讐してからにしませんか?」そうして私は「ドロシー」になった。西の悪い魔女を殺すことと引き替えに、願いを叶える『オズの魔法使い』のキャラクターに。広い空の下、屋上にしか居場所のない私たちは、自分に欠けているものを手に入れる。第5回小学館ライトノベル大賞・ガガガ大賞受賞作。心に残る、青春ジュブナイル。


――感想――
期待していた第5回小学館ライトノベル大賞『ガガガ大賞』受賞作。
購入してから早速読んでみました。

うーん、前評判の高さがネックだったかなー。自分で自分の期待心を煽ってた部分もあるんだけどさ。
当初タイトルやあらすじから予想していた内容とは随分外れていて、むしろどストレートな青春小説。
『オズの魔法使い』にちなんで、それぞれ『ドロシー』『ライオン』『カカシ』『ブリキ』と呼び合う少年少女が、陰鬱な過去をきっかけに自分から欠けてしまったものを、もがいたり、背中を押したり押されたりしながら取り戻してく真っ当なジュヴナイル。
個人的には、あらすじから滲み出ていたオーラからもっと違う方向性のジュブナイルを期待していたんだけどねー。

多くの人が大方の話の筋は知っているだろうけど、私はとある事情で『オズの魔法使い』は結構詳しくて、だから余計に楽しみではあった。けれど、配役と物語の設定や流れを当て嵌められてるぐらいで、どこか物足りなさを感じた。青春小説としてのお約束要素はしっかり練り込まれていたけど、+αがなかったのが非常に残念。大事なのは、お約束を守ったその先だと思うんだけどな。
ラノベの本歌取り作品といえば文学少女という名作があるわけで、実際、章の冒頭で原作の一部を抜粋するという文学少女を連想させるような手法が採られていた。文学少女と比べてしまうとどうしても霞むよね。

でも、決して面白くないわけではなく受賞に相応しい出来栄えだったと思う。物語の雰囲気はすごく好みなんだよ。
自殺を決意するほど追い詰められた人にとっては、事情を知りたがられるのはやっぱり煩わしいわけで、無関係だと強調したくなる気持ちは、それが寂しいことでもやむを得ないことなのかもしれない。
心のどこかでは救いを求めているのに、罪の意識から救われることをよしとしない二律背反的な心因が邪魔をして、積極的に前を向くことを拒む『ライオン』『カカシ』『ブリキ』の三人の姿はやるせなさを誘う。

つまるところ、三人の心を絡め取る鎖を断ち切ることが『ドロシー』の役割なのだけど、忍野メメ風に言うなら彼らは「勝手に助かっただけ」なんだろう。だって『オズの魔法使い』では、それぞれが望んだものは最初からすでに持っていたのだから。
無関心を装いながらもどこかでお互いを気にかけ合って、四人が空を見上げるちょっぴり優しい屋上の風景が心にしみる。だから、彼らは屋上を居場所にしたんだろうなあ。

無関係だと思った三人の関係が一気に繋がる『ブリキ』の章の鮮烈さは言わずもがな。『カカシ』の章は蛇足のようにも感じられたけど、個人的にお気に入りは初めの『ライオン』の章かな。小ざっぱりした展開の中で、青春小説の醍醐味が綺麗にまとめられたお話だった。というか、『ライオン』がいい人すぎて。まあ、一番いいキャラしてたのは『ブリキ』だけどね。

期待や前予想を抜きにすれば、これからの活躍と成長が楽しみな作風だったと思える。次回作にはぜひとも期待したい。


関連商品
キミとは致命的なズレがある (ガガガ文庫)
ハレの日は学校を休みたい! (ガガガ文庫)
雨の日のアイリス (電撃文庫)
ココロコネクト クリップタイム (ファミ通文庫)
カナクのキセキ2 (富士見ファンタジア文庫)
by G-Tools


スポンサーサイト

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

こうして彼は屋上を燃やすことにした(ガガガ文庫)
こうして彼は屋上を燃やすことにした (ガガガ文庫)(2011/05/18)カミツキレイニー商品詳細を見る 第5回小学館ライトノベル大賞・ガガガ大賞受賞作。 だーまえさんが「鳥肌モノ」と絶賛した本作。果たしてどんな内容なのか!? 「こうして彼は屋上を燃やすことにした」(...
Posted at 2011.06.25 (23:12) by 読書感想未満、駄文以上。

Leave a comment

Private :

Comments

まどみちおさんの詩はじーんときますよね。
それでも一番共感するのはみつをさんの詩です。
もう亡くなっている方ですが、すごく好きです!
イエローハットのカレンダーにのっていて、すごく共感してしまいます☆

オズの魔法使いですか!
灰理も好きです。
でもつかボンさんの感想的には灰理は読まなくてもいいかなって感じですw
暇ができたら買って読みたいと思います!!

Posted at 2011.05.21 (23:01) by 灰理 (URL) | [編集]
Re: 灰里さんへ
コメントありがとうございます。

私もみつをさんの詩は大好きです。中学から高校にかけて集めていたので、詩集とかカレンダーとか結構持ってますよ。
善悪両方の面で人の本質を謳った、到底詩とは思えない自由な作風が素敵ですよね。

どうもこの作品は、読む人の境遇やそのときの心境で感じ方が変わってくるみたいなんで、合う合わないは人それぞれだと思います。
機会があればどうぞ。
Posted at 2011.05.22 (12:46) by つかボン (URL) | [編集]
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
05 07
FC2カウンター
ブログランキング

FC2Blog Ranking

応援とか色々
プロフィール

つかボン

Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

MY読書メーター
つかボンさんの読書メーター つかボンの最近読んだ本
検索フォーム
カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。