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キミとは致命的なズレがある/赤月カケヤ

四国というところ


知らない人も多いでしょうし、どうでもいいと思う人も多いでしょうけど、私は四国の愛媛県出身です。
みなさんは四国に『四国八十八ヶ所』を巡る『四国遍路』という習わしがあることをご存じでしょうか?
まあ、それはウィキやらなんやらで調べてもらうとして。
今日知ったことなんですけど、四国には八十八ヶ所とは別に『四国別格二十霊場』というものがあるそうで、最初私は、別格というぐらいだから八十八ヶ所の中で特に神聖な二十の霊場を指しているのだと勘違いしていたのですが、調べてみると弘法大師にゆかりのある番外霊場なのだそうで。
面白いのが、八十八と二十ということはつまり、足すと百八となり煩悩の数と一緒になるのです。
これは、百八の霊場を遍路することで煩悩を滅するためだと言われています。

四国は弘法大師の伝説が数多く残る伝奇的な土地です。創作意欲を掻き立てられるというか、新鮮な発想をもらえそうな不思議がたくさん溢れています。
せっかく四国出身なのですから、このアドバンテージを創作で活かしたいところです。

四国を題材にした創作物にはこんなものがありましたね。
死国 (角川文庫)死国 (角川文庫)
坂東 真砂子

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確か映画化もしてたはず。
未読ですが、四国に伝わる慣習に対するオリジナルの解釈が、裏話として実在するのではと思えるほど説得力があると評判の作品なので、一度読んでみたいです。






キミとは致命的なズレがある (ガガガ文庫)キミとは致命的なズレがある (ガガガ文庫)
赤月 カケヤ 晩杯あきら

小学館 2011-05-18
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「うーみん、時間は前にしか進まないっす。もう、あとには戻れないっすよ」



――あらすじ――
海里克也は保健室で目を覚ました。なぜここにいるのか?保健医の鏡司によると、階段で転んで気を失っていたらしい。…覚えていない。十歳のとき、大きな事故で両親と記憶を失ってしまった克也には、ここ数年の記憶しかない。また記憶が消えてしまったのだろうか。「見えないモノが見えてないか?」そんな司の問い掛けにドキリとする。―自販機の陰から伸びる少女の姿態―突如現れ克也を責める不幸の手紙―少女の死の映像と命を狩る指の感触。これは幻覚?それとも―?第5回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。


――感想――
第5回小学館ライトノベル大賞『優秀賞』受賞作。

これは素晴らしかった。期待していた作品ではあったけど、ここまでとは。
ややもすればガガガの真骨頂と呼ぶべき作品。近年の新人賞受賞作の中でも屈指の面白さだった。
内容はサイコ・サスペンスとミステリのハイブリッドといった感じ。ダークで重々しく、晩杯あきらさんの雰囲気あるイラストも相まって、なかなかに名作の趣があるものに仕上がっていました。
ラノベらしからぬ作品に惜しげもなく賞を与えてしまうあたり、さすがガガガ。

余談だけど、ガガガは絵師さん選びに他のレーベルにはない懸け離れたセンスを有している気がする。

記憶や価値観、罪悪感と罰の認識、果ては倫理観念における『ズレ』をテーマに、半生の記憶を失った少年がある日届いた不幸の手紙をきっかけとして、じわじわと現実から乖離していく様が力感あふれる文章で描かれている。
突然見え始めた幻覚。断片的に蘇る記憶の中で、もしかしたら自分は人を殺したのかもしれないと、不気味な恐怖に追い詰められていく主人公の姿がサスペンスフルな不安を誘う。事情を知る周りの人々は自分を人殺しではないと主張し、自分でもそれを信じたいけれど、自身の手には少女の首に毒牙をかけた感触が確かに残っていて、安心を逃げ場にできぬまま罪の意識に押し潰されていく。
日常の風景に重なる過去に見た鮮烈なシーンに苛まれ、主人公がズレていく過程は圧巻ものだった。

もちろん面白いのだけど、どちらかといえば「上手い」と評したほうがしっくりくる。読者の視点がしっかりと意識されていて、自然な流れのままミスリードする技術は新人とは思えない。気づいたら騙されてるんだからお手上げだよ。
ラストでは期待をいい方向に裏切るどんでん返しの波濤が待ち受けていて、その内容も内容なだけに心が激しく揺さぶられた。恥ずかしながら、割と前半のほうで「真相は見えた!」とか思って鼻を鳴らしてました。穴があったら入りたいと羞恥心に悶えると同時に、目いっぱい感動しました。

見えているものが正しいとは限らない。真実が目に映るとは限らない。
ズレていたのは私たち読者のほうだったんだね。改めてタイトルと帯の意味を考えてみたら鳥肌が立った。

それにしてもヒロインである美鳥とひなたのキャラ立てに心底唸らされた。一言で表せるような大々的な面から所作や言動に表れる些細な面まで。うーみん(主人公)から見た二人の違いが、微々たるところまで丹念に作り込まれてる。
うーみんに対する美鳥とひなたとの微妙な立ち位置の違いとか、人物の相関関係や台詞回しに作者の並々ならない才能と洗練されたこだわりを感じた。

内容的にシリーズものは難しそうだから単巻完結だと思うけど、私はどちらでもいい。続いたとしても、この作者なら納得のいくものを書いてくれる気がする。
期待のニューカマー登場です。


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キミとは致命的なズレがある(ガガガ文庫)
キミとは致命的なズレがある (ガガガ文庫)(2011/05/18)赤月 カケヤ商品詳細を見る 第5回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。 ラノベにはまだまだ珍しい、サイコスリラーです。 「キミとは致命的なズレがある」(赤月カケヤ著/ガガガ文庫)
Posted at 2011.06.28 (23:43) by 読書感想未満、駄文以上。

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Comments

いいですねー。
大賞の方がなんとなく思っていたのとは違う感じのようなので「どうしようかな?」って思っていたところなんですが、こちらの方は何となく望んでいた通りの作品みたいです。

最近ラノベらしくない作品…って言うかラノベってる作品に軽く飽き飽きしてきた感じがあるのでちょうど良かったです。
ただ買うのは良いとしてハルヒあるし、電撃はまだ読んでないしで読むのはいつになることやら…トホホw。
Posted at 2011.05.25 (08:17) by tokuP (URL) | [編集]
おお、読んだのですか。
サイコサスペンス・・・最近そういう系統のミステリーを積読しているので、非常に楽しみ。
この間「シャッター・アイランド」を3日かけてじっくり読んで、その驚愕のオチにミステリーの醍醐味を見たところです。(本当に衝撃のオチが待ってますので、ぜひ)
こういうこれまでのラノベ範疇から外れた作品が増えてきて、嬉しい限りです。
Posted at 2011.05.25 (16:35) by naomatrix (URL) | [編集]
鳥取の米子城があった城山に、通るだけでお遍路さんができる道というのがあるのですよ。
山道に石仏がいくつも並んでまして、それぞれが霊場の代わりをしてるんですね。
その名もずばり、「城山大師」でした。

お遍路さんといえば、逆方向から参拝すれば死人が蘇るそうですね。
『死国』はそれを題材とした話だと聞いています。

ズレやミスリードは、私の作品に欠かせないものですね。
そしてそれが上手いと来れば、是非見習いたいものです。
Posted at 2011.05.25 (19:04) by サクラ (URL) | [編集]
Re: tokuPさんへ
コメントありがとうございます。

大賞は、私も予想と違って少しだけガッカリしたのですが、こちらはむしろ期待を上回る出来でした。久しぶりに自信を持ってオススメできます。

はは、同じく心当たりがあって思わず笑ってしまいました。なんとなく物足りなさを感じますよね。というか、最近読む本の傾向が偏ってきて、好みが丸出しになってるような気がしますw
もし読むのであれば、tokuPさんのペースでどうぞ。いつ読んでも面白さは逃げませんよ。
Posted at 2011.05.25 (23:12) by つかボン (URL) | [編集]
Re: naomatrixさんへ
コメントありがとうございます。

『シャッター・アイランド』って、映画化とかされてませんでしたっけ? 観たような観てないような。
特別サイコ・サスペンスが好きなわけではないですが、ミステリの醍醐味とまでなると興味をそそられますね。積読だらけで機会があるかわかりませんが、あればぜひ読ませてもらいます。

ラノベをもはやジャンルの壁なんてないに等しいですからね。おそらく、新人賞応募作の中には枠を越えた作品がたくさんあるのではないかと思いますが、それに賞を与えるかどうかは、レーベルの勇気が試されるところなんでしょうね。
Posted at 2011.05.25 (23:32) by つかボン (URL) | [編集]
Re: サクラさんへ
コメントありがとうございます。

通るだけで遍路ができるのですか。まあ、儀式みたいに定型があるわけではないですから、在り方はそれぞれですよね。
しかし名前が城山大師とは……なにか弘法大師とゆかりがあったり?

「逆方向から~」という捉え方自体『死国』の作者のオリジナル解釈らしいですよ。
逆方向に遍路することを逆打ちというのですが、実際は逆打ちのほうが困難が多く、また順廻りしている大師に遭遇する可能性が高いということから、よりご利益があるとされています。

Fortune Girlの1話でもミスリードがありましたよね。見事に騙された口ですw
実際とても上手かったので、参考がてら読んでみるのもいいかもしれませんね。
Posted at 2011.05.26 (00:08) by つかボン (URL) | [編集]
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Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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