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雨の日のアイリス/松山剛

『驚愕』発売!


もう昨日のことですが、ついに発売しましたね! 涼宮ハルヒの驚愕!
涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)
谷川 流 いとう のいぢ

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延期報告がなされてから4年。もう刊行されないものだと諦めていたのですが、気づけ発売ですよ。今、実際に手元にありますが、まだまだ実感がわきません。それだけ空白の時間は長かったということでしょう。
この4年の間に作者谷川流先生の身になにがあったのか。それはあとがきで語られてるみたいですが、私はまだ未読なので、ともかく早く読みたい。
が、前巻の『分裂』の内容をほとんど忘れてしまっているのでそうもいきません。なら読み返せばいいだけの話なのですが、姉に貸したまま返してもらえてないのでそれもできないのです。手元にあるのに読めないというこの矛盾と歯痒さ!
姉には一刻も早く返却してもらい、予習も万全の状態で挑まねば。

たーのーしーみーだー!






雨の日のアイリス (電撃文庫)雨の日のアイリス (電撃文庫)
松山 剛 ヒラサト

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「いいのよ、分からなくっても。……私だって分からないわ」
 ボルコフを見るリリスの目はとても優しかった。彼女は時々、こんなふうにボルコフを見る。
「それに、生き方なんて難しい問題――」
 彼女はちらりと倉庫の窓を見た。
「きっと人間たちだって分かってやしないわよ」



――あらすじ――
ここにロボットの残骸がある。『彼女』の名は、アイリス。正式登録名称:アイリス・レイン・アンヴレラ。ロボット研究者・アンヴレラ博士のもとにいた家政婦ロボットであった。主人から家族同然に愛され、不自由なく暮らしていたはずの彼女が、何故このような姿になってしまったのか。これは彼女の精神回路から取り出したデータを再構築した情報―彼女が見、聴き、感じたことの…そして願っていたことの、全てである。第17回電撃小説大賞4次選考作。心に響く機械仕掛けの物語。


――感想――
例年受賞作よりも、あとに出る最終選考作や四次選考作のほうが人気を集める電撃大賞だけど、今年も例外ではなかったみたいです。

いやー、よかった。話が小綺麗にまとめられすぎていて物足りなさを感じたけど、雨のようにしとしとと心に波紋を作るようで、それでいて水溜りという名の根強い印象を残す美しいシーンの数々がそれをカバーしてくれた。
童話チックな教訓を交えながら、あるいは寓話的なストーリー展開で描かれる、人間よりも人間臭いロボットたちの『破壊と再生』の物語。

読んでいてなんとなく『アイロボット』や『A.I』を連想した。
あと、読む前からあったイメージ。それと読み終わってからずっと息づいていたイメージ。というより記憶に近いものなんだけど、それがどうしても思い出せなくて煮え切らないでいたら、つい先日ふと思い出した。



これこれ、私が思い浮かべたイメージは。『第5回TOHOシネマズ学生映画祭短編アニメーション部門グランプリ作品』。もうピッタリなんだ。
読んでいる最中は忘れていたわけだけど、気分はずっとこの映像を見てるときと同じだった。寂寥の滲む、儚げな心持ち。そしたらもう何度も泣きそうになって。いや、泣きましたけどね。
読む人によっては、至るところで琴線に触れるのではないかと思う。そんな作品。

主人である博士となに不自由なく暮らしていたアイリス。人間の少女と見紛うほど精巧に作られた彼女は、人間のように笑って、人間のように悲しんで、ロボットでありながら博士を慕う人間以上に人間らしいロボット。
でも、ある日突然幸せな日常が暗転して……となってからはひたすら絶望の坂を転がり落ちていく。ただ廃材を運ぶだけの無機質なロボットになって、希望を見出せないまま次第に思考も言葉も失っていく様は本当に胸を痛ませる。
ヒラサトさんの可愛らしい素敵なイラストからは想像できないほど、なかなかに重い内容です。

リリスとボルコフに出会ってからの展開は救いがまだ少し見受けられて、『真夜中の読書会』を通して周囲から浮いた二人の存在に癒されていく光景はとても印象的だった。それ故に、廃棄処分されていく仲間たちの姿を見せつけられ、自分たちがどうしようもなくロボットだという残酷な現実を知ったときの落差にはほとほと参る。むしろ私の目には、淡々と廃棄していく人間たちのほうがロボットのように映った。

自由を掴むための逃避行の中、どれだけ逃げても追いかけてくる追ってに何度もハラハラさせられた。絶望絶望絶望。幾度となく絶望が続いて、それでもわずかな希望に縋り、信じ抜き、それぞれが想いを託して最後の瞬間まで願いを叶えようと動き続ける、その強固な信念に激しく感動した。
ラストの繋がり方はもう素晴らしいの一言。

これはまさしく、『破壊と再生』の物語だったんだなあ。


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Comments

お久しぶりです。上の動画、いいですねぇ…
人がいなくなっても残されるロボットというのは、どうしても切ない気持ちになります。
そんな彼らにどう接すればいいか分からない私は、彼らに対しての接し方を考えないといけないのかもしれません。
でもこういう関係って、私たちが気づいてないだけで他にももっとあると思うのですよね。

ハルヒシリーズはアニメを見て満足してしまっていたのですが、驚愕が話題になっているので買おうか迷ってます。
やっぱりしっかり1巻から入った方がいいのかなぁ…。
それとも2巻くらいから入っても大丈夫でしょうか?
Posted at 2011.05.26 (22:08) by 茶ネコ (URL) | [編集]
こんばんは。
なんだか詩的なイメージの作品ですね。
いつもはトリッキーなのが好きなんですが、たまにはこういうのも悪くないですね。

私も『分裂』がどんな話だったか覚えてないです(笑)
佐々木さんともう一つのSOS団みたいなのが出てきたのは覚えてるんですが・・・・。
というわけで、現在ハルヒシリーズ絶賛読み返し月間です(笑)
どうやらこの巻でも新キャラが出るみたいなんで、楽しみです!!
Posted at 2011.05.27 (01:09) by naomatrix (URL) | [編集]
Re: 茶ネコさんへ
コメントありがとうございます。

お久しぶりです。
動画いいですよね。一時期何度も見てました。
おっしゃるとおり、ロボットに限らずこういう関係って現代にはたくさん蔓延ってると思います。そういう部分に警鐘を鳴らした作品構成がグランプリの決め手だったのではないですかね。

1、2巻はアニメ1期2期のメインの話なので、読まなくてもいいかもしれませんが、2巻はいまだ明かされてない伏線が割と多く張られてる巻でもありますし、1巻はアニメ版にはない素晴らしさもありますし、悩みどころですね。
そういうのを気にしないのであれば、驚愕を読むための最低限の下準備として4巻の消失から読めばなんとかなると思います。
Posted at 2011.05.27 (13:03) by つかボン (URL) | [編集]
Re: naomatrixさんへ
コメントありがとうございます。

詩的といえば詩的なのかもしれません。
ラノベとしては完成度の高い綺麗な作品ですので、気が向きましたらどうぞ。

ハマってたときは何度も読み返していたので大枠の流れは覚えているのですが、分岐した2ルートの詳しい内容まではさすがに忘れてしまっているので、それが頭に入ってないとやっぱり存分に楽しめませんよね。
ということで、今からすべて読み返すのは厳しいので、私は分裂だけ読み返して臨もうと思っています。
Posted at 2011.05.27 (13:10) by つかボン (URL) | [編集]
お久しぶりです。まだ完全状態ではないですが、とりあえず個人的な気持ちにひと段落ついたので、ライトノベルも続けていこうかと。
眺める数を減らして、きちんと他者の感想を読んでいこうと思いました。ちょこちょこ訪れさせていただきます。

変態王子に対抗して再読王子の名を賜った私に不覚はありませんでした。ハルヒ3周目です。

こほん。アイリス良かったですね。学生映画の件は貸した友人も言っていました。見て、納得することになったのですが。
人ではないものに人生を語らせる。リリスの言葉が痛かったです。
Posted at 2011.05.30 (10:04) by askayane (URL) | [編集]
Re: askayaneさんへ
コメントありがとうございます。

おや、お久しぶりですね。
色々と葛藤があったみたいですが、askさんがそう決めたのならいいのではないでしょうか。だれに左右されることでもないですしね。
ともかく、またよろしくお願いします。

ハルヒの再読数だけは負けませんよ。高校のころ、ラノベの中でもハルヒにのみハマってた私は一文字レベルで暗記していたぐらいです。まあ、今となってはもう大まかな流れしか覚えてませんけどね。

こほん。アイリスよかったです。見事期待に応えてくれました。四次選考作が受賞作より期待に応えてくれるなんて、ほんと涙が出ますね……。
当然すぎて私たちが考えなくなった『生きる』ということを、ロボットが一生懸命に考えて。それだけで、私たちはなにか大切なことを失ってるような、そんなことに気づかせてくれる素晴らしい一冊でした。
Posted at 2011.05.31 (02:53) by つかボン (URL) | [編集]
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Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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