FC2ブログ

源氏物語 第二回

源氏物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)源氏物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
角川書店

角川書店 2001-11
売り上げランキング : 17715

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



――感想――

紅葉賀

(19歳)藤壺、皇子(冷泉帝)を出産。


・源氏さんの子を身籠ったことを後ろめたく思いながらも、大人な対応というか現実主義的な対応を見せる藤壺の器の大きさは、やはり大層なものだね。比べて源氏さんは、手紙の返事に舞い上がったりして、気まずさはどこへやら。まだまだ甘ちゃんなんだな。

・器の大きさといえば帝も大したもので。藤壺が生んだ源氏さんにそっくりな若宮。源氏さんと藤壺との間に生まれた子だと悟っているのかいないのは定かでないけど、どちらであろうと些事なことと振る舞えるその大らかさには驚くよ。二人して冷や汗をかいてる源氏さんと藤壺が滑稽だね。


花宴

(20歳)朧月夜の君と逢う。
(21歳)桐壺帝の譲位。


・源氏さんがどのように女性を口説くのかがよくわかる1編。初対面でも、源氏さんだから許されるようなこっ恥ずかしい台詞を堂々と吐けるその凛々しさに体を許すのだろうか。「私とあなたの縁はおぼろじゃありません。前世から結ばれる縁なのですよ」相手は初対面だよ? うきゃー!

・でもその相手が生涯の政敵、弘徽殿の女御の妹だったりするんだから、後の祭りという言葉がこれほどしっくりくる情事もない。一夜の秘め事から、姉を無視して一途に政敵である源氏さんのことを慕ってしまう妹の姿から禁断の香りが……。なんか東野先生の『流星の絆』を思い出した。


花宴

(22歳)葵の上と六条の御息所の従者たちが駐車をめぐって喧嘩(車争い)する。⇒葵の上、男児(夕霧)を出産後、急死する。⇒源氏、葵の上と結婚。


・ようやく葵の上かと思えばなんだこの不憫な仕打ち! 正妻でありながら源氏の愛を受けられなくて、最後には祟りで死に至るなんて可哀想な。車争いでお忍びの姿を大っぴらかにされプライドを傷つけられたとはいえ、煩悶の元凶は源氏であるのに、恨みが葵の上に向かってしまうのが女の業の怖さか。

・物の怪退散のために焚かれる芥子の香りが自身に染みついていたことで、葵の上にとりついていた生霊は自分だったのだと気づいた御息所が、劣等感と自己嫌悪に苛まれ正体を失っていく様は教訓深いなあ。人を呪わば穴二つ、という奴だね。


賢木

(23歳)六条の御息所、娘の斎宮とともに伊勢へ下る。⇒桐壺院の崩御。
(24歳)朧月夜の君、尚侍となる。⇒藤壺の出家。
(25歳)朧月夜の君との交際が露見。⇒姉の弘徽殿の女御、源氏の失脚を謀る。


・朱雀帝の寵愛を受ける身でありながら、源氏さんにぞっこんな女君(弘徽殿の女御の妹)。政敵同士であることを考慮すれば、まさに王朝のラブロマンス風味な罪の香りと、厳しい現実に縛られない自由気ままな優雅さが感じ取れるなあ。

・しかし不倫が女君の父親(右大臣)に露見したにもかかわらず、まるで気にした様子もなく飄々とした源氏さんの態度はどうにかならないのか。慌てふためく女君を必死に慰めても、それでどうにかなる問題じゃないよね。これを機に皇太后(女君の姉)が源氏失脚を画策。物語が動き出しそうです。


花散里

(25歳)花散里と出逢う。


・右大臣方の圧力から失意の底にあった源氏さんが、心を休めるために訪れるのはやはり女性のもとらしく。亡き父桐壺院の妃、麗景殿の女御を訪ねて父の話に花を咲かせる源氏さん。そんな中、直接は描かれないけど仄めかされる女御の妹、花散里がまた奥ゆかしそうでいいね。
後に、息子の夕霧や玉鬘の世話を頼まれる源氏さんの信頼を得た評価の高い女性。ぜひとも源氏さん目線での描写が欲しかった。


須磨

(26歳)源氏、政治的危機を避けるために、自ら京を離れ須磨へ退去。
(27歳)暴風に遭う。


・源氏が京から須磨へ退去。都会から地方へ、都会人から田舎人へ、とこの瞬間物語にとり大きな転機が訪れたということか。京に残した女性たちに会えないことを侘しく思いながらも、都会でしか暮らしたことのなかった源氏さんが、自分の無知を自覚して人格の幅を広げていく。

・イケメンというか、物語の主人公にはどこに行っても、たとえそれがド田舎でも出会いはあるみたいで、それが明石の入道(桐壺の更衣のいとこ)の娘。この娘さんすごいよ。平凡な結婚しかできないなら死を選ぶほどの野心家。田舎の娘さんがだよ?
その田舎育ちのたくましさが源氏さんを支え、栄華を実現することになると。ふむふむ。どこでなにが盛衰のきっかけになるかわかんないもんだね。華やかな人間ドラマだ。



関連商品
枕草子 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
平家物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
徒然草 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
竹取物語(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
伊勢物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
by G-Tools


スポンサーサイト



Leave a comment

Private :

Comments

こんばんは。
「源氏物語」って私の中のイメージとしては、
「光源氏が女性を口説きまくる話」でした(笑)。
昔の作品を読むと、割と今に通じる作品があったりして新たな発見がありますね。

私も最近、山田風太郎氏の「忍法帖」シリーズにハマッてます。
きっかけは西尾維新先生が帯で褒めていたから(笑)。
忍者同士の忍法対決が描かれるわけですが、はっきり言ってしまえば、今やラノベ・漫画でおなじみの「能力者バトル」ものの元祖。
四十年以上も前にこんな作品が書かれていたとは驚きです。
「戦闘破壊学園ダンゲロス」が好きなら、「甲賀忍法帖」とかオススメです。
Posted at 2011.06.08 (21:55) by naomatrix (URL) | [編集]
Re: naomatrixさんへ
コメントありがとうございます。

『源氏物語』は日本最古のラノベと言われてるぐらいですからね。
現代風に解釈すれば、ツンデレやヤンデレな女性もいますし、みんなとても可愛いですよ。まさしく、そんな女性たちを光源氏が口説きまくるお話です。いわゆるハーレムですね。
『伊勢物語』にも主人公が偶然女性の着がえシーンを覗いちゃったりする場面がありますし、物語には昔から脈々と受け継がれているなにかがあるんでしょうね。

『忍法帖』シリーズいいですねー。読みたい作品の一つです。
ダンゲロス風味なのですか。それはぜひとも読んでみたい。
以前から忘れないようしっかり記録してるので、いつか読めるといいのですが。
Posted at 2011.06.09 (03:03) by つかボン (URL) | [編集]
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
04 06
FC2カウンター
ブログランキング

FC2Blog Ranking

応援とか色々
プロフィール

つかボン

Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

MY読書メーター
つかボンさんの読書メーター つかボンの最近読んだ本
検索フォーム
カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード