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源氏物語 第三回

源氏物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)源氏物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
角川書店

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――感想――


明石

(27歳)夢告に従い、須磨から明石の入道のもとへ移る。⇒明石の君と逢う。
(28歳)源氏に召還の宣旨。⇒源氏、政界に復帰。


・物語の舞台は須磨から明石へ。須磨を立ち去るきっかけとなったのは、夢枕に亡き父桐壺院の亡霊が立ちお告げを残したからだけど、この当時、霊界からの夢のお告げは絶対だったらしい。朱雀帝の枕元にも桐壺院が夜な夜な立ち、政治が荒れたことで朱雀帝が譲位を決したぐらいだからなあ。

・まじない信仰というか、超常的なものに対する畏怖の念が強かったんだろうね。ともあれ帝が譲位したことで源氏は都へ返り咲くことに。その前に明石の入道の娘と結ばれるが、お互いプライドが邪魔して円満にはいかず。
それでも長年のつき合いになることを早くから予見してた源氏は、やはり貴公子としての素質が違うというか。年齢差はないのに、幼さの残る紫の上とすでに妻の要件を備えた明石の君との対比が面白い。


澪標

(29歳)朱雀帝の譲位。⇒明石の姫君誕生。⇒六条の御息所、死去。


・朱雀帝譲位により源氏と藤壺との子、冷泉帝が即位。源氏方の系統が政界の主流を占める時代へ。明石の君に女児が生まれたことで、妻の座を危ぶまれる紫の上の嫉妬が可愛いなあちくしょー。それを巧みな話術で丸め込んでしまう源氏さんのしたたかさにむしろ嫉妬してしまう。なんつーか、ずるい。

・しかし明石の君の気丈さが素敵だね。貴族の血縁でありながら田舎育ちという劣等感が、源氏さんにすら甘えを許さない。この忍耐力が人生の栄華を手中に収める秘訣だったわけだ。


蓬生

(29歳)源氏、末摘花を訪問。


・末摘花一途やなあ。女性としての外見的な魅力はなくても、心はだれよりも源氏さんを想ってる。その真心に胸を打たれた源氏さんは荒廃し切った宮家を再び支援する。彼女の純心さがあったからこそ、彼女は幸せを手に入れられたんだね。


関屋

(29歳)空蝉と再開。


・『源氏物語』屈指の魅力を誇る空蝉再登場。偶然出会ったにもかかわらず「迎えに来た」と軽々しく言っちゃう源氏さんは本当に口八丁な人間だが、それでも懐旧の情に浸り空蝉の乙女心は揺れる。結局出家という形で自己抑制するわけだが、結果的に源氏さんの終生の庇護を獲得。空蝉さんマジ素敵。


絵合

(31歳)前斎宮(六条の御息所の娘)、入内。⇒須磨時代の源氏の絵日記で絵合の最終決戦を決する。


・ふとしたきっかけから始まった冷泉帝を巡る絵合。その勝敗を最後に決したのが源氏さんが須磨にいたころに描いた絵日記だったというのは、なんとなく納得できるなあ。もともと才があり、なおかつ須磨に退いたときの心境が生々しく映していたとなると、やはり傑作だったんだろうねえ。


松風

(31歳)明石の君、上京。


・ご無沙汰となっていた明石の君との再会。そして娘の姫君との初対面。田舎育ちというコンプレックスのせいでなかなか源氏さんと会えなかった明石の君が、一体どんな気持であったのかは、再会のときの彼女の心理描写がありありと伝えているなあ。

・それにしても源氏さんが女性を愛でる気持ちは本当に幅広い。世界一のフェミニストなんじゃないか。母が田舎育ちだと世評に圧殺されかねないと、娘の姫君を紫の上の養女として二条院で預かろうとする気概は、あるいは男親としての責任感なのかもしれない。そう見れば少し見直せるかも。



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Comments

さすが源氏「さん」です。敬称を付けたくなる気持ちも分かるってもんですね。

日本史を勉強していても思うのですが、「まじない」という一種不安定なものを拠り所として政治が回るというのはどんなものなんでしょうね。どんなものと言っても今更知りようもないんですが、1000年以上、誰もそのことに疑問を持たなかったというのはとても興味深いなと。

角川ソフィア文庫いいですねー。思わず伊勢物語と徒然草を買ってしまいましたw
Posted at 2011.06.09 (13:51) by ask (URL) | [編集]
Re: askさんへ
コメントありがとうございます。

言ってしまえば宗教と同じようなものなんでしょう。目に見えない、存在するかもわからない力に縋って人生を決めちゃう人もいるわけですし。人生を決めるとまではいかなくても、歴史ある宗派でしたら古くから伝わる習わしに従っている人は今でも大勢いますしね。
ともあれ、なんせ千年も前のことですから確たる証拠があるわけでもなし、実際の事実がどうなのかはわかりませんが、リアリスティックな今の政治に比べれば幾分か夢はありそうですね。現代に生きてるから言えることですが。

角川ソフィア文庫のクラシックシリーズは入門書にしては内容が充実してるので、読みものとしては非常に有効活用できる素晴らしいレーベルです。
この源氏物語も図書館で借りるだけのつもりが、あまりによかったので『論語』と合わせて先日購入してしまいました。
『伊勢物語』と『徒然草』もいいですね。ぜひともシリーズを読破してみたい。
Posted at 2011.06.10 (02:32) by つかボン (URL) | [編集]
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Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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