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星の王子さま/サン=テグジュペリ

忙殺


最近なにかと忙しい上に、面白みのない日常ばかりすごしてるので前置きはちょっとお休みで。






星の王子さま (新潮文庫)星の王子さま (新潮文庫)
サン=テグジュペリ Antoine de Saint‐Exup´ery

新潮社 2006-03
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「さようなら」キツネが言った。「じゃあ秘密を教えるよ。とてもかんたんなことだ。ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない」



――あらすじ――
砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子さまだった…。一度読んだら必ず宝物にしたくなる、この宝石のような物語は、刊行後六十年以上たった今も、世界中でみんなの心をつかんで離さない。最も愛らしく毅然とした王子さまを、優しい日本語でよみがえらせた、新訳。


――感想――
なんだか急に読みたくなったので読了。
なんで読みたくなったのかは自分でも不明瞭だけど、読んでよかったと心の底から思える。
小さいころに読んだ記憶はすっかり失われていて、概要しか覚えていなかった。だからか、こんなにも美しい物語だったんだと心が震えました。今読んだからこそ、そう思えたのかもしれない。

作者のサン=テグジュペリは作家としてだけでなく、飛行家としても有名です。1944年7月31日、彼は偵察飛行に飛び立ち、そのまま帰らぬ人となりました。彼の乗っていた機体の残骸はマルセイユ沖で発見されましたが、死体は見つからず、いまだ彼の死の真相は謎のままです。
結局、完成された作品としてはこの『星の王子さま』が最後となりました。まるでそれが遺書であったかのように。

あとがきの解説にもあるとおり、物語の中で砂漠に不時着したパイロットはテグジュペリ自身に重なって見える。また、金髪だったテグジュペリは幼少のころ母から『太陽王』と呼ばれ可愛がられていた。金髪の星の王子さまはきっと彼の分身なのだろう。
そう考えると、この物語は、「大人の自分」と「子どものころの自分」との対話を描いたお話と読み解くこともできる。

王子さまが自分の星を離れ、地球に辿り着くまでに立ち寄ったいくつかの星で出会った様々な大人たちとの交流を描きながら、大人と子どもの違いについて繰り返し示唆していたのが印象的だった。
民が一人もいないのに統治することに躍起になる王様や、自分以外だれもいないのに自分が一番という称賛を求める人や、酒を飲むことを恥じているのに、その恥を酒を飲んで忘れようとするのんだくれや、だれもいないのに指示だからと朝にはガス灯を消して、夜にはまた点灯させることを永遠に繰り返す点灯人など……。
人物描写に思わずクスッとしてしまうような大人たちばかり。けれど、どの大人もみんな目の前の形式に捉われてばっかりだった。それは現代にも通ずるところがあり、本質を見透かすような作者の慧眼に驚いた。

王子さまが地球で出会ったキツネとのやり取りの中で、本当に大切な真実に気づいていく過程は素晴らしいという以外に言葉が出てこない。
王子さまの星には一輪のバラが咲いていた。そのバラはとても美しいが、我が儘でいつも王子さまを困らせてばかり。それでも王子さまはたった一輪のそのバラを一生懸命育てた。だからこそ、地球に来て大量に咲くバラを目にしたときはショックだったのだろう。自分が育てていたバラは世界で唯一だと思っていたから。
けれど、それは本当に世界で唯一だったのだ。大事なのは姿形ではない。いくら見た目が同じでも、一緒に過ごした時間が、相手のために費やしたかけがえのない時間があれば、それはもう唯一の存在なのだ。

「いちばんたいせつなことは、目に見えない」
子供のころ、きっと当たり前のようにわかっていたことをこの本は思い出させてくれる。優しくて、温かくて、切なくて、つい声に出して言葉を噛みしめたくなるとても素敵な一冊。
絆で結ばれた自分にとってかけがえのない一つのなにか。それが目に見えなくとも、どこかに存在していると思うだけでこんなにも愛おしい気持ちになる。
児童書って、大人になって読むから大切なことを得られる気がする。聖書の次に読まれていると言われるベストセラーだけあって、多くの人の心に残るなにかがあるのだ。


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Comments

私もこの話は大好きです。話だけじゃなくて、絵も大好きです☆箱根に行ったとき星の王子様ミュージアムに行きましたが、とても可愛い場所でした!!作者のこともよくわかってよかったです。おみやげも可愛かったので、星の王子様のブックカバーを買って、ラノベ読むときに使ってます☆
Posted at 2011.06.12 (14:43) by まみ (URL) | [編集]
Re: まみさんへ
コメントありがとうございます。

絵もいいですよね。物語の中のパイロットが描いた絵という扱い方も素敵です。
星の王子さまミュージアムなんてのがあるんですか。それはぜひ行ってみたい。そんな夢のような場所なら、きっと一日中いられるでしょうね。
Posted at 2011.06.13 (02:03) by つかボン (URL) | [編集]
星の王子様ですか。懐かしいですね…読書感想文に使おうと思って購入して、四苦八苦した記憶と、アニメ版の独特の少女漫画チックな雰囲気に兄貴とツッコミ入れながら見てた思い出がありますw
しかし今なら理解が及びそうなので、今度実家帰ったら探して読み直そうと思います。
Posted at 2011.06.13 (11:23) by ヒップホッピー (URL) | [編集]
Re: ヒップホッピーさんへ
コメントありがとうございます。

思いのほか内容が深い上に、児童書なのにテーマが児童向けじゃないんですよねw むしろ大人のための児童書のような。
私は書いたことありませんが、子どものころ書こうとしてたら同じく苦労してたと思います。今も苦労しそうですがw
このお話が少女漫画チックに描かれるとどうなるのか、それは興味ありますね。アニメ版はぜひ見てみたいです。
Posted at 2011.06.13 (22:44) by つかボン (URL) | [編集]
実をいうとこの本、読んだことがないんですよね。
幼稚園の読み聞かせにも、小学校の学級文庫にも無かったように思います。
何年か前に版権がどうのこうので、ようやく全容を知った感じです。

しかし放っておくのは勿体ないですね。

あらすじだけじゃ感じられないものもあるでしょう。
ちょっと探して読んできます。
Posted at 2011.06.14 (20:42) by サクラ (URL) | [編集]
Re: サクラさんへ
コメントありがとうございます。

おっしゃるとおり、読まずにいるのはもったいないです。
読んでいただければ内容の深さを理解していただけるかと思います。
今読むからこそ、気づくことが多くあるんですよね。
Posted at 2011.06.15 (12:16) by つかボン (URL) | [編集]
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Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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