FC2ブログ

空の彼方/菱田愛日

私の家族5


何だか、ネタに困る度に家族の話を引き合いに出している気がしますが、気にしない。

今日は母の話。

あれは、私がまだ高校生のころの話です。
休日のことでした。
珍しく部活も休みだったため午前中はベッドの中でゴロゴロして過ごそうかと思っていましたが、今では考えられないぐらい活発だったその頃の私はどうしても時間を無駄にすることが許せず、ひとまず朝食でも食べようと1階に下りて行きました。
しかし、私は後でその行動を後悔することになるのです。
なぜなら、1階に下りてリビングに向かった私の視界には、誰もが予想してなかったであろう光景が広がっていたからです。

何か得体の知れないものが仰向けになって、両手両足を天井に向けてぐるぐる回転させていました。

いや、得体の知れないものではありません。あれは、まさしく我が母です。
認めたくありませんが、まごうことなき血の繋がった我が母親です。
得体の知れないことがあるとすれば、その行為でしょう。
混乱。
その2文字が、私の頭の中をいっぱいに埋め尽くしていきます。
その行為を文字で説明することは簡単です。
しかし、何をしているのか、何故しているのかを理解することがどうしても出来ません。
ためしに私は聞いてみました。

私「何してるの?」

母「今ぐらいしかできないから」

私「・・・・・・」

さらに混乱。
なぜ、「何してるの?」という私の問いに、「今ぐらいしかできないから」という的外れな答えが返ってきたのかも理解できなければ、最初の疑問も全く解決できませんでした。
きっとその時の私の頭の上には、まるでアニメのように「?」マークが3つほど浮かんでいたことでしょう。
とりあえず、これ以上関わらない方がいいと判断した私は、その場を後にして再び2階の自分の部屋に向かいました。
そのままベッドの中で午前中ずっと震えていたことは内緒です。


空の彼方 (メディアワークス文庫)空の彼方 (メディアワークス文庫)

アスキーメディアワークス 2010-01-25
売り上げランキング : 41545

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



「いってらっしゃい」
 ドアの前でソラの声がして振り返る。
 人形のように整った美しい顔の小さな女性が、僕を送り出す。
 彼女の小さい体。美しく、そして少し幼い顔から一人前の女性の強さと優しさが滲み出しているようだ。
 だから僕も強く、そして、優しくソラに笑いかけた。
「いってきます」



――あらすじ――
小さな路地に隠れるようにある防具屋「シャイニーテラス」。店の女主人ソラは、訪れる客と必ずある約束をかわす。それは、生きて帰り、旅の出来事を彼女に語るというもの。ソラは旅人たちの帰りを待つことで世界を旅し、戻らぬ幼なじみを捜していた。ある日、自由を求め貴族の身分を捨てた青年アルが店を訪れる。この出会いがソラの時間を動かすことになり―。不思議な防具屋を舞台にした、心洗われるファンタジー。第16回電撃小説大賞“選考委員奨励賞”受賞作。


――感想――
第16回電撃小説大賞“選考委員奨励賞”受賞作。
「いってらっしゃい」、「おかえりなさい」。そんなありふれた言葉がどれほどかけがえのないものかを教えてくれる作品。
「いってらっしゃい」から「おかえりなさい」までが言える相手がいるというのはとても幸せなことなんだなと教えてもらいました。

とても素敵な作品です。
物語の舞台は、これでもかというぐらい典型的なファンタジーの世界。
剣も魔法もあれば、魔物も出てきます。
しかし、内容はファンタジーものとは全く違います。
とある防具屋、そしてそこの主人であるとある女性を中心に、その世界に生きる人々の生活や想いを生き生きと描いています。
様々な登場人物と女主人ソラとの掛け合いが素敵です。
心洗われるというあらすじ通りの作品だと思いました。

最初は短編集なのかと思いましたが、それぞれの登場人物の物語が最後には一つの結末に繋がっていきました。
同じような形式をとる作家さんに成田先生がいます。
しかし、成田先生の作品とは似ているようで全く違います。
成田先生の作品が、パズルのピースを当てはめていき一つの絵を完成させるようなものなら、菱田先生の作品は、一つのテーマを与えられ、それを軸として絵を完成させるようなもの。
その軸にあたるのは、ソラが決めた「必ず帰ってくること」という店のルールでしょう。
久々に、作品に対する評価を抜きにして、「本」そのものを楽しめる作品に出会うことができました。

次巻がこの物語の続きなのか、全く新しい作品になるのかは分かりませんが、もしこの続きを出すのであれば、今度は短編集にしても面白いかもしれませんね。


関連商品
蒼空時雨 (メディアワークス文庫)
ガーデン・ロスト (メディアワークス文庫)
お茶が運ばれてくるまでに―A Book At Cafe (メディアワークス文庫)
夜魔―怪 (メディアワークス文庫)
ヴァンダル画廊街の奇跡 (電撃文庫)
by G-Tools


スポンサーサイト



Leave a comment

Private :

Comments

- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
04 06
FC2カウンター
ブログランキング

FC2Blog Ranking

応援とか色々
プロフィール

つかボン

Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

MY読書メーター
つかボンさんの読書メーター つかボンの最近読んだ本
検索フォーム
カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード