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おもしろき ことなき世を おもしろく 高杉晋作
源氏物語 第五回
- Posted at 2011.06.14
- l一般書籍
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――感想――
蛍
(36歳)蛍兵部卿の宮、玉鬘の美しさの虜となる。
・源氏さんが文学論を説く1編。物語を小馬鹿にする態度は現代人の私からすると多少ムッとするけど、言っていることは理に適っている。歴史書と違い事実の記録ではなく、言わば騙されてるようなものなのかもしれないけど、そこに人々は憧れを抱くんだよね。
源氏さんも最後にはそう論理を展開している。けなした上で、その意義を説くというのはなるほど、とても効果的な論陣かもしれない。
常夏
(36歳)夕霧は雲居の雁に、柏木は実姉とも知らず玉鬘に夢中。⇒内大臣(頭の中将)の娘、近江の君無教養さが内大臣一家を困惑させる。
・近江の君(内大臣の落胤)が面白い。玉鬘が自分の娘だと気づいてないとはいえ、またとんでもない道化役を拾ってきたもんだ。娘を帝の妃にして、孫を帝位につけることがこの時代の親の夢である以上、娘の素養がどれほど大事かよくわかるなあ。
篝火
(36歳)玉鬘、義父の源氏の求愛を歌でかわす。
・ふむぅ、源氏さんの熟練した魅力はまだまだ衰え切らないということか。自分の中に宿る情熱を知りながら、欲望に流されず冷静に心中を顧みるその度量の深さが、玉鬘の警戒を徐々に解いたのだろう。まあ、近江の君の世評に比べれば、源氏さんの養女であったことは幸いに違いないからね。
・それにしても感銘の由来でもある源氏さんと玉鬘の贈答歌の内容がなかなかに辛辣。現代語訳のみだけど、源氏「篝火の煙とともにたちのぼる恋の煙は、私の永遠の恋の炎なのだよ」。玉鬘「篝火の煙のついでにたちのぼる程度の恋の煙ならば、果てなき空に消し去ってください」。
野分
(36歳)夕霧、紫の上を垣間見る。
・夕霧、性に目覚める、の巻。血縁が薄くとも、身内に恋慕を抱くというのはそれほど紫の上と玉鬘が魅力的だからなのか。いや、薄いからこそなんだろうな。堅物だった夕霧にとっては彼女たちの美貌はまさに青天の霹靂だったのだろう。故に源氏さんは紫の上に会うことを禁じたのだろうが。
行幸
(36歳)大原野の行幸にて玉鬘、冷泉帝や実父の内大臣を見る。
・初期のころからの登場人物であり、源氏さんのライバルでもある頭の中将にはなかなか愛着がわく。ついに玉鬘の秘密を打ち明かしたことでお互い胸のしこりが解け、懐旧談に花を咲かせる様を見ていると、男の友情はいいなと思う。でも政敵同士であることには変わりない。これからどう動くのか。
藤袴
(37歳)玉鬘、尚侍となる。
・世評が政治家の生命を左右するのはいつの世も変わらないんだよね。この時代の場合は娘の扱い方にとても気を配らないといけないみたいで。玉鬘を巡る源氏さんと夕霧の会話から、源氏さんと内大臣の高度な腹の探り合いがよくわかる。さすがというか、やはりお互い老獪な大物政治家なんだな。
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