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源氏物語 第九回(ラスト)

源氏物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)源氏物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
角川書店

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――感想――

宿木

(25歳)匂宮、六の君と結婚。⇒薫、浮舟の噂を聞く。
(26歳)中の君、男児を出産。⇒薫、今上帝の女二の宮と結婚。⇒薫、浮舟を垣間見る。


・故八の宮と侍女との娘浮舟が登場。亡き大君の面影を中の君に投影する薫に、中の君は浮舟を紹介する。浮舟は大君にそっくりなため、それによって薫の自分への未練を断ち切ろうとするのだ。夫匂宮が夕霧の娘と結婚し、お腹の中には赤子もいるというのに、中の君にとっても辛い時期なのだろう。

・浮舟を垣間見たときの薫の驚きと喜びようはなかなかだな。それでいて、自らの幸福を唐の皇帝と比べるという冷静な一面を見せるのは、知的な薫らしい。


東屋

(26歳)匂宮、浮舟に近づく。⇒薫、浮舟を宇治に隠す。


・浮舟の母の結婚観は非常に現実的。妻の座にはついたものの、夫の浮気な態度に困らされるという情景が物語の中で幾度も繰り返されたからこそ、一人の妻を一途に愛し、対等に向き合う関係が理想という考えは新鮮に思えた。
彼女自身、八の宮の娘を生みながら妻の座につけず玉の輿を逃したという苦い体験があるからこそなのだろうな。娘の結婚相手に慎重になるのもわかる。


浮舟

(27歳)匂宮、浮舟を見つけて逢う。⇒浮舟、詩を決意。


・親友である薫の声真似をしてまで浮舟を奪う匂宮は非道というより、狂気そのもの。レイプと変わらないじゃないか。けれど、田舎育ちで世間知らずな純朴な娘にとってはその強引さも魅力に映り、後ろめたさを抱きながらも二人だけの秘密の情愛に浸っていく様子は、ちょっと納得いかないなあ。

・三角関係に思い悩みすべての根源である自分を抹消するため、入水自殺を選ぶその潔さは浮舟の魅力の一つだろうけど、これを悲劇と呼ばずしてなんと呼ぶのだろう。恋愛観が激しすぎるよ。


蜻蛉

(27歳)浮舟、行方不明。


・浮舟が行方不明になって周りは大騒ぎ。薫と匂宮との事情を知る優秀な侍女だけが、事の顛末を冷静に分析している。事件に懐疑的な薫と匂宮が、込み上げる悲しみを押し隠し、お互いの腹を探り合うような虚々実々の駆け引きを繰り広げるところはとても面白い。


手習

(27歳)浮舟、発見される。⇒浮舟、出家。
(28歳)薫、浮舟の生存を知る。


・だれもが死んだと思っていた浮舟だが、実は生きていた。一度は死を決意したが、死に損なって恥を晒すことを恐れ自暴自棄になった果てに、貴公子の幻を見て、気づけば森の中で倒れていたという。発見したのは初瀬参詣中の僧都一行であり、それを機に浮舟は出家をする。


夢浮橋

(28歳)薫、横川の僧都を訪ねる。⇒、浮舟、弟との対面や薫の手紙を拒否。


・本文にもあるとおり意外と呆気ない幕切れだな。浮舟が比叡山で出家したことを知った薫は浮舟に会いに行くが、浮舟のことを想った僧都に拒絶され、せめて手紙だけでもと弟の小君を遣わせるが、浮舟の意思は固い。薫はだれかが浮舟を囲ってるのではないと疑心暗鬼に駆られ、自己反省もない。

・もしかすると、源治さん没後の話の主人公は浮舟だったのだろうか。「ヒーローは~」ではないけど、主人公が遅れて登場したのでは。自己反省のない薫と、死の淵から蘇り意思を貫こうとする浮舟を見比べていると、そう思わずにはいられない。なんにせよ、これで物語は終了だ。



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つかボン

Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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