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“葵” ヒカルが地球にいたころ……①/野村美月

事実は小説より奇なり


『飛び降り自殺を図ろうとした少年,見知らぬ美少女に突然キスをされ救助される』

月並みなサブタイだけど、これは「まさに」でしょう。
どんなラノベ展開だよ。
彼女の正義感の背景にある事情も「まさに」という感じ。

いや、ここは素直に彼女の勇気を褒め称えましょう。






"葵" ヒカルが地球にいたころ……(1) (ファミ通文庫)
野村 美月 竹岡 美穂

エンターブレイン 2011-05-30
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「な、泣かねーよっ、あほう」
 目をむき頬を熱くして否定すると、ヒカルは明るい眼差しで是光を見つめて、
「うん、そのほうがいいや。ぼくは、笑いながら見送ってほしい」
 澄んだ声で言った。
「約束だよ、是光。ぼくが宇宙へ旅立つとき、きみは最高の笑顔で、さよならを言うって」



――あらすじ――
「心残りがあるんだ」恋多き学園の“皇子”ヒカル―その幽霊が、是光の前に現れそう告げた。このまま幽霊につきまとわれ続けるなんて冗談じゃない!と渋々“心残り”を晴らす協力をすることにした是光だが、対象の左乙女葵―“葵の上”と呼ばれる少女は、頑なに話も聞こうとせず、生徒会長の斎賀朝衣にも不審がられ、敵視されるハメに。そんな時、ヒカルの死にまつわるある噂が聞こえてきて―!?野村美月が贈る、ミステリアス現代学園ロマンス、堂々開幕。


――感想――
源氏物語の記事を上げている間に感想が溜まっちゃってるんで、頑張って更新ペースを上げていこうと思います(←有限不実行フラグ)。
これも2週間前に読んだ本だしなあ。

さてさて、待ちかねた野村美月×竹岡美穂の新シリーズ。素晴らしい一冊でした。
間違いなく“文学少女”と双璧をなす野村先生の代表シリーズになるであろう。
恋愛小説としてだけでなく、そこに友情要素を加えた青春小説としても秀抜の出来。

外見の凶悪さから周囲に恐れられ疎まれている是光。
眉目秀麗な容姿に生粋のフェミニストかつ女たらしなヒカル。
死んでも見境なく女性を口説こうとするヒカルについつい突っ込んでしまう是光が、なぜかヒカルの姿は是光以外には見えないこともあって、さらに評判を落としてく様が理不尽だけど面白い。
そんな感じで前半はコミカルな二人のやり取りが描かれる。
そうして二人の時間を一緒にすごすうちに、最初は仮初めの友達関係だったのが、少しずつ本音を打ち明け合うようになり心を通わせるような仲へと変わっていく。
是光はそのヤンキー顔のせいで、ヒカルは美しすぎる顔のせいでお互い男友達が一人もいなかったり、親との間に傷を抱えてたりと、容姿も性格も真逆のはずの二人が奇妙な共通点で繋がっていることを知って、真の友情を育んでいくところに心を打たれた。

ヒカルにとって、葵は大切な芸術品のようなものだったんだろう。
大切に思うあまり壊してしまうことを恐れて距離を取ってしまい、それが擦れ違いを生むというのはなんとも悲しい。どれだけヒカルが言葉を囁いても葵には届かなくて、そうとは知らず一心なヒカルの前で葵が吐いた侮蔑の言葉は、どれだけ彼の心に重くのしかかったのだろうか。

それでも是光が諦めなかったから。たった一人の初めてできた友達のために一生懸命になったから、二人は再び出会うことができた。
葵へのプレゼントという名目で是光の取る行動一つ一つに、遅れて生前のヒカルとの思い出が蘇り、過去の情景と現在の情景が重なることで是光の中にヒカルの面影を見せる手法は、卑怯と言ってしまえるぐらい読者のツボを熟知している。
竹岡さんの素敵なイラストも相なって、涙が止まりませんでした。

葵も可愛らしかったのだけど、どこか琴吹さんを思わせる式部帆夏もとても可愛らしい。最初は是光に対してつっけんどんに接していたけど、恋愛相談を受けるうちに惹かれていく流れがもう堪らない!
どうもこのシリーズは1巻ごとに別の女性にスポットを当てていくというスタイルになるみたいなので、遠子先輩のような絶対的ヒロインがいないということになる。だから、もしかすれば琴吹さんの悲劇を払拭できるかも?
葵も素敵だったのでぜひとも今後も出続けてほしいけど、私は帆夏を応援するよ!

あとがきによると次巻は“夕顔”らしいです。
夕顔といえば、六条の御息所の生霊の祟りによって不幸な死を遂げた悲劇の女性。
一体どんな物語になるのか超超超期待です。


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Posted at 2011.06.24 (22:24) by 読書感想未満、駄文以上。

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Comments

> 飛び降り
口があんぐり開きましたよ。
いやあ、世界にはこういったロマンチックなこともあるもんですねえ。
まさに絵に描いたような――としか言いようがありません。

> 葵
昨日の午前中は、これを求めて京都の大型書店を廻ってたんですよね。
ビニールでパックされているところばかりで、立ち読みできるところがなかなかありませんでしたよ。
今は世界の迷作と悪戦苦闘中なので、なかなか手が出ないのですが。

しかしあらすじを読むだけでも、ドキドキする要素が沢山盛り込まれてますね。
源氏物語の要素が、学園モノに取り込まれてる所とか。
どんぴしゃりで好みなのですが――今は本がorz
Posted at 2011.06.23 (00:50) by サクラ (URL) | [編集]
Re: サクラさんへ
コメントありがとうございます。

私も最初は唖然としてしまいました。
こういうことがあるから、この世界は面白いですよねえ。

大型書店だとパッケージされてるところが多いですよね。だから私は、中身を拝見したいときはアニメイトを利用しています。アニメイトなら、特典とかついてない限り剥き出しの状態で置かれてるので。

文学少女と違ってミステリ要素が軽く、シンプルなストーリーラインになっているので、今回は万人に楽しんでもらえそうな内容になっています。
『源氏物語』の世界を現代の学園に蘇らせたような感じも素敵ですので、余裕ができましたらぜひ読んでみてください。
Posted at 2011.06.23 (19:11) by つかボン (URL) | [編集]
はじめまして
つかボンさん

はじめまして、nagisaといいます。
私は、ライトノベルの紹介・感想ブログをしています。

つかボンさんは、作家を目指されているのですね。
プロになられる方の記事はとっても興味深いです。

野村 美月先生の新シリーズは、“源氏物語”を題材にされているんですね。
私は、“源氏物語”大好きです。
名前からして、“光る君”・“惟光”・左大臣家の“葵の上”
すごく判りやすいですね。

“文学少女”シリーズは、かなりオモイ(想い)話でしたが、今回はどんな方向性なのでしょうか?
すっごく楽しみです。

失礼します。
Posted at 2011.07.19 (23:09) by nagisa (URL) | [編集]
Re: nagisaさんへ
コメントありがとうございます。

初めまして。ご訪問感謝いたします。
おお、お仲間さんですか。どうぞよろしくお願いします。

興味なんて持たれても大した文章は書けませんよw むしろ自分で見直して凹むぐらいです。

『源氏物語』面白いですよね。さすが最古のラノベと言われるぐらいあって、登場するキャラがみんな魅力的で、ストーリーも実に奥行きのある恋愛模様が描かれていて楽しめます。
それを野村先生が独自のテイスティングで料理をしてくれるので、これ以上のご馳走はないですよね。

文学少女に比べると明るめで、コミカルな描写が多いです。
でもその裏で先行きを暗くさせる影が垣間見えたりして、これからどうなるかはまだ不明ですね。
よければどうぞ、一読してみてください。
Posted at 2011.07.20 (01:16) by つかボン (URL) | [編集]
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Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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