Colorful Concrete
おもしろき ことなき世を おもしろく 高杉晋作
ビブリア古書堂の事件手帳 ~栞子さんと奇妙な客人たち~/三上延
- Posted at 2011.06.26
- lメディアワークス文庫
世界の愛すべき馬鹿
ネタに困ったときの動画投稿。
なにこのハイクオリティ。
この動画、シリーズ化とかしてるんですけど、やっぱり外人ノリって好きだな。テンションのベクトルがアウトドア派というか。ごめん、自分でもなに言ってるかわからない。
――あらすじ――
鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。だが、古書の知識は並大低ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも、彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。これは“古書と秘密”の物語。
――感想――
人気が急上昇していると噂の『ビブリア古書堂』読ませてもらいました。
これはいい。普段は恥ずかしがり屋な一面と、本のこととなると人智を超えた聡明さを見せる一面の、二つの素顔を持つ栞子さんを愛でるだけでも充分に読む価値はあるが、たわ言はともかく正真正銘面白かった。人気急上昇も納得。
文学少女のような作品を予想していて、似ている部分がなかったわけではないけれど、大枠でとらえればまったくの別ものだろうなあ。古書について嬉しそうに蘊蓄をたれる姿など、ところどころで遠子先輩と重なる部分もあったけれど。
ともかく、本を題材にしたお話には当たりが多いという事実を再度認識しました。
いわゆる安楽椅子探偵もの。とはいえ謎やその解法にはやや整合性に欠ける部分もあるけれど、栞子さんが導く答えが本を愛する者ならではというのがいい。
主人公との関係性もいい。幼い頃のトラウマから活字恐怖症になってしまった主人公にとって、栞子さんが語ってくれる本にまつわるお話は興味を引かれるものばかり。主人公が真剣に聴いてくれるもんだから、ついつい嬉しくなって……なんてやり取りがもうなんつーか、おまえら結婚しちゃえよ!
本書は四つの短編からなっていて、すべて合わせて一つの物語になるような形態が取られている。
章題はそれぞれ、「夏目漱石『漱石全集・新書版』(岩波書店)」、「小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫)」、「ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』(青木文庫)」、「太宰治『晩年』(砂子屋書房)」。
古書堂に本を持ち込んでくる人すべてに各々のドラマと謎があって、本の内容と絡ませながらそれを解き明かしていくという流れが、とても美しく優しさに満ちあふれていた。出版社の特徴も謎を解く鍵になっていたりして、そんなことまで知ってる栞子さんが素敵すぎる。いや、ここは作者が、と言うべきか。
個人的には三話がお気に入り。本を売ろうとする夫と、それを止めようとする妻のお話。
この夫婦は本当に素敵だなあ。売ろうとする理由も、止めようとする理由も、お互いを想い合ってるからこそってのがねえ。こういう夫婦にはお約束ではあるけど、やっぱり妻の方が一枚上手なんだよね。最後についた嘘がその証拠だ。
でも、あまりに聡明すぎる栞子さんに不安を覚え始めてからはだんだんと雲行きが怪しくなっていって、そこから生まれる主人公の葛藤と最後の決意には心を揺さぶられた。
ラストではそれまでの雰囲気をガラリと変えたサスペンスフルなシーンもあったりと、読み応えのある一冊でした。
いい意味でやきもきする幕引きだったので激しく続編希望。
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なにこのハイクオリティ。
この動画、シリーズ化とかしてるんですけど、やっぱり外人ノリって好きだな。テンションのベクトルがアウトドア派というか。ごめん、自分でもなに言ってるかわからない。
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「わたし、古書が大好きなんです……人の手から手へ渡った本そのものに、物語があると思うんです……中に書かれている物語だけではなくて」
――あらすじ――
鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。だが、古書の知識は並大低ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも、彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。これは“古書と秘密”の物語。
――感想――
人気が急上昇していると噂の『ビブリア古書堂』読ませてもらいました。
これはいい。普段は恥ずかしがり屋な一面と、本のこととなると人智を超えた聡明さを見せる一面の、二つの素顔を持つ栞子さんを愛でるだけでも充分に読む価値はあるが、たわ言はともかく正真正銘面白かった。人気急上昇も納得。
文学少女のような作品を予想していて、似ている部分がなかったわけではないけれど、大枠でとらえればまったくの別ものだろうなあ。古書について嬉しそうに蘊蓄をたれる姿など、ところどころで遠子先輩と重なる部分もあったけれど。
ともかく、本を題材にしたお話には当たりが多いという事実を再度認識しました。
いわゆる安楽椅子探偵もの。とはいえ謎やその解法にはやや整合性に欠ける部分もあるけれど、栞子さんが導く答えが本を愛する者ならではというのがいい。
主人公との関係性もいい。幼い頃のトラウマから活字恐怖症になってしまった主人公にとって、栞子さんが語ってくれる本にまつわるお話は興味を引かれるものばかり。主人公が真剣に聴いてくれるもんだから、ついつい嬉しくなって……なんてやり取りがもうなんつーか、おまえら結婚しちゃえよ!
本書は四つの短編からなっていて、すべて合わせて一つの物語になるような形態が取られている。
章題はそれぞれ、「夏目漱石『漱石全集・新書版』(岩波書店)」、「小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫)」、「ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』(青木文庫)」、「太宰治『晩年』(砂子屋書房)」。
古書堂に本を持ち込んでくる人すべてに各々のドラマと謎があって、本の内容と絡ませながらそれを解き明かしていくという流れが、とても美しく優しさに満ちあふれていた。出版社の特徴も謎を解く鍵になっていたりして、そんなことまで知ってる栞子さんが素敵すぎる。いや、ここは作者が、と言うべきか。
個人的には三話がお気に入り。本を売ろうとする夫と、それを止めようとする妻のお話。
この夫婦は本当に素敵だなあ。売ろうとする理由も、止めようとする理由も、お互いを想い合ってるからこそってのがねえ。こういう夫婦にはお約束ではあるけど、やっぱり妻の方が一枚上手なんだよね。最後についた嘘がその証拠だ。
でも、あまりに聡明すぎる栞子さんに不安を覚え始めてからはだんだんと雲行きが怪しくなっていって、そこから生まれる主人公の葛藤と最後の決意には心を揺さぶられた。
ラストではそれまでの雰囲気をガラリと変えたサスペンスフルなシーンもあったりと、読み応えのある一冊でした。
いい意味でやきもきする幕引きだったので激しく続編希望。
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