Colorful Concrete
おもしろき ことなき世を おもしろく 高杉晋作
ヴァンダル画廊街の奇跡/美奈川護
- Posted at 2010.05.02
- l電撃文庫
さすがにそれは……
今日、高齢者マーク付きの路駐していた自動車を見ました。……という、それがどうした、と言いたくなるような報告から始めてみます。
いや、確かに別段おかしいことは書いていないのですが、その高齢者マークにね、「あの世まであとわずか……」って書かれてたんですよ。
見た瞬間何とも言えない寂しさが込み上げてきました。
さすがにそれは酷過ぎるのではないでしょうか。
2000HITのお礼と文学少女の感想はもう少し待っていただきたい!
――あらすじ――
絵画を瞳に宿す少女エナ。彼女が秘めた、願いと想いは──。人は誰もが、心の中に一枚の絵を持っている──。
統一された政府により、様々な芸術が規制を受け始めた世界。しかし、そんな世界各地の壁面に封印されたはずの名画が描き出される事件が起こる。
『 Der Kunst Ihre Freiheit! (芸術に、その自由を!)』
絵とともにそう書き残していく<アート・テロリスト>を、人々は敬意をこめて「破壊者(ヴァンダル)」と呼んだ。
政府を敵に回すという危険を冒してまで彼らが絵を描く理由とは。そして真の目的とは──?第16回電撃小説大賞、<金賞>受賞作!
――感想――
第16回電撃小説大賞『金賞』受賞作品!
『金賞』の称号に恥じぬ洗練された一作。
考えてみると、第16回の受賞作を一冊も読んでいなかった。
理由は、あまり琴線に触れるものが無かったからなんだけど、どことなく心に空白を感じたので購入することに。
受賞作の中で最も当たりだと思うものを吟味し、選び抜いたのがこれ。
結果から言うと、当たりだった。
他の受賞作を読んでいないので比較は出来ないけど、少なくとも後悔はせずに済んだ。
本作品はラノベとしては異色と言える。萌え要素などは一切含有されていない。
同時に、ラノベだからこそ生まれた作品とも言える。
舞台は、統一された政府に制定された『プロパガンダ撤廃令』によって、戦争を背景とした様々な芸術が規制された世界。
そんな世界に、人々の心に芸術の火を灯すために、アート・テロリスト『ヴァンダル』が現れる。
『ヴァンダル』の構成員であるエナは、『転写眼』と言われる見たものを再現率十割で記憶できる眼を持つ少女。
鷲の形をしたネーヴォという名前の高性能AI、不老の半サイボーグ・ハルクの二人にエナを加えた三人で『ヴァンダル』は構成されている。
彼らは世界各地は飛び回り、誰の心にも存在する一枚の絵を描いていく。
彼らの真の目的とは一体何のか?
彼らの他にも、『ヴァンダル』を追うインターポールの話も描かれていたのが良かった。
世界政府のやり方に疑問を覚え、自分たちのしていることが本当に正しいのかと迷いながらも、自分たちの信条を掲げ続けるインタポールの二人が、物語に素敵な色を加えていたと思う。
絵画を題材に扱った本は読んだことがなかったので、文字通り新鮮な感性で作品を味わうことが出来た。
一応短編集という形を取っていて、全ての話を合わせることで一つの物語を織りなしている。
この作品の巧みなところは、絵に全く知識がなくても問題なく楽しめるところ。
一巻完結でも良かった気がするけど、とりあえず続巻は出る様子。
『金賞』なだけに、次巻の出来には期待したい。
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人は誰もが、心の中に一枚の絵を持っている。
――あらすじ――
絵画を瞳に宿す少女エナ。彼女が秘めた、願いと想いは──。人は誰もが、心の中に一枚の絵を持っている──。
統一された政府により、様々な芸術が規制を受け始めた世界。しかし、そんな世界各地の壁面に封印されたはずの名画が描き出される事件が起こる。
『 Der Kunst Ihre Freiheit! (芸術に、その自由を!)』
絵とともにそう書き残していく<アート・テロリスト>を、人々は敬意をこめて「破壊者(ヴァンダル)」と呼んだ。
政府を敵に回すという危険を冒してまで彼らが絵を描く理由とは。そして真の目的とは──?第16回電撃小説大賞、<金賞>受賞作!
――感想――
第16回電撃小説大賞『金賞』受賞作品!
『金賞』の称号に恥じぬ洗練された一作。
考えてみると、第16回の受賞作を一冊も読んでいなかった。
理由は、あまり琴線に触れるものが無かったからなんだけど、どことなく心に空白を感じたので購入することに。
受賞作の中で最も当たりだと思うものを吟味し、選び抜いたのがこれ。
結果から言うと、当たりだった。
他の受賞作を読んでいないので比較は出来ないけど、少なくとも後悔はせずに済んだ。
本作品はラノベとしては異色と言える。萌え要素などは一切含有されていない。
同時に、ラノベだからこそ生まれた作品とも言える。
舞台は、統一された政府に制定された『プロパガンダ撤廃令』によって、戦争を背景とした様々な芸術が規制された世界。
そんな世界に、人々の心に芸術の火を灯すために、アート・テロリスト『ヴァンダル』が現れる。
『ヴァンダル』の構成員であるエナは、『転写眼』と言われる見たものを再現率十割で記憶できる眼を持つ少女。
鷲の形をしたネーヴォという名前の高性能AI、不老の半サイボーグ・ハルクの二人にエナを加えた三人で『ヴァンダル』は構成されている。
彼らは世界各地は飛び回り、誰の心にも存在する一枚の絵を描いていく。
彼らの真の目的とは一体何のか?
彼らの他にも、『ヴァンダル』を追うインターポールの話も描かれていたのが良かった。
世界政府のやり方に疑問を覚え、自分たちのしていることが本当に正しいのかと迷いながらも、自分たちの信条を掲げ続けるインタポールの二人が、物語に素敵な色を加えていたと思う。
絵画を題材に扱った本は読んだことがなかったので、文字通り新鮮な感性で作品を味わうことが出来た。
一応短編集という形を取っていて、全ての話を合わせることで一つの物語を織りなしている。
この作品の巧みなところは、絵に全く知識がなくても問題なく楽しめるところ。
一巻完結でも良かった気がするけど、とりあえず続巻は出る様子。
『金賞』なだけに、次巻の出来には期待したい。
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Comments
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面白そうなので、買ってみようと思います。 - Posted at 2010.05.03 (00:01) by naomatrix (URL) | [編集]