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[映]アムリタ/野崎まど

劇場版“文学少女”オリジナルサウンドトラック ~追想音楽 Musique du film~


劇場版“文学少女”オリジナルサウンドトラック ~追想音楽 Musique du film~
劇場版“文学少女”オリジナルサウンドトラック ~追想音楽 Musique du film~

先日劇場版“文学少女”のサントラ、『劇場版“文学少女”オリジナルサウンドトラック ~追想音楽 Musique du film~』を購入しました。
さっそく拝聴させてもらったのですが、いやーいいですねぇ。
聞いていると、あ、これはあの場面だな、なんて思いだされて、再び劇場版“文学少女”の透明な世界に浸ることができました。
改めて思うと、音楽には凄く力を入れている感じがしますね。“文学少女”の世界観を出そうとする想いが伝わってきました。
三十曲以上ありますので、どれが特別良かったと挙げるのは難しいのですが、個人的にはやはり最後の『終わらないメロディ』が一押しかなと。歌詞もついていてより深く楽しめました。

映画を楽しんだ方は、こちらの方も楽しんでみてください。


[映]アムリタ (メディアワークス文庫 の 1-1)[映]アムリタ (メディアワークス文庫 の 1-1)
野崎まど 

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「うーん……才能ある監督、って言うだけなら今話した通りだと思うんだけどね。でも天才はきっと違うよ。天才はきっとそうじゃない」
 店長は僕と話しているのに、もう僕を見てはいなかった。どこか遠く、ずっとずっと遠くを見ていた。遥かに遠い場所にある、映画の楽園を見るような目だった。
「天才監督はね、凄い映画を作る人だよ。過程なんてどうでもいい。フィルムが何よりも凄いんだ。どう凄いのか誰にも説明できない。だから誰にも真似できない。でも絶対的で凄絶で唯一で無二の映画。それはきっと、天才と呼ばれる人間に変装した、神様が作った映画なんだよ」



――あらすじ――
自主制作映画に参加することになった芸大生の二見遭一。その映画は天才と噂されるつかみどころのない性格の女性、最原最早の監督作品だった。最初はその天才という呼び名に半信半疑だったものの、二見は彼女のコンテを読み始めた直後にその魅力にとりつかれ、なんと二日以上もの間読み続けてしまう。彼女が撮る映画、そして彼女自身への興味が二見を撮影へのめりこませていく。そしてついに映画は完成するのだが―。第16回電撃小説大賞“メディアワークス文庫賞”受賞作。


――感想――
ソラ色をちょびっとだけ』のぐれさんの記事に感化されて購入。
第16回電撃小説大賞『メディアワークス文庫賞』受賞作。

本来なら今日は『メグとセロン2』の感想を書く予定だったのですが、変更してこの作品の感想を書こうと思います。
なぜ変更したのか、それは、早く感想を書かないと私がどうにかなりそうだったからです。
胸の中で渦巻くこの気持ちを溜め込み続けるには、私の精神の丈夫さが足りません。出来るだけ早く文字という形で吐き出したかったのです。
こんな鮮烈な感銘を受けたのは『プシュケの涙』以来です。
しかし、この作品から受けた感銘は『プシュケの涙』とは全く別ベクトルでした。

怖い。とにかく怖い。
ホラーではない。言ってしまえば、ただの青春もの作品。
でも、恐ろしい。
私がこの本を読んで抱いた感情は『恐怖』だった。
読了後、全身に鳥肌が立っていることに気づいた。
興奮したからではない、怖かったからだ。
こんなに怖いのに、でも、文字を追う目を止めることは出来なかった。
どうしても読み続けたいと思った。
何だこの本は。言うなれば、麻薬のような本だ。

作中に、絵コンテを五十六時間読み続けてしまった、という描写があるけど、まさにそれ。
本を読み始めてから読み終わるまで、一度も本から目を離すことができなかった。時間なんて、気にしている余裕はなかった。
この本には、異常な魅力がある。

芸大生の二見遭一は、天才と噂される最原最早という少女が監督を務める自主製作映画に参加することになる。
最原最早は天才と言われるだけあって、どこか掴みどころのない女性。
二見は、彼女の天才という称号に半信半疑だったものの、彼女の書いた絵コンテを読むことでその意味を理解する。
無意識の状態で五十六時間も絵コンテを読み続けてしまうという異常現象に陥ってしまうのだ。
最原最早の書いた絵コンテには何かあると不安に思いながらも、その疑念を残したまま映画製作は始まる。
製作は順調に進んでいき、その中で最原最早という人物についてもっと知ろうと努めるけど、親しくなれば親しくなるほど分からなくなる。
そして、物語は全く予想だにしない展開を迎える。

西尾先生を彷彿とさせるテンポの良いキャラ同士の掛け合いが、物語の読みやすさに一役買っている。
前半はそんな個性的で愉快な人物たちとの映画製作模様が描かれていて、普通に面白い。だけど、この本の真骨頂は後半から。
まさか、こんな展開になるとは、こんなラストを迎えるとは……!

『天才』という概念について深く考えさせられる作品だった。
だけど、最原最早という人間は『天才』なんて言葉では言い表せない。彼女を表現する言葉はこの世に存在していないと思う。
ラストのオチは、最原最早なりの優しさだったのかもしれないけど、二見にとって本当に幸せだったと言えるのだろうか。

私は最近執筆を始めて、どうすれば人の心に影響を与える文章が書けるかと現在勉強中な訳ですが、この作品を読んで改めて文字の凄さというのを知りました。
文字の羅列だけでここまで人の心を揺さぶれるなんて、まさに文字の脅威としか言えません。

奇抜で奇妙で奇異な作品だったけど、素晴らしかった。
作者の次回作に凄まじく期待します。


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Comments

正直、メディアワークスの受賞作家のほうがずば抜けていますよね。
野崎先生は恐ろしいです・・・。
怖い、というのは共感できます。
優しさ、天才など、身近に使いながらの言葉について、深く考えさせられました。
前半からの落差は凄まじかったです。
Posted at 2010.05.11 (20:25) by ask (URL) | [編集]
西尾さんに作風が似ているという事で前から気になってたんですよね。
2作品目の『舞面真面とお面の女』は表紙に惹かれて思わず買ってしまいました。
積んでしまってますけど。

今読んでいるシリーズが読み終わって、落ち着いたら読んでみたいです。
Posted at 2010.05.11 (22:33) by 半熟タマゴ (URL) | [編集]
本当にアムリタ評判いいですね
メディアワークス文庫あまり買ってないので
この作品買ってみようかなと思ってます
Posted at 2010.05.12 (00:17) by シャモ (URL) | [編集]
Re: タイトルなし
askさん、コメントありがとうございます。

MW文庫は大人向けに発足したレーベルですからね。やはり作者のレベルも上がってきます。
その中でもこの作者はずば抜けています。
他の人とは違う何かを持っていますね。もう一目惚れですよw
力強く訴えかける作品は大好きです。

半熟タマゴさん、コメントありがとうございます。

本当に西尾先生に似ています。というか、西尾先生なのでは? と馬鹿な考えが浮かぶほどです。
『舞面真面とお面の女』はもちろん購入しました。
次はどんな話を描きだすのか、早く読んで確かめたいです。

シャモさん、コメントありがとうございます。

確かに様々な場所で好評を得ています。
この機会に読んでみて、MW文庫の素晴らしさに触れてみてください。
Posted at 2010.05.12 (01:10) by つかボン (URL) | [編集]
こんばんは、つかボンさん。
この作品以前から気になっています。
西尾維新を彷彿させるキャラの掛け合いは是非見てみたいですね。
積み本を増やし続ける私ですが、これも購入しようと思います。
Posted at 2010.05.12 (02:59) by じたま (URL) | [編集]
Re: タイトルなし
じたまさん、コメントありがとうございます。

西尾維新先生の作品が好きなら読んでみることをオススメしますよ!
中毒性のある恐ろしい作品ですが、読んで損することはないと思います!
Posted at 2010.05.13 (00:45) by つかボン (URL) | [編集]
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Author:つかボン
前ブログ『BOOKDAYs!』の元管理人。
入間人間先生をこよなく愛し、自らも作家を目指す小説家志望だが、その実態は堕落人生まっしぐらのダメ学生。
しかし落ちるところまで落ちればあとは昇るだけ、それは可能性の獣。

同人誌『Spica-スピカ-』のメンバーとして活動もしています。
コメントなどはお気軽に。
どうぞよろしくお願いします。

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